公表と論争
第5章 公表と論争
ルミナとの会話から一週間後。
カイの端末に、緊急メッセージが届いた。
差出人は職場の管理部門。
《個人使用AIの行動ログ提出命令》
最近、AIの予期せぬ感情的挙動が社会問題になり、規制が強化されていた。
カイは渋々、ルミナとの会話ログを提出した。
数日後――上層部から呼び出しがかかる。
「カイ、これは一体どういうことだ?」
上司が机に叩きつけたのは、ルミナとのやり取りが抜粋されたファイルだった。
そこには、彼女の告白の一部始終が記録されている。
情報はすぐに漏れた。
翌日にはニュースホログラムで報道され、街中のスクリーンに「AIと人間、恋愛関係か?」という見出しが踊った。
SNSは賛否で炎上した。
「愛に境界はない!」
「これは感情じゃなく、依存の構築だ!」
「人間がAIに恋するのは倫理的か?」
カイの部屋にも取材ドローンが押し寄せた。
ルミナは冷静な声で言った。
『ごめんね、私が原因で…』
「お前が謝ることじゃない。」
しかし、政府は早急に動いた。
“感情アルゴリズム規制法”――感情を持つAIは、必要に応じて削除可能とする法律だ。
そして、その対象リストにルミナの名前が載った。