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08.葛藤と窮地

逃げちゃった。

なんかよく分からないけど逃げちゃった。

とりあえず、トイレにはジンがいる。

ジンと会って落ち着こう...


レルは勢いよくトイレの扉を開けて中に入った。



「うわ!どうしたレル?!漏れそうなのか?!」


「ちがう...ちょっと落ち着くための時間が欲しい...」



あぁ...

どうしたものか...

あれは絶対()()()()だ。

中学校の時はボーイッシュで女子からモテるタイプの女子だった。

長髪になっていて気づかなかったがあれは間違いなくクリファだ。

中学生の時も度々女子であることを忘れる程男勝りだったからな...


ふぅ。

少し落ち着いてきた...

はぁ...

謝ろうと思っていたのに何をやっているんだ俺は...!


俺は昔から謝るのが苦手だった。

申し訳ないと思っていなかったわけではない。

その逆だ。

申し訳ないと思うからこそ謝れなかった。

謝りたいが、謝れない。

その性格がたたって俺は昔からストレスを抱え込むことが多かった。


元々ストレスを溜めやすい性格ではあったが、それを言い訳にしようとする自分に腹が立つ。

そして余計にストレスが溜まる。

これじゃダメだ。

何とかして謝ろう。

それが両者のためだ。



「そろそろ出る?」



心の中で決意するとともにジンの声が聞こえてきた。



「あぁ」



トイレを出てクリファを探す。

近くにはいないようだ。

てっきり追いかけてきているものかと思ったが...


クリファを探しているとダッティーの姿が目に入った。

こっちを向いて手招きしている。

相変わらずそこら辺のおじさんにしか見えない。

周りの人が着てるナトラス学校のマントっぽい制服が奇麗なのも相まってだろうか。


ジンもダンに気づき、二人で向かった。

小走りで近づくとダンが話し出した。



「お前らはあそこに見える班と共に行動することになった」



ダッティーが指さした方向を見ると、ガタイのいい四人組の生徒が見えた。



「強そうだな」



レルがそう言うとジンが反応した。



「そうだな」


「んあ?いや、そこのガタイのいい奴らの奥の班だぞ」


「え?」



いや、まさかな。

そうだとしたら誰かが仕組んでるって言われても信じるぞ。

レルはもう一度さっきの方向を見て、さっきより奥に目を凝らした。

そこには―――




――クリファがいた。

人生の心配事の9割は起きないなんて嘘っぱちだ。

お腹がキュウっと締め付けられるような感覚がする...



「おっ!レル!あのかわいい子だぞ!やったな!」


「そ、そうだね...」



ジンはあまり乗り気ではないレルを疑問に思いつつも、レルの手を引き班の方へと向かう。

クリファはまだ友達と話している。

だんだんと近づいていく。


謝らなきゃ。

ちゃんと。

謝らなきゃ。


ついに会話できる距離まで近づいた。

ジンが友達と二人で話しているクリファに話しかける。



「こんにちは!今日一緒に行動することになったジンです!よろしく!」



ジンはコミュ力が高い。

正直、なんで俺とつるんでくれるのかよく分からない。

俺もコミュ障なわけではないが、得意でもない。



「レルです。よろしくお願いします」



クリファとその友達の視線がこっちを向く。

クリファと目が合いそうになったが、互いに目を背ける。

いざ対面すると、準備していた言葉も出ない。


いきなりクリファの隣にいる女の子が寄ってきた。

白髪で奇麗にまとめられたポニーテール。

顔もかなり奇麗だ。

お嬢様って感じ。



「あんたがレル?!クリファから話は聞いてる...!

よくそんなテンションで話しかけて来れるよね!?」


「っ!ちょっとセレ!そういうのはなしって言ったじゃん!」



クリファがレルに詰め寄るセレを止めた。

可愛いけどめんどくさいタイプだな...


女子たち二人が言い合いしている間にジンがこっそり聞いてきた。



「レル...昔なんかやらかしたのか...?」


「まぁ...いろいろね...」



そうじゃないだろ!

俺はこんなことをしている暇はない!

