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[第22記]ドルドージュは死を止めない

「まぁ…引くよね。じゃあボク部屋に戻るよ。聞いてくれてありがとう。」

シズがベッドから立ち上がろうとする。


ギュッ…

「………」

サディがシズを抱きしめる。


「…サディ様?」


「話してくれてありがとうな。シズ。SIMに入ってくれてよかった…また会えたな」


「…うん…うん…!」

シズの目に涙が溢れる。


「しばらく…こうしてていい…?」

サディに抱きつき震える。サディは頷く。



「…………」 

サディの部屋の中から微かにすすり泣く声がする。

扉に寄りかかったオペは何も言わずに立ち去った。


「あっ、オペさん。」

廊下の向こうから軽食を持ったメンバーがくる。


「その飯…」


「これはサディさんへの差し入れで…」


「俺が持っていくよ。ありがとう。」

オペはメンバーから軽食を取り引き返した。



「…どうだ。落ち着いたか?」


「うん…ありがとうサディ様…」


コンコン


「2人とも、飯を持ってきたぞ。」

扉の向こうからオペの声がする。


ガチャ


「ありがとう。オペも一緒に食べよ」


「良いのか?じゃあ…」

オペはシズの横に腰掛ける。


「…辛いことが沢山あったんだな」


「は…?」

シズがオペを見る。


「ボクの話聞いてたの…?」


「ドアの外からちょっと…ごめん」

オペが目を逸らして答える。


ドサッ

肩を思い切り押されベッドに倒れるオペ。


「…死ね」

顔を真っ赤にして腕を組むシズ。


「いやほんとにごめん」


「はぁ…まぁいいよ。いつかは話さないといけない時がくるだろうし。それが早まっただけさ」


「…でも盗み聞きはダメだぞ」

サディがオペに釘をさす。


「はい…」


「じゃあ謝りにいくか、シズ!」


シズは2人と一緒に部屋を出て、先ほど突き飛ばした獣人に謝る。サディも手伝いながら簡単な過去、トラウマについてを説明した。獣人は頷きながら聞く。


「…なるほど…こちらこそすみません…」


「いや…ボクが悪いよ…本当にごめん」


オペはサディと見つめ合い、お互いにコクリと首を縦に振った。


「それと…シズさんが部屋に入ってる間にレガリオのうちの1人が見つかりました。」

頭を下げた姿勢から戻ると、その獣人は持っていた紙をシズに渡す。サディとオペも顔色を変えて紙を覗き込む。


「すごい…!ありがとう!」


「シズ、行けるか?」


「当然。」


「ザヤには伝えたか?」

サディが装備を確認しつつ確認する。


「はい。もう滑走路にいます。」


「よし。行こう」



滑走路に行くと、ザヤがこちらを見て目を細めた。

「…おそい。やる気あるん?」


飛行機に寄りかかりながら携帯を見ているザヤにサディが手を合わせて謝る。

「ごめん!」


「行くで。レガリオ潰そ」


「おう!」



フィーン…飛行機が着陸する。周りには剥き出しの金属片や蒸気が噴き出る煙突がいくつか。全体的に暗く空の色も濁っている。


「けほっ…空気がまずいな。どこだよここ」


「ドルドージュやな。工業の街や」


「ここにほんとにレガリオがいるのか?」


「あぁらしいで。建物にいるらしい。こっちや」

ザヤは地図を取り出し案内を始める。サディたちも後に続いて歩き始める。


「…留守番頼んだよ」

シズが飛行機の運転手に言う。


「任せてください。」


「シズちん何してるんや?はよ行くで」


「分かったよ」


しばらく歩くと、前のほうに廃工場が見えてきた。4人はその工場に入り探索を始める。


「…なにもないぞ。レガリオのレの字もない。」

オペは箱を漁りながらザヤに話しかける。


「せやなぁ…古い情報やったのかも。」


別の場所では、シズがサディに語りかける。

「サディ様、これ見て」


「ん?うぉ!?なんだこれかっけぇ!」

2人で大きなナタを触る。


「引きずるしかないよね…凄くおおきい」


「シズもデカい鎌使ってるだろ?かっけぇよな」


「ほんと?ありがと」

照れくさそうに頭の後ろに手をやる。


「あれって自分で作ったのか?」


「うん…プラズマナイフを改良して鎌にしたんだ。時間はあり余るほどにあったから」

シズは小さな棒を取り出す。ジャキンと柄を伸ばして鎌にしてみせた。サディが目を輝かせる。


「かっけぇ〜!触ってもいい?」


「もちろん。はい」

サディに鎌を渡す。


「おぉ〜…重いと思ったけどそんな事ないな…」

鎌を振り回してみるサディ。


「ぐははぁ!魂をいただいちゃうぞぉ〜!」


「…真面目にやってくれへん?」

いつの間にかサディの後ろにはザヤがいた。


「うわっ!ん"ん"っ…情報はなかったぜ」

恥ずかしそうに咳払いをし、シズに鎌を返す。


「そか…ひと通り見たし、飛行機に戻ろ。多分この街にはおらんやろ。機長に連絡を…」

ザヤが耳を下に引っ張って携帯をあてる。


「……………」


「……出ぇへんわ。まぁええ。戻るで。」


「ああ。」


来た道を戻る。飛行機が見えてきた。サディはオペと話しながらザヤが飛行機の扉を開けるのを待つ。


ガチャ…


「全員乗ったで。もう行ってええで、機長…」

ザヤが運転手の肩を叩く。


バタッ…ギィ…

運転手は倒れ飛行機が揺れる。


「機長?うっ…!」

運転手の顔を覗き、ザヤは声を漏らす。


「なん…」

もう既に運転手は息をしていなかった。目と鼻から血を流し、ぽっかりと口を開けている。手には拳銃。


「…自分で死んだんか……!?」


「嘘だろ…」


「…全員飛行機から降りぃ。」

タッ…


再び地面に足をつけてザヤは周りを警戒する。




「やっぱこの街にレガリオがおる!4人で殺るで!」


「「おう!!」」

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