一任される
親から任されるところなので、飛ばしてもらっても問題ないです。
母の部屋に通されると、眉間にシワのよった母と、隣で無駄に焦る父が待っていた。
一通り、私の部屋での会話を黙って聞いていた母が先程まで座っていた椅子から立ち上がり、口を開く。
「この大馬鹿者が!!!」
あの大事なパーティーで恥をかかされおって。
こんなこと、今までの歴史で一度もないぞ!
特にあの態度が気に食わん!女を黙らせて、場を収めることもできんのか。
お前がしっかりしないから、公爵に揚げ足をとられる羽目になるのだ。
そしてなんだ?自分の配下のものの手綱も握れないと?
公爵が言わずとも私がお前の継承権を剥奪してやるわ!」
パーティーからの不満が溜まりに溜まっていたのだろう。
一息に吐き出した母は、もう一度椅子にどっかりと座った。
「アーロン、今国際情勢が怪しく、周辺国の動きに目を光らせねばならない時期でな。
ミラはこの通り事実を追求したがっているが、こう見えて実は疲労が溜まっているのだ。
彼女を休ませて、私が当分彼女の仕事を代わる。
そういうわけで、正直お前の方にまで手が回せないのだ。
ソフィア、お前に一任しても良いだろうか。
もちろん何かあればいつでも手を貸そう。」
椅子に座った母の肩に腕を回し、優しく撫でながら父が言った。
「王家直系の女たちは皆猛々しい。
周囲には淑やかな才女に見せていても、お前にもその血は流れている。
事が明らかになった際は、処分はお前が決めて良い。
誰に歯向かおうとしたのか、思い知らせてやりなさい。」
父に宥められた母が冷静さを取り戻し、私に語りかけた。
「承知しました。
大方、叔父様が関係しているのでしょうが、あらかたの予想はついておりますので、お任せくださいませ。」
こうして話は終了し、私は自室へと戻った。
やっと次話からソフィが動きます。