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4 昨日《一日前》  前編    


 今朝はいつもの時間に起きられなかったわ。

 仕方ないよね。しばらくはずっとお休みだからいいの……。


 今日はお昼に月那るなのおうちへ行って、月那るなのコンピュータに「SNF」を入れるよ。

 お昼からインストールを始めて、待ち時間でお昼ごはんを作って、夕方には一緒に遊べるでしょう。

 そして今夜は二人でパーティーを組んで、(気分は)夜通しクエストをこなしまくるのよ! 目指めざせ、レベル二桁ふたけたよ!


 ノートコンピューターOK。メモリーカードOK。コンピュータを公共ネットワークへ接続できるように設定してもらったスマホOK。よくわからないけど持たされた極細ネットワークケーブル10メートルOK。同じく極細映像ケーブル5メートルOK。お泊まりセットOK。お土産みやげは途中で買う。


 さあ出発。



    †



「来たわよー」

「いらっしゃ~い。あがってあがって」

「おじゃましまーす」


 昨日の事で、ゲームを始めるにはとんでもない時間がどうしても必要なのだと身にみたので、ダイニングテーブルにわたしと月那るなのコンピュータを並べて、まずはインストールを始めるよ。


 コンピューターがゲームのインストールをしている間にお昼ご飯を作る。

 今日は鶏ムネ肉のピリ辛煮だそうだ。

 なぜか月那るなにまかせると、異国風(エスニック)な味付けになる事が多いんだよね。

 美味おいしいから文句はないわよ。


 今日は月那るなのご両親はお出かけなのだそうだ。

 だからテーブルに二人で並んで広々と使える。


 インストールが終わったら、わたしと同じで兄さんが用意した「二週間無料体験パック」の利用権(アカウント)情報を入れ、メールアドレスなどの個人情報を入力すると、更新アップデートが始まった。

 どこでこんなものを? と尋ねたら、ゲーム量販店へ行ったら積んであったそうだ。

 そういうものなの?


 お昼を食べ終わっても続いている長いながーい更新(アップデート)の間は、わたしのミーユン(密雲)のお披露目タイムだ。

 公共ネットワークへの接続はスマホ経由でする。

 スマホ経由でインストールや更新(アップデート)をすると通信料が大変な事になるそうだけど、ゲームをプレイするだけなら大したことはないという兄さんの話。

 なので、今回はこの組み合わせにした。

 これならお出かけ先でもネットゲームができるわけよね(えへん)

 え、おうちのネットワークへ繋いでもいい? いいの? この部屋なら有線で繋げられるから、ネットワークケーブル(これ)があるなら大丈夫? ありがとう!

 出番よネットワークケーブルくん(パチン)


 わたしの「SNF」も問題なく始まった。

 月那るなが「黒猫だ」「この子可愛いね」と言っているわ。

 フフン。うちの子かわいいでしょう。


 月那るなに「ミーユン」を触らせて基本操作を覚えてもらう。

 前、後、左、右、歩く、走る、止まる、休む。うん、やっぱりうちの子かわいいね。

 一人称視点と三人称視点。NPCと話す。ログアウトする。ログインする。順調順調。

 月那もキーボードで操作する? そうね、コントローラー使ってると、移動中にお話するとき持ち替えが大変だものね。おんなじおんなじ。


 あっという間に時間は過ぎ、月那のゲームアプリケーションも更新(アップデート)が終了した。いよいよご対面だ。

 ささ、おみやげのケーキを出しましょう。


 イントロムービー(導入動画)更新(アップデート)ほどじゃないけど長いのよ。

 でも更新画面と違って見応えがあるし、背景(バックグラウンド)の説明なんかもあるから、お茶とケーキを楽しみながら鑑賞しましょう。

 次回からはスキップできるからね。


 サーバー指定(ごしょうたい)コードを入力したら、アバター(分身)の種族と、顔立ちやサイズ(大きさ)を選ぶ。名前は「ナル」。いいの? その名前で? わたしも他人ひとのことは言えないんだけどさ。

 これはドワーフの女の子? ちっちゃくてかわいいね!

 この子がいちばん自分に似てたって? うん確かにかしこそうだわ。


 ん?

 イントロムービーの後半になって、私の時と映像が違ってきた。

 種族で変わるのかな? それとも何種類か違うパターンでもあるのかしら?

 ムービー終わった。ナルちゃん降臨! かわいい!

 んー、でもやっぱり街の雰囲気がちがう。

 地図よ。ねえちょっと月那るな、メニューから地図を開いて。

 え

 クワン神国王都セリエス、エリア中央広場!?

 国が違ううじゃないの!?

 どうゆうこと!?


 しばらくは何が起こったのか自分でも分からなかったけど、まずはゲームメーカーの公式サイトを見て世界地図を調べる。

 なによコレ、大陸の南の端と西の端じゃないの。なんでこんなことに?


 しょうがない。困ったときの兄ヱ門(あにえもん)に連絡よ。


「兄さん、わたしと月那るなの出発国が違ってるのよ。どうして?」


「ん? 所属国もサーバーと同じで基本は無作為(ランダム)だぞ。

 選んだ種族が作った国というのがあるから、種族ごとに所属しやすい国というのはあるけどな。

 取扱説明書の“始め方”の最初に書いてあったろう。

 だから一緒に始めたいなら種族をそろえておくと問題が起きにくいんだよ。

 さすがにサーバーが違うと出会える可能性がまったく無くなるんで、そっちは救済策が始まって、レベル20以上になっているキャラクターから誘う形で年間5人まで呼べるようになったけどな。

 同じサーバー内なら、あとは頑張って移住してくれってことだ」


「ガーン。なんてこと!」




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