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トレイン・ラブストーリー  作者: 青空晴
一章:運命ってなんだろう
1/1

運命ってなんだろう 1

2024年8月

今日は大学最後の登校日。俺はいつもと同じように赤の電車に揺られながら1日の始まりを感じる。

淳也(あつや)、久しぶりじゃん。」

ポンっと肩を叩かれる。叩いた奴は俺の高校時代の親友の瀬戸馨(せとかおる)。こいつとは、高校時代クラスも同じ、部活でも同じで毎日を共に過ごして来た。大学はやりたいことが違ったため、別れてしまって、LIMEはするものの会えてはなかった。

「久しぶりだな、元気にしてたか。少し雰囲気変わったな笑」

久しぶりに会う彼は髪を金色に染め、ピアスを開けていた。高校時代の彼とは全然違うなと少しだけ悲しい思いになった。

「お前は全然だな」

少しだけその言葉が心を抉った。

彼は隣の駅で降りるらしい。

「また飯でも行こうな。」

お互いに手を振りながら違う道を見つめる。親友にあったが、少しだけ憂鬱な朝が始まりそうだ。

大学1年の夏が始まろうとしているのに、俺は大学にも慣れず、友達もいない。大学デビューだって何もできないまま、あっという間に半期が終わる。

深いため息を心の中でついていると、フワッとした匂いと共に、電車の扉が開く。

【星海丘、星海丘 天王線お乗り換えのお客様はこの駅でお乗り換えください。】

僕は少し眠い目を擦りながら、頭全体を扉の方に向ける。

白いワンピースにポニーテール。クリっとした目と、高い鼻。うっすらとピンクの頬と唇。スマホを見つめる彼女に僕は目が離せなくなった。

満員電車の中では、居心地が悪そうに、彼女はあっという間にサラリーマンたちの間に潜り込むように見えなくなってしまった。

電車に揺られている毎日なのに、どうしてか、動悸がする。初めての感覚に戸惑いながらも、目線が変わらない。すっかり見えなくなってしまった、彼女の方だけを見つめる。

電車が駅に止まるたびに、人が減って行く。

水花橋(すいかきょう)、水花橋、、、】

大学の最寄りの駅に着いた。席を立ち上がり、扉の方に向かうと、扉の袖のポールに掴む君の姿があった。少しだけ横目で見ると、目が合ってしまった。お互いに気まずそうにそっと目を逸らす。彼女の横を通った時、入って来た時に感じた、(スミレ)の香りが漂って来た。

改札を出て、バスに乗る。バスの1番後ろの窓側。僕のいつもの席。ここに座りながら、ぼーっと外を見る。時には雲の様子見たり、登校中の小学生を見たり、乗用車を上から見ることに少しだけ優越感を覚えたり、なんだかつまらない1人の時間をそんなふうに埋めていた。

そんな生活が今日で一旦終わりらしい。

学校に行き、1〜3限を受ける。どの講義でも、期末レポートの説明をされる。どうして大学が終わるのに、レポートがあるんだと内心思いながら、周りはそれを口にして、

「めんどくせー」「チャットgpqに聞こうぜ」とか口々に騒いでいる。

この後は少しだけ図書館にでも行ってレポートを書き上げようかな。そんなことを思いながら昼ごはんを食べる。外が見える1人席の一番端で今日もいつもと同じようにカレーを食べる。少しだけこの味が食べられなくなると悲しい気持ちになるが、永遠の別れということでもないので、黙々と食べ進める。

3限の時間が終わり、口々に

「夏休みだー!!!」と言う。やっと終わったのかと思いつつ、朝の親友の一言を思い出す。何もなかったなと思いながら、図書館の席に座り、パソコンを開く。


気づいたら寝てしまっていた。時計を見ると5時だった。1時間は寝たのだろうか。少し焦りながらもう一度パソコンに目をやる。


気づいたらすっかり暗くなってしまった。後は家でやろう。レポートに必要な資料だけ借りて、バスに乗り込む。誰も乗っていないバスに乗り込むのは久しぶりだな。そんなことを思いながらいつもの席に座る。


今日もいつもと同じ帰り道。だけど明日からは学校に行かなくていい。夏は何をしようかな。免許を取りたいな。そんなことを思いながら電車に揺られる。

【星海丘、星海丘、、、】

こんなところまで来ていたのか。アナウンスで目が覚める。目を擦り、(おもむろ)に扉の方に目を向けると、朝と同じ彼女がいた。彼女は少し眠そうに目を擦り降りて行く。なんだか運命を感じた。少しだけ上気分になった僕は最寄り駅を降りスキップをしながら駐輪場に向かう。だけどもう夏休み。もう会えないかもな。名前も知らない誰かを想像して一喜一憂する。もう一度会えたら、声をかけてみたい。無理だとわかっていることを考えながら今日も家に帰る。

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