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[第15記]壁に耳あり廃屋に目あり

サディの帽子を外し、そっと頭を撫でる。


「…もう俺の居場所はなくなったのか…?」

シズのプラズマサイスに目を向ける。


カチャッ…


「サディ…今…そっちに行くからな」

オペが光刃を自らの首に向けた。その瞬間…


ズキッ…


「痛っ…」

オペの腕に激痛が走る。


「なんだ…?」

目をやると、腕には文字の形に傷が刻まれていた。


「look for eye(眼を探せ)」


「…眼を…?」

周りを見渡す。すると真上から不気味な眼球がこちらを睨んでいることに気がついた。


「…これか」


ザンッ…ビシャッ…


シズの武器で眼球を斬りつける。すると周りに霧のようなものが立ち込め…


「っはぁ…!」

飛び起きて辺りを見回す。横になってうなされているサディ。そしてシズ。あと起きているザヤがいた。


「…おかえり。現実に。」


「ザヤ…死んだんじゃ…?」


「あんたの()()()でうちは死んだんや。幻術系の能力で見させられとったただの幻。」


「なるほど…ザヤも夢を見たのか?」


「うちか?うちはな…」



―ザヤの夢

「ケホッ……なんや?煙みたいなん出たけど…」


「ザヤ…」


「あぁオペ…あんた無事か…ただのホコリかいな」


ドサッ…


「好きだ…ザヤ…」

オペがザヤを床に押し倒す。


「…オペ?吐息荒いで?どうしたん」


「俺とつがいになれ…!なぁ…!」


「………(洗脳系の能力?サディは無事か…?)」

ザヤは仰向けになったまま思考する。


「サディもシズも来い…3人でならやれる」


「そうだな…しよう」

ザヤの周りにサディとシズが集まる。


「……早よどき。殺すけぇな」

睨みつけながら静かに警告する。


「やめてくれ…これから俺たちで愛しあ」


ザンッッ…


オペがそう発した瞬間、釣り用具店が消えた。


「ふぅ…建物ごと斬り刻んでもうた…」


ベチャッ


「ん…?なんやこれ。眼球…?」

ザヤの周りに霧のようなものが立ち込める。


「まずいっ…」

急いで口をふさぐ。


目を覚ますと、隣でオペがうなされていた。


「あれ…うち寝てたん?」


「はぁ…はぁ…」

オペは大量に汗をかき、苦悶の表情を浮かべている。


「…あの眼球くんが夢を見せてたんやろな」


少し顔が歪んでいるサディを見る。

「よしっ、サディはん…ナイフ借りるで」


「早く目を覚ますんやで」

オペの袖をめくり、ナイフで腕に字を―



「…ってことであんたは目を覚ましたわけや」


「死ぬところだった…ありがとう」


「1番こうゆうのに弱そうなオペはんから助けといて正解やったね。いやーうち天才やな」


「…まて、じゃあ夢の中で躊躇なく俺を殺したのか」


「………さ、サディはんの事救うで〜」


「おい!」



―サディの夢

「…やったな!情報ゲットだ、早速見ようぜ」


「チッ……うるさいな…」

舌打ち混じりにオペが吐き捨てる。


「…え?」


「サディは今回も何もしてないだろ。なんで急かしてくるんだ?ウザいんだが」


「いや…急かしてるつもりは…」


「…じゃあ黙ってろよ」


「あぁ…うん…ごめん」


「はぁ…」


「なぁ、オペの様子おかしくねぇか…?」

サディはシズに小声で耳打ちする。


「サディ…正気?前回もエウロパと戦ったときに何も役に立ってません、今回も働いてません、早く開けろと指示はします…おかしいのはどっち?」


「…アタシだな」


「みんな集まれ。情報を見よう。サディはいい」


「…オペ、ごめん…アタシにも」


「サディはそこにいろ!」

オペの叫びがズキズキと響く。


「…みるぞ」


「おぉ…これは凄い情報やな…」


「ここまで来て良かったね」


「ははは、そうだな」

ギュッ…


オペの服の裾を弱々しく掴む。そんなサディの目には少し涙が見える。


「ほんとにごめん、アタシもっと頑張るから…見させてくれよ…!お願い…」


「…いいぞ」

ニコッ…とオペが笑う。


「ほんと!?」


ビリビリビリビリ…

情報の書かれた紙がめちゃくちゃに破かれる。


バラッ

…投げ捨てられる。


ドンッ…

…踏まれる。


「…ほら。いいぞ。見て。拾って集めろよ」


「「あははははは!」」

シズとザヤはこちらを嘲笑った。


「はは…は…」

涙を手で拭いながら紙を集める。


「よし…これが…ここで…」


ズシャァ


「おっとわるい。蹴っ飛ばしちまった。」


「…いいよ…また…集めるから…」


「哀れやなぁ…」

ザヤがオペの胸に手をそっと置く。


「まったくだよ…俺からの好意なんてないのに」

オペは片手でザヤを抱き寄せ唇を重ねる。


「アハハ…お前らそうゆう関係だったのか…」

涙をボロボロとこぼしながら笑う。


「そうだ。鈍感だな。」


「サディはみんなに優しくしてるつもりなの?…気づいてないみたいだけど、みんなサディの事嫌いだよ」

シズが嘲笑しながら告げる。


「こんな女好きな奴いないだろ。可愛げもなく…偽善者で…ドブにまみれながら近づいてきやがる。わがままお嬢様のがよっぽどいいぜ」


ダッ…


サディは耐えきれずその場から逃げた。

釣り用具店を飛び出し走る。


ガンッ


「は…?なんだよ…見えねぇ壁が…」


「うぅ…っ」

嫉妬…悔しさ…感情が入り混じり、サディはその場に座りこんだ。


ズキッ…

「いたい…」


痛み。しかしそれは心ではない、別の場所…


「腕が…なんだ…?眼を探せ…?」

サディが周りを見渡し、眼球を見つける。


「キモっ!?斬ればいいのか…?」


ザンッ…


ベチャ


「斬ってみたけど…」

サディの周りに霧のようなものが立ち込める。




「うわっ……!なんだこれっ…!」

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