レルの訓練
やっぱり訓練は厳しいものだ。
毎朝起きたら、いままでの倍近くの量の朝食を食べる。
学校まではいつも通りジンと行き、その後1人で学校から12km近く離れた訓練場所まで、10分以内で走る。
ほぼ全速力だ。
訓練場所についたら剣の素振り。
縦、横、斜めをそれぞれ500回3セット。
全身に天造力が駆け巡るのを感じながら振る。
体を筋肉と、天造力10:10の割合で動かす感じだ。
素振りが終わったら、先生が用意してくれたダミーを斬る練習。
複数体のダミーを近いところから順に処理していく。その時ダッティーは、電撃を飛ばし邪魔してくる。
流れが乱れるとやり直しだ。
本音を言うとかなり辛い。
訓練開始から1ヶ月半。
最初の1週間は何度もバックレようか悩んだ。
だが、ダッティーは僕のために精一杯やってくれてる。
それを裏切りたくはなかった。
慣れると訓練してて良かったと思える時もある。
体の疲労感はあるが、精神はかなり健康になっている。
夜は寝付きも良くなった。
それにダッティーの訓練メニューは、練習と休息のバランスがいい。
だから続けられる。
大量の昼食を食べた後、30分間は自由時間だ。
俺は基本マイフォンで時間を潰す。
ダッティーはその間天造技術を磨いている。
本人によるとほぼ惰性でやってるようなものらしい。
自由時間が終われば地獄の筋トレ開始だ。
日によって鍛える部位が変わるから、筋肉痛を理由に休めない。
完成されている...
今日は俺の嫌いな体幹と脚を鍛えるトレーニングだ。
300kg近くの岩と自分を紐で括り付け、直径2km程あるクレーターの周りを20周走る。
歩くのでは無く、走る。
これも天造力を使って良いが、使ってギリギリの重量にされている。
それが終わってやっと天造技術の訓練ができる。
今は"体外の天造力"を扱う訓練をしている。
人は基本、飲食や呼吸を通して体内に天造力を蓄え、それを使って天造術を使う。
しかし、天造術士などの実力者になると、体外の天造力も使うようになる。
天造力は素粒子よりも微細な粒で、どんな場所にも満ちている。
それを扱う技術だ。
実力者たちの間では常識らしい。
しかし、栄誉天造術者のその技術は異常だそうだ。
そこらのS級術者では、自身の肌から30cm程の範囲が限界だが、栄誉天造術者は8人全員が、3m程の距離まで範囲らしい。
バケモノだ。
だけど、うちのダッティーには敵わない。
そんな先生から教えて貰ってるんだから、俺も強くならないとな。
天造技術の訓練を終え、レルは帰路へとついた。