2話 カルの街
「うっ、うーん」と言いながら紗江が起きた。紗江がまず目に入った光景は累の体のあらゆるところに狼に噛まれたあとがある光景だった。紗江は、まず最初に累の心臓が動いているのか確認すると弱々しいが一応心臓が動いているのがわかった。紗江はひとまず安堵の表情を浮かべながら累に
「助けてくれてありがとね」
と言ってあげた。すると累が「うっ」っと言った。紗江は累に
「兄さん、大丈夫?」
と言うと累が
「ま、まあ、なんとかな」
「よかった」
「俺も紗江がいつもの紗江に戻ってきてくれてよかった」
「私、兄さんが抱きしめてくれていつもの紗江に戻ってくれって言ったところ位しか覚えてないんだけど、私がどうなっていたか教えてくれない?」
「いや、今はまだ教えない」
「なんで?」
「多分、今俺がさっきのことを紗江に話して思い出したら混乱して何も出来なくなるかもしれないから」
「そんなにやばかったの?」
「まあ、だいぶやばかったな」
「そう、ならまだ落ち着いた時にでも話してね」
「おう、また落ち着いた時にでもな、とりあえずここからどうする?」
「確かに、もう日が落ちているし兄さんもその体じゃあ動けないでしょ」
「まあな、これはもうここで野宿するしかないか、俺は何もできないから紗江の判断に全てを託すわ」
「全ては託さないで欲しいけど、まあここで野宿はいやだけど兄さんが動けないからここで野宿するよ」
「そうか、ありがとな」
「まあまあ、いいからいいから、空を見てみて星が綺麗だから」
「確かに、星が綺麗だな」
そんな会話をしていると紗江が自分の服を少し破り血が出ている足と腕にきつく巻きつけた。そして横腹は累の服を少しもらいお腹にきつく巻きつけた。そしてその作業が終わると紗江の顔が累の肩に乗ってきた。
累は今日のことを思い返していると『今日1日でいろんなすごいことばかり起きたな』と思うのと『神様なんで紗江と俺の強さを逆にしてくれなかったんだー』と思うこともあったらしい。
次の日の朝、累と紗江は腹を空かしていた。幸い周りの木の所々に木の実がなっていてそれを食べようということになり累は歩くことは出来るようになったが木に登ることはまだできないため紗江に木の実を採ってきて貰うという兄としては恥ずかしい光景になったことは言うまでもない。
2人で木の実を食べていると紗江が
「今日はどうするの?」
と聞いてきたので累は
「まずは、この森を抜けたいな」
「まあね、確かにでもこの森を抜けるためにどれだけ歩くかわからないけど大丈夫?」
「そのくらいは頑張るよ」
「じゃあ、木の実食べたら歩き初めよっか」
「了解」
累と紗江は木の実を食べ終えると森を抜けるために歩き出した。それから数時間、時々休憩を挟みながら歩いているとついに森から出ることができた。さっきまでいた森とは一転、背丈の低い草や木が広がっていた。
「兄さん、奥に何か見えない?」
「えっ、何か見えるの?」
「うん、奥に小さく何かあるのが見える」
「そうか、じゃあそこを目指してもうちょっと歩くとするか」
「うんっ」
累と紗江の声はだいぶ希望に満ち溢れていた。
それから数時間紗江が何か見えたと言う方向に向かって歩いて行った。
すると、奥に何かあるのが累にも見えてきた。それからもう数時間歩くと門が見えてきた。そのため累と紗江は一緒に「おー!、やっと着いたー!」と言うと門に向かって歩き始めた。門の目の前についた累と紗江は門の横にいた警備兵みたいな人を見てみると何故かめっちゃ驚かれている。累と紗江は『なんでそんなに驚いているの?』と言うかのように首を斜めに傾げる。
すると門の横にいた警備兵の人が我にかえってきて、累と紗江に質問をした。
「おっ、おい、お前たちなぜここにいる」
「えっ、えーと」
「えっと、私達は旅をしていてたまたまこの大きな門が見えてきてよって行こうかなと思っただけです」
「旅をしているのならなぜバック一つも持っていないのだ」
「えっ、えーとですねそれは動きやすくするために必要最低限のものだけ俺達の服とかにくくり付けているので」
「ほう、まあいい、この門を通るがいい」
そう言うと門の警備兵の人がボタンを押すと門が開いていった。でも、累達はまだ門の警備兵の人に質問したいことがまだまだったためそのあと30分位ずっと質問していた。門にいたの警備兵の話では、こっちの門で人が出入りするのは10年に1度位しかないらしいからめちゃくちゃ驚いたらしい。
そして街の名前はカルの街と言うらしいのと、この街ににはダンジョンというものがありそこでお金をみんな稼いでいるらしく宿もあったりと当分は生活できそうな街だと言うこととこの世界には5つの街があるらしいがこの街は5つの街の中で1番小さいと言うことも教えてもらったりした。
まず累と紗江が向かったところは日本でいう所の市役所みたいなところに行きマップをもらった。
そして、紗江とこれからのことを話すために椅子を探していると、路地裏から黒猫とその横にいたライトブラウンの猫と目があった。その猫の目は弱々しく累達に助けを求めている目だったため累はつい足を止めた。その様子に気付いた紗江は
「どうしたの兄さん?」
と紗江が言うと累が
「いやな、あの猫達を助けられないかなと思ってな」
「兄さんは動物に優しい」
「まあな、動物は好きだからな」
「うんっ、私も動物好きだから猫を助けるの賛成」
「じゃあ木の実を少しだけあげるとするか」
そう言って累と紗江は路地裏に入って行き猫に木の実を少しあげた。すると、累と紗江は口を開けたまま固まった。なぜかって?そんなの、猫に木の実を少しあげたら急に猫がこんなことを言い出した。
「うーん、美味しいにゃ、それ」
と猫の姿で言うと急に煙が出てきたと思ったら次の瞬間目の前にはネコ耳がついた人がいたのだから。
累と紗江が微動だにしないでいるとさっきまで黒猫(?)だったはずの人(?)が話しかけてきていた。
「あのー、聞いてるかにゃ?」
なんていう言葉をかけられて累と紗江は直ぐに我にかえって目を見開いてネコ耳がある人を見ているともう一度黒猫(?)だったはずの人(?)が累と紗江に話かけてきた。
「あのー、感謝の言葉を言わして欲しいんだけどいいかにゃ?」
「えっ、あっ、はいどうぞ」
「えっとだな、私と私の弟を助けてくれてありがとうだにゃ、腹がものすごく空いていたから助かったにゃ」
「えっ、あっ、俺達は当たり前なことをしただけだよな紗江」
「えっ、あっ、うん、そうだよ私達は当たり前のことをしただけだよ」
「君たちはこの行動が当たり前だというのかにゃ?」
「えっ、これが当たり前ではないんですか?」
「オーマイガーにゃ、君たちは天使にゃ」
「いやいや、だから私達は当たり前のことを…」
「この恩、返させてはくれにゃいか?」
「いや、だから俺達は…」
「この恩、返させてはくれにゃいか!」
「あっ、はい」
累と紗江は勢いに押し切られて恩を受けることにしたのだった。
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