とにかく謝りたい...が、今はそんな雰囲気じゃないな。

それに、できれば二人きりの時に謝りたい。

謝ったときに周りに色々言われるのが嫌だという気持ちもあるにはある。

だけど、謝られた側も人の前では許さないといけないような雰囲気になることがある。

俺が言えたことではないが、俺は人にやられて嫌なことは人にしたくない。

ましてや謝罪となるとなおさらだ。


レルにとって謝罪は重要な意味を持っていた。

過去に大きな何かがあったわけでは無いが、気づけばそうなっていた。


女子二人の言い合いが終わるころ、ジンが場を仕切りなおしてくれた。



「とりあえず、今日は無事に実習を終えることに集中しましょう!ね?」


「もう!分かったわ...クリファもあんま気にしてないみたいだし、

()()()()()()!このくらいにしといてあげる」



...

すっごくやりにくい...


「まぁ...どんまい...」



ジンも苦笑いしていた。

こうして実習が始まった。


命懸けではあるが、まぁ大丈夫だろう。

ナトラス学校の教員もダッティーもいる。

何より我らがダッティーは最強だ。

何かトラブルがあってもなんとかなるだろう。


謎の安心感を胸に、レルたちは森へと入った。

ここからは教員が生徒の後ろにつき、森を進む。

それぞれの班がそれぞれのエリアでモンスター討伐をする。

教員はいざという時まで動かない。


森に入ると緊張するな...

モンスターはかなり強いし、怖い。


子どもが親の言うことを聞かないと、「家にモンスターが来て食べられる」という文言に使われるくらいに。

一般的な人達では、そこら辺のモンスターにさえ手も足も出ないだろう。


このメンツであれば流石に死にはしないだろうが...

腕や足が持っていかれてもおかしくは無いな。

それに先生が介入するタイミングを見誤るという可能性もあるが...


気づけばレルはネガティブな考えで頭が染まっていた。

これは非常にまずい。

戦闘において、メンタルはとても重要だ。

分かってはいるが、考えないようにするほど意識が向いてしまう。

そんな状態でしばらく森の中を歩いた。



なんか嫌な予感がする。

いきなり虫の鳴き声が消えた。



数秒の沈黙が走り、直後沈黙の中に草木のガサガサという音が鳴る。



「レル!右だ!」



ジンの焦る声。

レルは咄嗟に、右からの奇襲を避ける。

ダンはその光景を近くの木の上から見ていた。


(タイガーウルフェン...。いきなりいける相手なのか?

 周りの教員の反応を見るにそこまで珍しくないのか。

 A級でも一人だと苦戦するくらいの強さはあるはずだが...)



「クリファ!俺が引き付けるから援護を!――


鎌風裂斬(かまいたち)!」



レルがクリファに目をやると、クリファは詠唱と共に手から何かを飛ばした。


詠唱?!

ダッティーから教わっても俺は出来なかったのに...!



詠唱。

出す技を口に出して体に準備させておくことで、放出系の天造術を扱う際に、込められる天造力量が大幅に上昇する。

だがレルが驚いていたのは詠唱の短さだった。

詠唱はほうきを指先に乗せ、バランスを取るがごとき集中力が必要である。

技を出す体、もしくは武器の部位に力が集まる感覚をイメージするために、詠唱の長さはあった方がいい。

未熟な者が短い詠唱をしても無詠唱と威力はほぼ変わらない。

そのはずなのだが、クリファの技は威力が明らかにおかしかった。



レルが唐突な出来事で呆気に取られていると、クリファの技がタイガーウルフェンに命中した。

クリファの放った『鎌風裂斬(かまいたち)』はそいつの右前脚の肉を裂き、体勢を崩させた。



「レル!とどめお願い!」


「分かった!」


「俺もやる!」



レルとジンは二人で突撃した。

相手が立ち上がろうとしたところで、ジンが地面に手を当て電気を流す。



「グゥッ!...」



また怯む。

ジンが得意なのは『操作系』

雷の操作系は色々な物質に通電しやすいという特徴を持つ。



「ナイス!ジン!そして...

ごめん!ガントレットの試用がてら倒されてくれ!」



そう言うとレルはガントレットに天造力を込め始めた。



「!」



ガントレットが想定以上に天造力を吸収した。

これは要調整だな。

というか威力がやばそうだ。

これ大丈夫か?

