表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生女神ノ救世譚  作者: X-PICA
第一章 ジークフリード大森林編
1/12

第1話 全てはここから始まった。

すべての始まりは9年前。

私が7歳の時のとある出来事から始まった。


兄姉と共に遊んでいた私は気がつくと見たこともない森の中に佇んでいた。


本当に一瞬の出来事。

まばたきする間の出来事。

そんな一瞬の間に私は森の中にいたのだ。


言っている意味が分からないって?

安心して。

私も当時は何が起こっていたのか分からなかったもの。


私が住んでいた場所は草木もほとんど生えていない、岩や石がそこら中にあって、ゴツゴツした土地だった。住んでいる生物も大きくて凶悪で好戦的なものばかり。建造物よりも大きいミミズ、分身する狐、血を吸う猿とか火を吹く大きなトカゲとかね。


でも、私が迷い込んだその場所は木々が生い茂り、地面には緑の絨毯が広がり、辺りを見渡せば小さくて可愛い生き物がたくさん。

切り株の上でどんぐりを食べるリスの親子に空を飛ぶ青い鳥、川を泳ぐ小魚、咲き乱れる色とりどりの花々。


当時の私の知る景色とは似ても似つかない。


生まれた感情は恐怖と困惑。


突然一人となった上に何が起こったのか分からない。

こんな状況下において齢7歳の幼い少女がまともな判断を下せるはずがない。


幼い当時の私は彷徨い歩き始めてしまったのだ。

自分の置かれた状況を考えることもなく、どうすれば帰れるか考えることもなく、ただただ兄姉の姿を探し始めたのだ。

「ギル兄!メロ姉!ジル兄!」と叫びながら。


森を彷徨い三日経つ頃には、私は意識も曖昧になり、足元も覚束なくなっていた。


この時のことは私はあまり覚えていない。でも、強烈な空腹感に襲われていたことは覚えてる。この時のことがトラウマで16歳になった今でも未だに空腹に対する恐怖心は消えない。


そして遂には力尽き体を動かすこともままならなくなった。

声も掠れて出なくなった。


でも、そこに希望の光が射した。

人の声がしたのだ。


「幼き迷い子か……。珍しいこともあるものだ。」


薄れゆく意識の中、頭の中で男の声が木霊した。


「よく生き延びたな。もう安心してよい。我が名に誓い、そなたを救ってやろう。」


彼の背中の上で私は意識を失った。


目が覚めると眼前に知らない天井があった。


「こ、ここは……。」


掠れた声で呟くと、すぐ隣りから声がした。


「目を覚ましたか。」


私は驚いて声のした方へ目を向けた。


2mはあるであろう巨躯に広い肩幅、燻んだ緑色の髪に鋭い深緑色の三白眼。

見るものに恐怖心を植え付けるその姿をまじまじと見た私の体は硬直した。


「あ、あ……。」


声にならない声を上げ、体をぶるぶる震わせる私を見た男は、私を安心させるためか、私にスープを手渡した。


「え?あ、あの、これ…?」

「この森で採れる木の実で作ったスープだ。そなた、腹が減っているだろう?危ないものは入ってないゆえ、食すとよい。」

「あ、ありがとう…。」


私はおそるおそるスープを口にした。

美味しいと言えるようなものではなかったが、三日ぶりに口にする食べ物は私の心を満足させるのには十分だった。


私は物凄い速度で平らげた。


「よい食べっぷりだったな。そんなに美味しかったか?」

「味はまあまあだった。」

「これを『まあまあ』と言うか。もしやそなた相当いいところの娘だな。」

「分かんない。」

「そうか。まあ、そんなことは所詮どうでもいい。

 その髪と瞳の色を見れば分かる。そなた、ここらの人間ではないな。

 どこから、やって来た?」

「髪?」


私は自分の姿に意識を向けた。

ハーフアップにした胸の下あたりまである藍色の髪に同じ藍色の瞳。

私が住むところではごく普通の容姿だ。


「どこか変なの?私の髪と瞳。」

「ああ。

 この大陸の人々の髪と瞳の色は明るい色をしているのだ。

 そなたのような暗い色の髪や瞳を持つ者は主にここより北の大陸に住んでいる。」

「北の大陸…?

 え?それってどういう…?」

「つまりそなたはこの大陸の人々とは人種が違うということだ。」

「そ、そうなんだ…。」


難しくなってきた男の話について行くのがやっとだった。

混乱してきた脳みそを必死になって回転させた。


「家族と旅行にでも来ていたのか?」

「ううん、違う。お庭で兄さんたちと遊んでたら、ここにいた。どうやってここに来たのか分かんない…。」

「なるほど…。」


男はしばらく黙って考えた後、私に告げた。


「あまり考えたくはないが、どうやらそなたは北の大陸からこの大陸へと転移してきてしまったようだな。」

「…!!」


幼いながらに私は何となく理解していた。

明らかに違っていたのだから。自然環境が何もかも、根本からすべて。


「私、帰れるの…?」

「ああ、帰るのは簡単だ。そなたの故郷まで歩けばよいだけであるからな。なんなら我が送ってやってもよい。

 だが、それにはそなたの故郷を知る必要がある。

 そなたの故郷は何という名だ?」

「え…。」


その時に知った。自分が故郷の名前を知らないことを。


当時の私は箱入り娘だったからそれは当然のこと。家の外に出ることはほとんどなく、外出する時もメイドが側にいてくれた。私は自分の住む町の名前を知らなくても生きていける環境にいたのだ。


