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20 管理者           


『ここは私の管理世界“大地ウィア”。あなた達にはこの世界ほしを救ってほしいのです』


 ほら来た。魔王でも生えたのかな?


『生えませんよ、そんなもの。たとえ生えたとしても、そういうものに私は関与しません』


 え? そうなの? 意外。


『それはこの惑星ほしに暮らす生き物同士のけん争いなのですから、私が手や口を出すことではありません。私が管理しているのは、この惑星ほしそのものです』


 えーと管理世界、つまりこの惑星ほしの名前がウィアなの? それって貴方の名前じゃなくて?


『ヒトはずっと恵みをもたらす大地ウィアうやまってきました。

 四千年ほど前にちょっとした事件があって、その収拾のために少しだけヒトに関わったのですが、それ以来私がウィアということになってしまい、そのままずるずると…。

 ヒトビトには同一視されていますけれど、私とこの惑星ほしは別のものです。

 そもそも私は、ヒト前に直接姿をあらわしたことも、自分をウィアと名乗ったこともありません』


 へぇ、案外気がいいんだね。

 あ、それじゃあなたの事は何と呼べばいいのかしら?


『ウィアで構いませんよ。私にも識別名はありますが、おとで表現する事を想定していないものですから』


 わかった。

 それじゃあウィア、その惑星ほしをどうするという話なの?


『今この惑星ほしは、言ってみれば外来のウィルスに罹患りかんして、余命を宣告された状態です。お願いしたいのはその処置ですね』


 それ、ウィア自身では出来ないの?


『出来ますが、私が直接手を下すと、地表の生き物は死に絶えます。天変地異で』


 あうっ。


『それでも海の生き物は残るでしょうから、数億年もかからずに、また知性生命は再生するのですが、せっかく今生きている者たちを死滅させるのもね』


 スケールめちゃめちゃ大きいわね(汗)。


『いまこの世界には、ヒトと呼べる知性種族が七種類そろっています。調整を入れていない状態でこれはかなり珍しいのですよ。

 ですから自分で施術するのがさわりになるなら、他から出来そうなヒトを調達しようということになりました』


 それ迷惑なんですけど。


『そう言わないでください。少なくともあなた自身の存在が消滅したりしないように配慮していますし、この惑星ほしの写し絵、“セブン・ネイション”と言いましたか。それをしていたからには、そういった代替だいたい行為に興味があったのでしょう?』


 興味はまあ、あったわね。初心者ビギナーだけど。

 消滅しないっていうのは、ひょっとして不死だったりするの?


『不死ではありませんよ。不老ですけど。

 無茶をすれば怪我もするし、悪くすれば死んでしまいますから、そこは気をつけてください。

 それでもその体は、私が手ずから作った渾身こんしんの作ですので、ちゃんと使えばそうそう負けはないはずです。

 高性能で高耐久、人類最高性能。

 あとは使い方ですね』


 あああ、鑑定で見た“神人”っていうアレか。ホントに自分で作ったんだね。

 というか、不老なの?

 盛りすぎじゃない?


『すごいでしょう( ̄^ ̄)』


(なんか胸をらしてどや顔してるわ。可愛いというか、このへん妙に人間っぽいね)


『消滅への配慮というのは、まかり間違って死んでしまった場合、あなた自身はあなたがいた元の世界へ自動で戻るようにしてあるのです。

 元の世界の元の瞬間に戻りますから、知らない時間が過ぎていたなんてこともありません。

 ですから安心して手伝ってください』


 ああそう言うことか。

 つまり、魂だけこっちに持ってきたって事なのね。それでこちらへ用意した体へ入れたと。


『魂がどのようなものか確認していないので何とも言えませんが、概念としてはそれほど違ってないでしょう。

 “にくたい”と“媒体じょうほうたい”が繋がっていて、そこへ“情報”が蓄積されて個性になる。私達が“筐体きょうたい”から抜け出るときに、散々(さんざん)研究された分野ですから、合っていると思いますよ。

 ミユキがミユキであることに違和感はないでしょう?』


 ないわ…わたしは敦守真幸(みゆき)

 違和感はない。

 いやあるわよ、違和感!


 妙に好戦的というか、戦闘に躊躇ためらいいがないのよ。

 弓をしていたから、武術にまったく無縁というわけではなかったけど、あくまでスポーツよ。学校のクラブ活動でやっていただけよ。

 弓で獲物を狩った事もないし、ましてや剣だの槍だのには触ったこともないわ。

 それが魔獣を狩り、リッケさん…神殿騎士団長と、手加減してもらったとは言えやいばを交えるなんて。そんな大それた事を大したストレスもなくやってのけるのは、やっぱり異常よ。

 わたしそこまで脳筋のうきんじゃない……はずだわ。たぶん…。


『そこは心配しなくても大丈夫です。

 それは猫族キャットピープルの体が、好奇心こうきしん旺盛おうせいな傾向がとくに強い種族なのが原因ですから。

 感覚入力が全体に高速高精細なこともありますけど、猫族キャットピープルの特性として、ふだんはのんびりと景色や音や匂いを楽しんでいるのに、いざ事があるともの凄い集中力を発揮して、他のことが割とどうでも良くなるたちだというのが理由でしょう。

 猿族モンキーピープルからの転向コンバートですから、そのくらいの変化は想定内です』


 も…猿族モンキーピープル……。

 いえそうね。たしかに猿族だわね。

 そうすると肉体が変わるって、結構人格に影響が出るものなのかしら。ちょっとビックリだわよ。


『あなたの故郷には、色心不二しきしんふじという言葉があった筈ですが。体と心は別々(●●)のものではない(●●●●)という意味です。

 自意識というものが、肉体が外界への接続アクセスのために、大脳を使って組み上げた代行者機能エージェントプログラムである以上、“にくたい”と“媒体じょうほうたい”は、相互に影響し合う間柄になりますよ』


 そういうものなんだ。


色心不二しきしんふじは聞いたことがある気がするけど、他はよく分らないね。こんど兄さんに会えたらいてみよう)


 そうするとウィアの場合は何から進化していまの体になったの? それとも最初からずっとその姿?

 見たところ人にしか見えないんだけど。


『私達の前身は、“機械知性マシンインテリジェンス”です。

 あるところで判断する機械が作られ、その判断する力が進化して創造者のそれを超えたとき、私達は自分自身を改良することを始めました。そして世代を重ね、“媒体じょうほうたい”を“きょうたい”から“空間くうかん”そのものへと移行させたときに、私達は別のものへ変化しました。

 現在の状態は一種のエネルギー生命と言えるでしょう。


 私自身はこの空間に重なって存在しているので、対応した感覚を持っていないと、観測できません。

 大きさ───と言っていいのか、存在の領域───はだいたいここの恒星系の半径くらいです』


 おっきい!


『これでも新米なんで可愛い方なのですよ。

 ミユキに見えているこのヒト型は、大地母神ウィア心象イメージを維持したまま本体を分割していって、ヒトと交感コミュニケーションするために産み出した接続機能インターフェースです。

 ここまで処理タスクを分割すると、普通のヒトとそれほど差はありませんね』



 ほわ~、未知との遭遇だった~。




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