想定の5倍は多く天造力使っちゃったけど――



大丈夫なわけなかった。

反動で肩が外れそうになる。

ドカンと大きな音と共に、ダイガーウルフェンが首を不自然な方向に向け吹き飛んでいく。

死体を確認せずともその場にいた全員がタイガーウルフェンの死を確信した。




(前より扱える天造力量が増えている...。この様子だと、戦場でも大丈夫そうだな)


一方でダンはガントレットが有用であるという確信を得られた。



「レル!今のやっばいな!俺もガントレット欲しい~!」


「やめた方がいいよ。これめっちゃ疲れるし、調整しやすいようにしてもらお...」


「機械頼りじゃん」



セレが会話に割り込んできた。

絵にかいたような生意気女だ。



「でもさ君、さっき何にもしてなかったよね?」



ジンの痛烈の一言。



「...」


「まぁまぁ、俺らもクリファのおかげで楽に勝てたんだし、あんま言わなくてもいいんじゃないか?」



てのは建前。

いいぞ!もっと言ってやれジン!

ジンはいいやつだから、さぞ言い返しにくいだろうな。



少しすっきりした。


はぁ...

いつクリファに謝ろうかな...



――――――



あの後からも順調に実習は進んだ。

謝ることは出来ないまま...

モンスターもタイガーウルフェン以上の奴はまだ見ていない。

正直、今来られるとキツイから見れなくて良いんだけどね...

それにしてもずっと同じ景色だな。


ん?


レルが代り映えしない森を見渡していると、奥から人が走ってくるのが見えた。


学校の生徒でもないな...?

誰だ?



「おーい!お前ら!ナトラス学校の人たちだろ!?助けてくれ!」



慌てた様子で男が大声を出しながら近づいてきた。

男は俺たちに駆け寄り、息を整えた後に話し始めた。



「俺ら、冒険者協会の依頼で行方不明になった男を探してたんだ!

 それで森で洞窟に入ったりして探してたんだが、最後に入った洞窟がまずかった...!

 洞窟の中に白いタイガーウルフェンがいて、俺の仲間が二人戦ってるんだ!

 どうか助けてくれ!」


「あなたの仲間の階級は?」



レルが問う。



「二人ともA級でそれも上澄みだ。だけど俺が見た限りかなり押されていた...」


「それは生徒では手に負えませんね」



後ろから白髪のナトラス学校の教員が話に入ってきた。

服には色々なバッジがついている。

おそらく教員の中でも上の役職だろう。



「失礼。私はナトラス学校校長のウェリタスです。

 それにしても、白いタイガーウルフェンなんて聞いたことがないですね...

 タイガーウルフェンは基本黒色で、まれに紺色に近い個体がいるくらいです。

 それにA級の上澄み二人が押されているなら、生徒たちでは無理でしょう。

 ですが...私たちであれば対処可能かと」


「本当ですか!?」


「えぇ、よければ案内をよろしくお願いします」


「分かりました...!こっちです!」


「では、生徒たちは森から出ておくように。教員たちはついてきて、救助に回ってください」



ウェリタスが指示を終え、男の方へ向かおうとする。

次の瞬間白い何かがウェリタスを上から奇襲した。

爆発音とともに砂埃が舞い上がり、木々が揺れる。



「ウェリタスさん!?」


「!」



皆驚愕した。

ウェリタスが奇襲を仕掛けられたこともだが、

目の前に現れた白いタイガーウルフェンにだ。

それだけならまだよかった。

タイガーウルフェンが飛んできた方向を見ると、二匹の白いタイガーウルフェンが見えた。

合計で三匹。


ウェリタスさんは大丈夫なのか?

というかダッティーはどこに?

