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[第23記]目を覚ませ

「どこだよ…居ねぇぞ…?逃げたんじゃねえ?」


「せやなぁ…」


「…ここへ来る途中、銃声はしなかった。離れられててもおかしくはないね…」


「…………」

オペはなにも言わずに辺りを見渡す。すると何かに気づき、3人に向けて焦った様子で叫んだ。


「…こい!追いかけるぞ!」

ダッ!


「どしたん?なんかおったんか!?」

走りながらザヤは説明を求める。


「ああ、人影が見えた!」

しばらく走ると、突然オペは走るのをやめた。


「…ここに入った…」

オペが足を止めたのは、先ほど来た廃工場。


「ふーん。ほな入るか」


「油断は出来ない。慎重にいこう…」

シズは鎌を取り出し、刃を光らせた。


「…誰もいないな…」

サディがそう言った途端、4人を煙が襲った。


「まずいっ…!」

オペは急いで口を塞ぐも、少し煙を吸ってしまった。

辺りが淡くなっていく。


「もう夢か…早く目を探さないと」

胸を抑え倒れ込むザヤを無視して目を探す。


「あった」

ビチャァ…!

周りに霧が立ち込める。


オペが目を覚ます。前へ向き直ると、そこには鉄のマスクをつけた茶髪の男。監視カメラで見た男と全く同じ容姿だ。


「…んー?起きるの早くなーい?」

マスクの男は首をかしげて言った。


「当然…!」

オペは挑発的な顔をして言う。横に倒れ寝ていたザヤ達も起き上がる。


「…あっ!オペに負けた!悔しい…」

シズはオペより先に起きれなかった事を悔やんだ。


「お前らー早いなぁー…なんでー?」


「もう同じ手には乗らねえよ…!」


「え?あぁ…前に戦ったことあったっけー」

マスクの男があくびをしながら言う。


「……覚えてないのか?」


「ロダー総帥の言いつけだからやってるけど…全部適当だからなぁー…働きたくないんだー…」


「ニックを殺したのも…機長殺したのもお前だな」

昂る怒りを抑えて冷静に問う。


「う〜ん…外れ…だし当たり…」


「お前の夢に殺されたんだろ」


「辛い体験をさせただけだよー…それにあの2人は耐えきれなかっただけ。おれは『目』としてキミらの夢を見させて貰ってる。」


「あいつらはどんな夢を見て…死んでったんだ」


「えっとねー…まってね…思いだすからー。」

人差し指を頭に当て、首をフラフラと揺らす。


「あー、思いだし」

ゴシャァッ!

オペはマスクの男を殴り飛ばす。


「……聞くわけねぇだろ。そんな胸糞悪い話。」


「ペッ……あっはは…キミ…めちゃくちゃだね…」

口から血を飛ばし笑う。


「あっおれ、『イオ』。宜しくねー」


「分かった。墓に刻んどくよ。俺はオペだ」


「うん。おやすみー。」

イオはポケットからスイッチを取り出して押した。


ガラガラ…

シャッターが降り、廃工場には暗闇が残った。


ジャリィ…キィン…ビシャァ

「うわああ!シズが!シズがぁ…!」


「…夢だな。いつの間に煙を…」


カチンッ…

工場のライトが点く。シズは腕と背中を斬りつけられ、サディはその傷をおさえている。


「目を探さないと…サディはなんだ?自害か?それとも俺のことを嫌いになるのか?」


「オペ…!お前よくそんな事言えたな…酷いよ…」

サディはオペを睨みつける。


「…オペ…これ…は…夢…じゃない…」

シズは呼吸を整えながら掠れた声を捻り出す。


「は…?現実…?」


「そうだよ…アタシも探したさ。でもないんだよ。どこにも…目なんてないんだ」


「マインダボイラーで治療するで…!飛行機に向かうで、オペ、シズ背負って走れるけぇな?」


「余裕だ…」

オペがシズを背負い、出口に向かう。すると…


「まちなよー。」

後ろから声がした。


「…なんだよ。しつこいぞ」


「ふふ。息は止めなくて大丈夫?」


「あ?」

辺りが淡くなる。既に煙を吸っていたようだ。


「くそっ」


「…早く目を覚まさないと」

周りを見て、オペはあることに気づく。


「……目がない…!?」


その事実に気づいたのは、ザヤも同じだった。

「あれ?目ないやん。流石のうちでもない物を薙ぎ払えってのは無理やけん。詰んだな」


夢の外からイオはオペ達を眺める。

「夢に干渉しなければおれ無敵なんだよね〜」


「さてと…ちゃちゃっと殺しますか〜」

ナイフを取り出しシズに近づく。


「じゃあねー」

バシッ…カラン…


ナイフが弾き飛ばされる。飛ばしたのは…サディ。


「は…なんで起きて…」


「……………」

サディは目を瞑っている。


「いや…寝てる…のか?」


「寝てるぜ」

サディはイオに対して返答する。


「なっ…聞こえてる!?」


「アタシの『真理』は夢の中でもちゃーんと映してくれるのさ…お前の姿を…はっきりとな…」


「クソッ!」

イオは突進するも、サディに蹴り飛ばされる。


「いつも夢に頼りっきりだから現実は弱いのか?」

サディが目を閉じたまま挑発的に笑う。


「うぅ…黙れえぇ!」

イオがサディに突進する。


「目を覚まさないといけないのはお前の方だったな」

顔を殴り飛ばしたサディの周りに霧が立ち込める。

オペ達も目を覚ましたようだ。


「やっと夢が…あれ?イオがもう倒れてる」


「アタシだけでやっちまったぜ。真理の力でな」

サディが誇らしげに胸を張る。


「…最初のときもそれやってくれよ…」


「あん時はお前が酷い事するから…いやあれ夢か…」

1人で納得するサディを見てオペは笑う。




「あっ!笑うなよ!」

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