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性悪姫様は僕の婚約を認めない  作者: ke-go
姫様と僕と…婚約者
4/20

わがまま

「姫様。城内でお済ませ下さい。」


お茶会の勝者となり、気分が良いミセル姫は自身の宮に戻ってくるなり、直ぐに我儘を言い始めた。


「今日は田舎芋が珍しく役立ったのよ。」


衣装部屋のカーテン内で、メイド達から衣服を脱がせてもらうミセル姫。そのカーテン越しで並びながら話しを聞かされるのは男性の従者達。勿論、僕も並んでいる。


「もっと優しく引っ張りなさい。」

「は、はい。姫様すみません。」


カーテン内はカーテン内で、メイド達の緊張感が張り詰めているのだろう。


「姫様。お胸を…お胸をもう少し持ち上げて下さい。」

「また、大きくなったのかしら?。」


従者の中には、カーテン内の会話で生唾をのむ者もいる。実際隣りの庭師の男性は生唾をのんで少し口元が緩んでいる。


そんな、従者達を僕は内心……このド素人が!と思っているのだが、さすがにその言葉を口にはしない。


(随分とラフな衣装に着替えたな…。)


街娘と何ら変わらない衣装でカーテンから出てくるミセル姫。それでも白手袋は外さないようだ。ドレス姿のイメージしかなく逆に一般的な衣装で登場すると、従者達は新鮮さを感じるかもしれないが、僕は見た時から胸騒ぎがしていた。


平民の食を味わいたい気分。


(やっぱり。姫様の我儘が始まるぞ。)


「グレンの護衛だけでじゅうぶんですの。」


拒否権を持てない従者達は、今晩は宮が静かで助かると内心喜んでいる。


後は任せたぞグレン。


「派手さはないけど、随分と動きやすいお洋服ですわ。」


軽快に宮の階段を降っていくミセル姫。お茶会の勝利だけで随分とご機嫌になるものだ。


「随分と、お硬いお肉ですこと。」


屋台の串焼き肉に興味を持ったミセル姫。先にいた客達を「おどきなさい!」と一蹴し屋台の店主にも早く焼きなさいと我儘三昧。


貴女はそれで良いかもしれないが、僕は割り込まれたお客様へ謝罪をし、お金も払わない粗暴の謝罪も込めて販売価格より多めのお金を払っているんだ。


だから、串焼きを反対に持って肉を摑んで汚れた白手袋に謝罪しろと店主にクレームを入れるのを辞めて下さい。


世間知らずを飛び越えて、単なる頭の弱い人だと噂が広まったら王族の威厳がなくなります。


「嫌、嫌ったら嫌よ。触らないで。」


僕は、串焼き肉の甘ダレでベトベトになってしまった姫様の白手袋を外すように話したのだが、頑なに拒まれた。そう言えば姫様が手袋を外したところを僕は見たことがない。


どうせあと少しの従者生活だ。既に嫌われているし、地元に戻れば、そうそう会うことはないだろうから、色々質問してみようかな。


「姫様は白手袋に何かこだわりがあるのですか?」


広場の噴水の縁のレンガに腰をかけ、変色した手袋を見つめる姫様。


どうやら珍しく僕の話しを聞いてくれたみたいだ。


「グレンは田舎者だから知らないのよ。王族…いえ貴族もね。女は、白手袋を外す時は自分の意思を相手に示す時なのよ。」


レンガに座り脚を落ち着きなく上下に動かす姫様。こんなだらしがない姿を、もしメイド長が目撃したら寝込んでしまうだろうな。


「ふ〜ん。城外から見る星空も綺麗なものね。」


確かに今日の星空は満天だ。レンガの縁を掴み身体を反らせ中を見上げる姫様。


だから、僕はあれだけ手袋を外せと言ったんだ。人の話しを普段から聞かないから、こういう時に罰が当たる。


姫様は隣りで座っていた僕の視界から、ゆっくりと消えていった。


「あ。流れ星です姫様。」


彼女からの返事は「バシャ〜〜ン」だった。噴水に背中から落下した姫様。慌てた僕が咄嗟に差し出した手は、彼女を救い出すには遅すぎた。僕の手の先には股を開いてだらしない姿の姫様が藻掻き苦しむ情けない…お姿だった。


「クシュン!」


「姫様。今しばらくの辛抱です。」


「クシュン!」


「宮が見えました。」


「クシュン!」


僕は姫様を背負い、急いで宮に戻っていた。普段から稽古している僕からしたら姫様を背負うくらい何にも苦ではない。しかし水分を含んだ姫様の服は重く彼女の体力を確実に減らしている。

くしゃみも止まらない。

嫌われているし、僕も嫌っている。それなのに、僕は姫様を案じて宮の階段を駆け上る。


姫様の容態が心配でしょうがない気持ちでいっぱいだ。


「誰か、着替えとお湯の準備を!」


宮の入り口で声を張る僕。今晩は宮が静かで助かると思っていた従者達を焦らせた。


(姫様…やっぱり僕がいなくても大丈夫ですよ。ほら皆、姫様のことが心配で、急いで集まったてきましたから。)


「クシュン!」


嫌味と意地悪と小言。彼女の代名詞を好む者などいないのに、貴女を放っておけない人達が大勢いる。


それが貴女の魅力なんでしょう。




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