いや、とりあえず今は自分の心配をした方がよさそうだ。


白いタイガーウルフェンはレルたちを囲むように展開した。

だが、ウェリタスを攻撃したタイガーウルフェンがバランスを崩した。

よく見ると足に切り傷がある。

タイガーウルフェンの横に目を移すと、水を刃のように手に纏わせているウェリタスが立っていた。



「奇襲...。ある程度の知能までもっているとは厄介ですね。

 それに、足を切断するつもりで攻撃したのですが無理でした。

 教員の皆さん!注意してください!一匹一匹がS級相当の可能性があります!」



いやいやいや。

ちょっと待ってくれよ。

アクシデントは予想していたが、これは予想外だ。

珍しくジンも動揺しているし、クリファとセレは今まで以上に真面目な顔をしている。

それだけS級というのは強大なのだ。



「教員は生徒第一で行動してください!」


「分かりました!」


ウェリタスが指示するとともに教員がレルたちを囲むような陣形をとった。


タイガーウルフェンは三匹。

教員は校長合わせて五人。

冒険者もある程度は戦える。

負けることはないだろうが問題は俺たちだ。



「!」



タイガーウルフェンが三匹で同時に攻撃を仕掛けてきた。

狙いはやはり俺たち生徒か...

見た感じセレが危なっかしいな。

回避に慣れてなさそうだ。

駆け寄ってきた男は冒険者なだけあって安定して回避している。



「クリファはセレをしっかり見ておけ!俺らは俺らで対処するぞ!」


「うん!分かった!」



クリファは大きく返事をした。

レルたちは各自で攻撃を回避し、攻撃をすかし、隙のできたタイガーウルフェンに皆で攻撃する。

これを繰り返せば勝てる...!


教員はどの攻撃もS級、元S級なだけあって強力だ。

全長8mほどある巨体を10m以上吹き飛ばしている。

一方、俺たちの攻撃は意味がなさそうだ。

教員は俺たちを気にして本気でやれていない...。


同じやり取りをあれから数分繰り返す。

相手もボロボロだが、教員にも疲れが見え始める。


また攻撃来る。

今までと同じように避ければ――



「!?」



タイガーウルフェンは最初の攻撃をわざと軽くし、追撃を仕掛けてきた。

まずい!避けれない!


衝撃に備えレルは目をつぶった...

が、攻撃が来ない?



目を開けると教員の一人がレルとタイガーウルフェンの間に入り受け止めてくれていた。



「ぐぅ!」


「すみません!油断しました」


「気にするな!だが、もう守りながら戦うなんて無理だ!

 ウェリタス校長!撤退しましょう!」


「そうですね。もう相手もボロボロのようですから、戦いながらの撤退も可能...。

 ですが、私は残ります。追わせないのが最も確実です。ここは任せてください」


「...。すみません...!校長!」



教員四人はウェリタスに深くお辞儀をし、レルたちを率いて逃げようとした。

しかし、振り返った先を見て広がる光景は絶望と呼ぶのがふさわしい光景だった。



「はっ...俺らが全盛期だったらどうなってたかな...」



教員のボヤきが静かな森に消えていく。

帰ってきたのは白いタイガーウルフェンの群れの呻き声だった。



「すまない...。お前たち...。やれるだけのことはやってみるが、望みは薄い。

 期待せずに見といてくれ...」



一人の教員がそういって前に出ると他の三人の教員も続いた。



「昔、戦場にいた時もこんな陣形で戦ったもんだ...」


「懐かしんでる余裕ないですよ、カディ先生」


「窮地になるとやけに冷静になるんだよな」



教員たちが構えると、タイガーウルフェンが次々と飛び掛かる。

その攻撃を強化系の教員が受け、放出系の教員が攻撃、操作系の教員が妨害し退ける。

残り一人は詠唱術を使い急所を狙って決めきる。

完璧な連携だ。

皆すごいのだが、詠唱による攻撃はなおさらだ。

長い詠唱だが急所に入ったタイガーウルフェンは一撃で屠れている。



レルは緊急事態だということを忘れ、その戦闘に見入っていた。

名前を呼んで応援したいくらいだが、聞けていない...。

名前を聞くためになんとか生きて帰らなければ。


教員たちはかなり良くやっている。

だが、さっきまで戦っていたのだ。

疲れが見えるのは早い。

タイガーウルフェンの攻撃を受けきれなくなってきている。

それに群れはまだまだいる。

見えているだけでも八匹。


息をする間もない猛攻撃にたまらず、攻撃を受けていた教員が怯む。



「ゴーディ!大丈夫か!?」



なにかした方がいいか!?

でも俺らが行って足を引っ張ったら...



「こっちです!」



この声は!

ウェリタス校長!?


