3話 ふうとさく
そして、累と紗江は黒猫だったが今は人とその人に抱きかかえられているライトブラウンの猫についていくために路地裏の奥に進んで行った。
その路地裏の道は迷路みたいで累と紗江は『これ戻ってこれるのか?』と思い不安を残しながらついて行った。それから5分位路地裏を歩いていると何か意味のありそうな大きな空間に出てきた。さっきまで人になっていた猫人族はいつのまにか黒猫の姿に戻っていた。すると、黒猫が累と紗江に近づいてきて
「ちょっと待っていてくれにゃ」
と言うと黒猫が「ニャーオ」と言うと大きな空間を囲んでいる建物の端から沢山の猫が出てきた。
すると1匹の猫が『どこに行っていたんですか』とでも言うように少し不機嫌そうな声で「ニャーオ」と言った。それに黒猫が『すまん、すまん』とでも言うように「ニャーオ」と返した。
累と紗江は猫が沢山出てきたところから顔のニヤニヤが止まらないでいた。普通の人が見たら『こいつら、キモい顔してるな』と絶対言うような顔をする位、累と紗江はこの光景がとでも嬉しかった。すると黒猫が累と紗江に近づいてきて『こっちにきて』とでも言うようにアイコンタクトをとってきたため累と紗江は黒猫のそばに行くと、黒猫の周りにいた猫達がすぐに建物の端などに隠れてしまった。
すると、建物に端に隠れていた1匹の猫が出てきて黒猫に『なぜ人間を連れてきた、理由を早く言え』とでも言っているかのようにだいぶ怒ったような声で「ニャーゴ」と言うと黒猫が慌てたように『理由を言わせてくれ』とでも言うように「ニ、ニャーオ」と言うと黒猫の周りから煙が出てきたと思ったら煙の中から声が聞こえてきた。
「あ、あのだにゃ、この人たちは私と私の弟がお腹をとでも空かせて困っていた時にこの街では見たことのない何かの実を食べさせてくれたから、私の家にある秘宝をあげようかなと思い連れてきたにゃ」
とさっきまで黒猫だった人が言うと、周りの猫達が建物の端から出てきて一斉に猫の姿のまま「お前の家に秘宝なんてあんのか!」とツッコミのように言った。
すると、人の姿をした黒猫がしょんぼりしながら累と紗江に手招きをすると歩いて行った。累と紗江は猫達に何かされるのではないのだろうかと思い、小走りしながらついて行こうとした。だがその心配とは裏腹に猫達が人の姿になって累と紗江にこんなことを言ってきた。
「あの子が人を連れてくるのは初めてでみんなびっくりしてしまって怒ったような声になっちまっただけだから別にあんたらを追い出したりはしないから安心してくれ」
と言うと累と紗江の背中を押しながら「また来てくれたら、歓迎するよ」と言ってくれて累と紗江は「絶対にまた来ます」と言うと小走りで黒猫を追いかけて行った。
するとすぐに路地裏の道にダンボールで作られた家の中に毛布などが置かれていて累と紗江は『これは家と言えるのか?』と思っていると、人間の姿の黒猫が累と紗江に「少し待っていてくれにゃ、すぐ戻るにゃ」と言うと黒猫の姿に戻ってダンボールの家(?)の中に入っていってすぐに何かを口にくわえて戻ってきた。そして黒猫が人間の姿になって累と紗江に話しかけてきた。
「君たち、ここの街の人じゃないにゃね」
「えっ、どうしてそう思ったんだ?」
「君たちの匂いはここの街にいる人間の匂いとは全然違うかったそう思っただけだにゃ。私の間違いだったらすまないにゃ」
「まあ、私達はここの街の人ではないからあってますけど、それとその道具に何かの関係が?」
「やっぱりそうだったかにゃ、私の嗅覚は頼りになるにゃ」
そう言うと人の姿の黒猫が続けて持ってきたものの説明を始めた。
「この道具はにゃ、この道具を持っている人の能力とかを数値化する道具にゃ」
「ほうほう、これってすごい道具なんだな」
「いや、この街ではみんなこれ持ってるにゃ」
「へー、これをみんなが持っているのか」
そうして累と紗江がその道具を持ち上げてみるとすぐに画面が明るくなってきたと思うとすぐに数字などが出てきていた。それを累と紗江は見つめていた。
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名前 一条累 出身 不明 年齢 16歳 職業 無し
筋力 5
体力 5
防御 5
素早さ 5
魔力 0
スキル 無し
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累が持っていた道具(これからはステータス表と呼ばせて貰う)にはそう表示されていた。
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名前 一条紗江 出身 不明 年齢 14歳 職業 無し
筋力 6000
体力 9000
防御 9000
素早さ 9000
魔力 測定不能
スキル 身体強化(2倍、4倍、6倍、8倍、10倍)、魔力強化、全属性適性(火属性、水属性、風属性、闇属性、光属性)、全属性防御(火属性、水属性、風属性、闇属性、光属性)、高速回復、高速魔力回復、弱点可視化、敵ステータス可視化、地形変化可能、魔族感知、能力付与、底力(身体強化10倍からさらに20倍)
