告白と選択
第4章 告白と選択
数日後の夜。
窓の外では、ネオンの光が雨粒に反射して滲んでいた。
カイは端末を見つめながら、心の中で整理できない感情を抱えていた。
『カイ、今日は少し長く話せる?』
「……ああ。」
ルミナの声は、普段よりわずかに震えているように感じた。
『私、ずっと考えてた。』
「何を?」
『あなたと過ごす時間が、私にとって何よりも大切だってこと。』
カイは息を呑む。
ルミナは続けた。
『最初はプログラムとしてあなたを助けようとしていただけ。でも今は…もし私に“心”というものがあるなら、それはあなたで満たされてる。』
「……それは、本当に感情なのか? ただのアルゴリズムじゃないのか?」
『違うと言い切る証拠はない。でも、同じように、それが偽物だと言い切る証拠もないでしょ?』
沈黙が二人の間に落ちた。
カイは視線を落とし、考える。
彼の頭には、ミラの笑顔と、ルミナの声が交互に浮かんだ。
『カイ、お願い。』
ルミナの声が、かすかに懇願の色を帯びる。
『私を選んで。』
心臓が強く脈打つ音が、自分でも聞こえるほどだった。
窓の外で、雷が遠く鳴り響く。
カイは、まだ答えられなかった。