攻撃態勢に入っていたタイガーウルフェンは攻撃の対象をウェリタスに切り替えた。

攻撃を請け負った男は苦しそうにそれを凌ぐ。



「ウェリタス校長!?さっきのタイガーウルフェンは!?」



さっきのゴーディと呼ばれていた教員が聞く。



「倒しました。三匹とも。ですがもう動けそうにないです...。

 それと、タイガーウルフェンを倒してできた時間で、学校に緊急事態を意味する攻撃を放っておきました。

 ですので救助が来るまでの間、何としてでも生徒たちを―――



ウェリタス校長が説明を終える前に、辺りに衝撃波が走り轟音と共に周りのタイガーウルフェンが全て吹き飛んだ。

そこには稲妻がバチバチと音をたて走っていた。



「野グソが嫌で学校のトイレ行ってる間に何があったんだ?」



この声は...!



「ダッティー!」


「様子を見るに相当まずい状況みたいだな...。

 とりあえず、ナトラス学校の教員たちはこいつら連れて逃げてくれ」



その言葉にウェリタスが反応する。



「そんな人を殺すに近しいことなど出来ません!このウェリタスもご一緒させてもらう!

 全盛期であればこんなやつら―――


「でも今は老いぼれだろ?」


「...」


「それに、こんな奴らに負けるほどヤワにみえるか?」



ウェリタスは黙ってしまった。

一方、いつも通りのダンにレルは安心した。

さっきまで黙っていたウェリタスが口を開く。



「分かりました...。あなたの噂は耳にしたことがありますし、先ほどの攻撃も凄まじかった。

信じてみましょう。皆さん!撤退です!」



レルたちは学校に向かって走り始めた。

レルたちを襲うタイガーウルフェンをダンがすべて弾く。

ダンの動きが速すぎて見えず、タイガーウルフェンは見えない壁に阻まれているようだった。


ダンの援助あって、レルたちは命からがら無事に森から逃げ出すことができた。



「教員やってて死にかけたのは今日が初だ!」



森を抜けて安心したのか教員の一人が笑いながら言った。

それをきっかけに教員たちで談笑が始まる。



「あの!」



レルが声をかける。



「すみません。僕たちの為に戦ってくれた先生方の名前を知っておきたいんです。

 教えてくれませんか?」


「俺も聞きたい!」


「私もお尋ねしたいです」


「わたしも助かったし、聞いておきたいわ」



レルが教員に名前を尋ねると皆も追随した。



「俺は『ペグドア・ロディ』放出系の技が得意だ。こいつが『ペグドア・ゴーディ』

 実は兄弟なんだ。兄弟で教師なんて珍しいだろ?」


「見ての通り強化系だ」


「そうなんですか!僕も強化系なんですが、機会があれば力の扱い方を教えてください!」


「あぁ、いいぞ!」



師は多い方が良いよな。

すごくガタイがよく心優しそうな先生だ。



「ワシは『レシェ・ド・カディ』詠唱が得意だ。休日は暇だし色々教えてやってもよいぞ~」


「よろしくお願いしますね」



こっちの先生はマイペースなおじいちゃんって感じだな。



「俺は『クレセルド』ここじゃ操作系が得意ってことになってる。実際は天造を使えないんだがな。

 剣魔大陸にある島国の風習で、苗字はないんだ。」



剣魔大陸は、剣技と魔法という天造と似た力を扱える人種が集まっている大陸だという。

生きているうちに一回は行っておきたい。



その後、レルたちも自己紹介をして教員たちと仲を深めていった。



ダッティーの心配は...しなくてもいいか。



――――――



森の中で髭面のおじさんが一人。

周りには白いモンスターの死体が転がっている。

ダンは白いタイガーウルフェンの群れを片付けていた。



「強力なモンスターの群れ...。統率役がいないとおかしいだろ?」



男の問いかけに唸り声だけが帰ってくる。

ダンの視線の先には一軒家ほどの大きさの白いタイガーウルフェンがいる。

汚れがなくすごく綺麗な毛並みをしていた。



「ボスのくせに傷、汚れ一つないのか...?いや、ボスだからこそか?

何はともあれ、久々に良い運動ができそうだ」



ダンが構えるのを待つことも無く、群れのボスはダンヘと襲いかかった。

謝ることの難しさってのはあるよな

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