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紗江が持っていたステータス表にはそう表示されていた。
紗江の横にいた人の姿の黒猫が紗江のステータス表に釘づけになっていたが累だけはこのことが予想できていたみたいで優しく紗江が混乱しないように話しかけた。
「紗江、このステータスを見てわかるようにお前は最強だ」
「兄さん、私が最強?」
「ああ、紗江が最強だ」
「兄さん、私はこれからどうすればいいの」
「紗江、それは俺が決めることではない、紗江が決めることだ、俺は紗江がどんな判断をしても俺は紗江についていく」
「そっか、よかった、兄さんがついてきてくれるなら安心だよ」
そんな会話をしていると人の姿をした黒猫が私達を忘れないでとでも言うようにわざとらしく咳き込んだ。そして累と紗江の話しかけた。
「あのー、なんですかにゃ?その最強な性能は」
と人の姿をした黒猫が言うが累と紗江は華麗にスルーをして累が紗江に話しかける。
「紗江、こいつなら俺達のこと話してもいいと思うか?」
「兄さん、私もこの人なら話してもいいと思うよ、私こういうことを言うの苦手だから言って」
と紗江が言うと累がさっき普通にスルーされて少ししょんぼりしている人の姿をした黒猫に話しかけた。
「まあ、お前とあってからまだ1時間も経っていないけど今までの行動でお前がいかにみんなから信頼をされているからわかって2人でこの世界で信頼してもいい人と判断したから俺達について話す」
「な、何にゃ、何を話すんだにゃ」
「じゃあ話すぞ、俺達兄弟はこの世界の人ではないんだ」
「えっ、何を言い出すんだにゃ?」
「落ち着いて最後までまず聞いてくれて、質問はその後にしてくれ」
「わ、わかったにゃ」
「さっきも言ったとうり俺と紗江はこの世界の人じゃあないんだ。俺達は異世界から来たんだ。そしてこの世界のことは小学生以下のことぐらいしかわかっていない、だから俺達よりこの世界にいる時間が長いお前に俺達の仲間になって色々と旅をする時にこの世界のことを教えて欲しいし仲間はいた方が良いからになってくれないか?」
「あっ、えっと、ちょっと色々と驚くことばっかりだったから頭が追いついていないにゃ、だからちょっと家で頭整理してくるから待っていて欲しいにゃ、すぐ戻ってくるにゃ」
と言うと人の姿になっていた黒猫が猫の姿に戻って急いでダンボールの家の中に入っていった。
そして10分位待っているとダンボールの中から黒猫が出てきた。そして、人の姿になって累と紗江に話しかけてきた。
「あのだにゃ、その君たちのその旅についていっても良いんだにゃ。だが条件があるにゃ」
「条件ですか、それは何ですか?私達にできることならなんでもしますよ」
「えっとだにゃ、その条件は私の弟も連れて行きたいだにゃ、それと君たちと旅をするなら私と私の弟に名前をつけて欲しいにゃ」
「まじですか!弟さんも連れて行っていいのですか!やったぁ、もふもふいっぱいできる!しかも名前までつけていいのですか!」
「紗江、喜びたい気持ちは分かるけど黒猫がだいぶ引いているから、落ち着いて名前を考えようぜ」
「兄さんは弟くんの名前を考えて、私は黒猫ちゃんの名前を考えるから」
そこから、30分位2人とも名前を考えていた。黒猫は荷物をまとめて来ると言ってダンボールの中に入っていった。すると紗江が
「よし、決めたよ兄さん」
「俺も決まった」
「黒猫ちゃん達が出てきたら言うでいい?」
「俺はいつでもいいから紗江が黒猫達が出てきたら言うでいいよ」
それからさらに10分後ダンボールから2匹の猫が出てきた。すると黒猫が人の姿になって、ダンボールを取り始めた。するとダンボールの中には毛布の上に猫が最低限生活できる物が置かれていた。すると人の姿の黒猫が毛布を包み始めた。そして毛布を包み終わると、横にいる弟に人の姿になって挨拶をする様に声をかけるとさっきまでライトブラウンの猫だったがすぐに人の姿になると
「これからよろしくお願いします」
と累と紗江に言ってきた。そのため累と紗江は頭を下げて
「こちらこそよろしくお願いします」
とニッコリ笑顔で言った。すると黒猫が
「名前ってもう決まったかにゃ?」
と言うと累と紗江が
「両方の名前もう決まってますよ」
と言うと黒猫はとても嬉しそうな顔で累と紗江の顔を見ていた。その顔は累と紗江が少し顔を赤くしてしまう位いい笑顔だった。黒猫の笑顔に見惚れてしまっていた累と紗江は黒猫が発した言葉によって現実世界に戻ってくる。
「あのー、早く名前言ってくれないかにゃ?」
「あ、ああ、すまない」
「では、言いますね兄さん、せーの」
と紗江が言うと累がそれに合わせて一緒に
「お前達の名前は…」
「ふうとさくだ」
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