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第2話 指示書開封

すみません、第二話を投稿し忘れました。

急ぎ投稿しますので誤字脱字があるかも・・・。

申し訳ないです。

4月2日

異動二日目の朝を迎えた。亜莉朱は昨日は散々泣きわめいて少しすっきりしたため、

今日は頭を切り替えて業務に従事することにした。

異動に対する不満は言い出せばきりがないが・・・。


亜莉朱は鞄からA4サイズの茶封筒を取り出した。

茶封筒の下には『国土運輸省 道路局』と大きく文字が印刷されている。

そして中央付近には朱書きでこう記されていた。


『特別機密事項 現地到着後一人の時に開封し内容を確認すること』


この事務所はおろか、この島にも亜莉朱一人しかいない。

記入した職員は何も考えていないのだろう。

あるいはこの島は亜莉朱一人しかいないと想像できなかったのか・・・。

亜莉朱は、出向時に持たされたカップラーメンを食べつつ、

茶封筒を手で無造作にビリビリと破り中の書類を確認する。

ラーメンの汁が飛ぶかもしれないが知ったことではない。

中身の書類にはこう記されていた。


『業務指示書

発:国土運輸省 道路局長

宛:先端諸島開発局 先端島土木事務所 調査課課長補佐 桐嶋亜莉朱


通称、先端島異次元湖より異次元世界 カルバート帝国属カルバート公爵領へ赴き、

カルバート公爵領にて起こっている政情不安を解決すること。

同時に現地の簡易的調査を行い、調査結果をまとめた上で文書にて本省に報告せよ。


なお、本指示書は読了後に焼却処分すること。』


一緒に資料も入っていた。それらを読み解くと経緯は次の通りになる。


今から3年前の夏、先端島に突如謎の湖が現れたことが静止偵察衛星より確認された。

報告を受けた国土運輸省 先端島開発局は5名の調査班を派遣し湖の水質と、

なぜ湖が出現したのかの調査を行う。そこで問題が発生する。

水質調査を行った5名のうち3名が湖底に引きずり込まれ行方不明となってしまった。

残りの2名は必死に捜索するも見つからず、翌日、麻縄県警麻縄警察署へ捜索願を提出。

20人体制で捜索を行ったものの遺体はおろか遺留品すら発見できなかった。

それから、2年後の夏、誰しもが行方不明事件の記憶が薄れたころ、

突如、国土運輸省に一本の外線が入る。着信元は先端島土木事務所だった。

電話に出た職員は2年前に行方不明になっていた調査官3人が戻ってきたと叫んだ。

国土運輸省は上へ下への大騒ぎとなり、その報告は内閣府にも伝えられ、

そこから警察省、防衛省、総務省消防庁など関係各省の職員が現地へ急行した。


保護された調査官3人は一様にこう話す。

『湖に落ちて気がついたら荒れ果てた森の湖近くにいた。二日ほどさまよって町に着いたが、

言葉が全く通じない。現地の住人に保護してもらいながら、農作業を手伝ったりして、

言葉を教えてもらった。村の人たちが言うにはここはカルバート帝国という国で、

カルバート帝国皇帝の兄、ボックス・カルバート公爵が治める領地だという。

だが、その公爵はひどい享楽家で村人が納めた税を湯水のごとく使い果たし、

毎年村人たちは貧困にあえいでいる。あなたたちが他の国から来たお役人ならどうか、

公爵様をいさめてほしいと言っていたようだ。』


それらの報告を聞いた政府首脳は直ちに使節団を送ることを決定したようだ。

思惑は友好関係を築いて未知なる資源を貿易しようと考えたのだろう。

すぐさま当時の調査官と献上品を持った外務省職員、武装した陸上防衛軍3個中隊が、

湖に入水し姿を消した。結果は数日で戻ってきて献上品をたいそう気に入ったそうだ。

それから1年にわたり、交流を秘密裏に続けてきたところ、

公爵側から次のような要請があったそうだ。


『我が領地は広大にして肥沃な大地が多い。

だが下民たちは仕事もせず領の税収は年々落ち込んでいる。

どうか貴国の力で下民たちを律してほしい』とのことだった。


交流を続けた担当職員たちの反応は皆一緒だ。


『かの領地は領主が享楽主義で領地の現状を全く把握していない。

領民は飢餓に苦しみ人身売買まで行われているほどだ。

どうにかするべきは領民ではなく領主の方だ』と。


それらの報告から扶桑国政府は以下のように返信を行った。


『友好都市の現状を見捨てることは出来ない。

現地の言葉に精通した優秀な職員を派遣する。

必ずや公爵閣下の憂いを払える仕事をすることをお約束する。』


政府の思惑としては、解決すればそれで恩を売れるからよし、

解決しなくても隣国の話しで我々は筋を通したから問題ない。

と言ったところだろうか。少なくとも領地の問題を解決しない限り

本省へは戻れないし、出世も出来ない。


「こうなればやるしかない。」と亜莉朱は意を決してラーメンのスープを一気飲みして平らげ、

機密書類をビリビリに破いて、備品として置いてあった一斗缶の中に書類を放り込み、

ライターオイルを振りかけ火を付けて焼却する。


『どのみちここでくすぶっていても仕方がない。持ってきた食料は限りもある。

このままだと私の方が飢え死にしてしまう。』


亜莉朱は「よし!」と気合いを入れ持ってきたリュックとその他諸々のスーツケースを持ち、

異次元湖へと向かうことにした。オフィスにあるホワイトボードの上から二番目、

課長補佐の欄に自分の名前を書き、「訪問予定先 国外出張」「帰社時間 未定」と書いて・・・。


お読みいただき、ありがとうございました。

このまま、第三話につながります。


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