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伯爵邸にて

マリーの気持ち、わかってくれる方いるだろうか‥‥

「お嬢様、今日はいかがされます?」

紅茶を淹れながらメイドのキャリーが口を開く。


「今日はこれからデルヴェイ伯爵令嬢の元へ行こうと思うわ。」

まずは、アーロンの無実の証拠を集める。

その足掛かりとしてあの女を落とす。


「かしこまりました。すでに馬車はご用意してございます。

 便箋の差出人についてはただいま探しております故、少々お待ちください」

「ありがとう。公爵家かバーンズ男爵家と関わりの深い家のものから調べて頂戴」

「お任せくださいませ。」


あの日アリシアが見せた便箋は確かに王家から差し出されたものだ

アーロンが出していないのであれば、王宮内の誰かが故意に流出させたことになる。

王家の人間になりすまして手紙を出したのであれば、たとえそれが冗談半分のものであっても重罪である。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

伯爵家に着くと、おずおずとマリーが出迎える。

「ソフィア様、本日はようこそお越しくださいました。」

緊張しているのだろうか。少し声がうわずっている。


「いきなり訪問してしまってごめんなさいね。あなたとお話したかったものだから。」

すぐにでも問い詰めたい気持ちを抑えて、勤めて明るく尋ねる。

「アーロン、婚約者がいる身でありながらあなたに手を出していたそうね」

出されたお茶を一口飲んでマリーにそう切り出した。


「ええ、ずっとお慕いしておりましたので、私としましてはこの上ない喜びですわ。

 殿下がどのような立場であれ、私がおそばでお支えしとうございます。」

「まあ!そんなに好いていただけるなんて、漢冥利に尽きるわね!!

 でも、殿下がどの様な立場であれ、って。まるで継承権を剥奪される事が前提みたいじゃない。」

ふふふと笑いながらまたお茶を飲む。

にこやかに話す私とは対照的にマリーは顔を強張らせる。


「あなたも知っての通り、この国では貴族が愛人を囲むことなんてざらにあるわ。

 だから正直、あの場で弟とあなたが関係を持っていたと判明しても、継承権がなくなるなんてことにはならないのよ。

 あのとき公爵に詰められても、そう言って押し通すことはできた。まあ、汚点としては残るでしょうけど。

 でも、弟は咄嗟に反論できなかった。

 よほどショックだったのか、やってもいない二股を認める事が嫌だったか、あるいはそのどちらもか。

 結果的に話が継承権剥奪まで飛躍してしまったわ。」

「つまり何をおっしゃりたいのです?」

「つまりね、あれは自作自演だったのではないかと思っているのよ。

 王位継承権を剥奪したい公爵と、アーロンを手に入れたい貴女と、バーンズ男爵令嬢の。

 彼女の意図がまだ見えないけれど、アーロンと離れたかったのは確かね。」

「で、殿下と私の関係があったことは事実です!」

焦ったような口調でマリーが反論してきた。

本当にアーロンを手に入れたかっただけなのだろうと思うと少し同情の余地はあるかもしれない。


「残念だけれど。アーロンが恋したのは彼女だけよ。

 彼女の話は今まで散々聞かされてきたけれど、貴女の話は一切聞かされていないもの。

 貴女の望みが叶ったところで、自分を嵌めた貴女をアーロンは絶対に愛さないわ。

 今便箋の差出人も探し出しているところよ。

 このまま嘘をつき続ければ、本当に取り返しがつかなくなるわ。」

マリーが俯いたままボソボソと話し出した。


「‥‥私の何がいけなかったのでしょう。ただお慕いしていただけだったのに。

 何故殿下に好いていただけなかったのでしょう‥‥。

 アリシア様と何がそこまで‥‥。」

「マリーさん、貴女つまらないわ。」

めそめそと泣き始める彼女を見ていて、どうにも堪えられなくなった私はとうとう言ってしまった。





長くなったので続きます。

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