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となりの新崎さん  作者: 百合桜
一年生一学期
13/76

もやもや

 「た、たかなしくん、ちょ、ちょっと、いい……?」


 「浅見さん。いいよ。どうしたの?」


 「図書室の件で……」


 「あぁ、なるほど。

 ごめん新崎さん。笹塚達んとこ先行っといて」


 「わかった」



* * *



 「じゃあ今度行こうず」


 「俺はいいけど、2人はどう?」


 「問題ねぇぞ」


 「私も、大丈──」


 「あ、たかなしくん、お話中ごめんね。図書室の件で……」


 「あっ、と……ごめん、少し外すね」


 「図書室ゥ?」


 「あの子、浅見ちゃんだっけ。

 小鳥遊と絡みあったんだな」


 「……最近よく一緒にいるよ」


 「へぇ〜」



* * *



 「じゃあそろぼち帰んべ~」


 「あ~笑った笑った」


 「笹塚のドベは安定だったな」


 「お前も3位常連だろうが」


 「あ~あ、あたしらのプレイングが神なばっかりに」


 「またやろうね」


 「おっ、小鳥遊……くん、帰り際にごめんな。

 例のアレがちょっと」


 「アレ……ああ、アレか。長くなりそう?」


 「多分。10分くらい」


 「あ~……ごめんみんな。待たすのも悪いから、先帰ってて」


 「……」


 「ん? 人手要るなら手伝うが?」


 「いや、それは間に合っている」


 「ふ~ん? そ?

 じゃあ先帰えるわ。また明日な」


 「……」


 「馬鹿。明日は土曜だぞ」


 「あれ? そうだっけ?」


 「……」





 「……ごめん、私、手伝ってくる」


 「あ、マジ? ……って、新崎意外と足速いな」


 「りっちゃんああ見えて運動出来るぞ」


 「へぇ〜。意外」



* * *



 第二書庫……小鳥遊くんと浅見さん、こんなところで、いったい何を……?



 「スマンな急に」


 あれ、浅見さんって、あんな喋り方だっけ?


 「いや、いいよ。家帰ってもやることないし」


 「お前……予習も復習もやらんのか? 勉学は学生の本分だろう。もう少しちゃんとだな」


 ──ッ、こっちに来る……?


 「まっ待て、帰るな! 話の途中だろうが!」


 「説教が始まったから、つい。ごめんね」


 「勉強の話はNGか。なるほど」


 小鳥遊くんは勉強が苦手……ふーん。


 「で、今日はどうしたの? 言っとくけど、俺もう浅見さんに教えられることなんてほとんどないよ」


 「あ、き、今日、今日な。

 今日はな、えっと、その……」


 「煮え切らないね。何かあった?」


 「あ、いや、その……」


 ……なんか、空気が変。

 にがくてあまい感じ。


 「その、め、迷惑……か……? こう、急に、来てって言うの……」


 迷惑……


 迷惑か。


 「迷惑じゃないけど、どうせなら、皆一緒の方がいいかな」


 「なッ! そ、そんなの、ワタシを磔刑の後投石ときどき刺突で、週末には臨終だろう!!」


 「何言ってんだよマジ」


 ほんとにね。


 だけど、そっか。

 浅見さん、小鳥遊くんのこと……


 「まだ機が熟していないだろう! もうしばらく友誼を結んだ相手との遊戯について、ワタシは学ばなければならないんだ! お前等の仲に混ざるのはそれからだ!」


 ……ああ、そっち。


 「ん〜……でもさ、実地で学ぶのが一番じゃない?」


 「だからそれは磔刑の後──」


 「とりあえずさ、今日は一緒に帰ろうよ」


 「…………お前が其処まで云うなら、仕方ないな」


 「ん。じゃあ行こ。多分待ってくれてる」


 あっ、来ちゃう。

 ど、どうしよう……


 「ん? 帰っててって、云ってたじゃないか。

 何でまだ残ってるって理解るんだ?」


 「いや、俺なら待ってるし、皆もそっち側の人だから」


 !


 「然うか……フォローは頼むぞ」


 「任せてよ。

 じゃあ、帰ろっか」


 「ああ」



 ……



 「っと、新崎さん」


 「……」


 「どうしたの? もしかして、手伝いに来てくれたとか?」


 「う、うん……」


 「そっか。でももう終わったんだ。ごめん。ありがとね」


 「うん……」


 ……



* * *



 漫画みたいに、ベッドに倒れ込んだ。

 オノマトペは『ボフッ』。


 別に、嫌なわけじゃない。

 わかりきってたことだもん。


 小鳥遊くんの友達は、私だけじゃない。

 笹塚くんとか、せーちゃんも、友達だもん。


 でも、なんだろう。何かが引っ掛かる。


 浅見さんは、あの2人と、何が違うんだろう。


 書庫で見た浅見さんは、普段と様子が違った。

 普段は大人しい人って印象だったけど、あの時だけはハキハキと喋ってて、自分に自信がある感じ。だから、全然違う。


 あれは、小鳥遊くんの前でだけ?


 だとしたら、なんで?


 どこで接点が生まれたのかな。

 私が知らないところで、2人で何かをしていたのかな。



 なんでそんな、急に接近して、秘密の共有とかいう、漫画みたいなことしてるのかな。



 なんか、もやもやする。





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