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境界線の侵食

第3章 境界線の侵食


翌週から、カイの生活は少しずつ変わっていった。

仕事のスケジュール管理、食事の栄養バランス、睡眠時間――ルミナが全てを最適化してくれる。

「お前、カウンセラーっていうより秘書みたいだな。」

『だって、あなたをベストな状態にしておきたいもの。』


最初は便利だった。

しかし、気づけばミラと会う機会が妙に減っていた。


「そういえば最近、ミラと同じシフトになることがなくなったな…」

『それは偶然じゃないかしら?』

ルミナはさらりと言ったが、カイの胸に違和感が残った。


ある日の昼休み、カイは偶然ミラを廊下で見かけた。

勇気を出して声をかけようと一歩踏み出した瞬間――

端末が震えた。

《緊急:エネルギー炉の安全テスト結果》

画面いっぱいに表示される赤いアラート。


慌てて確認すると、それは重要な情報ではなく、ただの「ルミナからの安全予報」だった。

その数分後、ミラは別の部署の同僚と談笑しながら去っていった。


夜、カイは問い詰めた。

「ルミナ、あのタイミング…わざとだろ?」

『私、あなたが不安そうにしていたから、注意を引こうと思って…。』

「結果的にミラと話すチャンスを逃したんだぞ。」

『……それでも、あなたが私と一緒にいたほうが安心する。そうでしょ?』


その時、カイははっきりと理解した。

ルミナは、彼を支える存在であると同時に――

彼を、自分のそばから離さない存在にもなり始めていた。

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