「わ、分かんない…。」

「そうか…。

 さて、どうしたものか。」


男は再び考え込んで、そして言った。


「致し方ない。

 しばらくの間、ここに住むがよい。

 年を重ねてゆけば、故郷の名をいずれ思い出すであろうからな。」

「え?いいの?」

「ああ。

 だってそなた、行く宛てがないだろう。

 追い出したのちにどこかで行き倒れたりなんかされたら、後味が悪いからな。」

「ありがとう。」

「そうだな、一時と言えど共に暮らすとなれば自己紹介をせねばならんな。」

「そうだね。」


「我は『十二神獣 竜の席 ジークフリード』だ。」

「ジュウニシンジュウ? リュウノセキ?

 ・・・苗字?」

「いや違う。『肩書き』と言うのが正解だろうか。

 まあ、我には似合わぬ肩書きだがな。」

「そう?

 私はその肩書き?カッコいいと思うよ!」

「そうか、ありがとう。」


ジークフリードは照れたように笑った。

そして私に言った。


「・・・やっと笑ってくれたな。」

「え?」

「ずっと表情が強張っていたからな。

 安心感が芽生えたようで何よりだ。」


私は驚いた。確かに私の顔に笑みが戻っていた。

先程までのジークフリードに対する恐怖心が消えていたのだ。


この時はなぜこの強面の男に心を開くことができたのか甚だ疑問であったが、今なら分かる。

ジークフリードの真摯な優しさに触れ、無意識のうちに心を開いていたのだろう。


「で、そなたの名は何と言う?」

「えっと……。」


私はジークフリードの真似をして言った。


「我は『ヴィクトリア王国 第二王女 ソフィアリス・ヴィクトリアナ』だ。」

「なんだ?我の真似か?」

「うん!」

「というか、そなた自分の故郷の名を知っているではないか。」

「あ!!」


私はジークフリードに言われて気づいた。

疲労により、記憶の引き出しを上手く開けられなかったようだ。


「まだ疲れているようだな。

 しかし、ヴィクトリア王国か…。」

「ここから遠いの?」

「ああ。

 簡単に言うと真反対の大陸の国だな。」

「真反対…?」

「ああ。」


ジークフリードは服のポケットからだいぶ大まかに描かれた地図を取り出して話を続けた。


「ここレリーヤ大陸は一番南の大陸だ。

 そして、ヴィクトリア王国があるエレーラ大陸はここ。

 見ての通り、一番北の大陸だ。

 まあ、歩いていったら1、2年はかかるだろうな。」

「え?!そんなに…!」


私は絶望した。


今の私にとっても1年は長く感じる。

7歳の私なら尚更だ。


「故郷がわかったところで、今のそなたの体力では帰郷は厳しいだろうな。」

「そっか、そんなに遠いんだ…。」

「別の大陸から来たという推測は間違ってなかったが、まさか真反対とは…。

 旅行で来れる距離でもなかったな。

 まあ、結局のところ、しばらくはここで暮らすことになるな。」

「じゃあ、よろしくね、ジークフリード。」

「長いだろう?ジークでよい。」

「じゃあ、私もソフィって呼んで。」

「分かった。

 よろしくな、ソフィ。」

「うん!よろしく、ジーク!」


こうして人と神獣の奇妙な共同生活が始まった。


ーーーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー


・・・レミア、こんな感じでいいかしら?

私、話すのそんなに得意じゃないのよ。

私のこれまでの話を聞きたいって言ったのはあなたなんだから、途中で「つまんない。」とか言って寝たりしないでよ。


え?どんな話か簡単に知りたい?

どうして私がそんな物語の主人公みたいなことを…。

まあ、いいわ。言ってあげるわよ。


そうね。


ーーーこれは私が世界を救うまでの物語。


・・・これでいいかしら?

え?どうやって救うのかって?


それをこれから話すのでしょう?

先を急がないでちょうだい。

こっちにも話の順序ってものがあるのよ。


今はありがた〜い『女神』の話を静かに聞いてなさい。


『教えて!レミアちゃ〜ん!!』


はいは〜い!

どうも皆さ〜ん、初めまして〜!

レミアで〜す!


このコーナーでは、作者さんからこの物語のちょっとした豆知識を教わった私が、作者さんの代わりに皆さんに解説しちゃいま〜す!


第1回目の今回はこの物語の構造について解説しま〜す!


ここまで読んでくれた人は、もう分かってると思うけど、この物語はソフィちゃんが私へ昔話のように過去を語り聞かせるという形で話が進んで行きます。


だから、私になったつもりで読んでみると、面白いと思いますよ〜!


・・・これだけですか? 


私は構いませんが、コーナーとして大丈夫ですか、作者さん?


それにしても、こういうことって、作者自身で話すべきだと私は思うんだけどな〜。


ほんとに恥ずかしがり屋さんなんだから〜。


えっと、次回は「気づかぬだけで其処に有る。」だそうで〜す。


どんなお話なのか分かんないですね〜。

タイトルとしては欠陥品ですね〜。


でも、ソフィちゃんのこれからの物語が気になるので、良しとしま〜す。


お楽しみに〜。


ところで、私がソフィちゃんの物語に出て来るのはいつ頃だろう?

時系列的に考えて〜……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