1話 妹の暴走
妹の手を握りながら目を閉じていた累は「うっ、痛っ」と言いながらそっと目を開けて見てみる。
そこは、木々が広がっていて、その木々の所々に赤い木の実がなっていてクランベリーみたいな形をしている実がなっていたり色々な色の実がなっていた。累はその光景に目を奪われ見惚れてたが直ぐに我に帰って『紗江は大丈夫か』と思い下を見てみると気絶している妹の姿があったため妹に声をかける。
「紗江、起きろ」
と声をかけてみるが何も反応がなかったので次は妹の頬をペシペシしながら
「紗江、起きろ」
と声をかけてみると妹が「うーん」と言いながら少しずつ目を開けているのがわかったから累は妹に声をかけてみる。
「紗江、俺のことわかるか?」
「うん、私の兄さんの累でしょ」
「よかった、記憶喪失はしていなかったか」
「うん、兄さんそれよりここはどこ?」
「うーんとな、実は俺もここが異世界ということ意外何もわからないんだ」
「異世界?」
「そうだ、ここは多分異世界だ」
「なんで異世界に私はいるの?」
「ここにどうやって来たか覚えてないのか?」
「なんかすごい光が急に現れたことまでは覚えているけどそっからは何も覚えていない」
「まあ、そうだよな。だって俺が紗江の部屋に行った時には気絶してたからな」
「え、兄さん私の部屋に来たの?」
「え、あ、まあ紗江の部屋がいつもより何倍も部屋が明るかったからもうちょっと明かりを暗くしてくれって言いに行って紗江に声をかけても何も反応が無かったから、紗江に何かあったのかと思って部屋に入ると紗江、お前がなんかすごい光に飲み込まれかけていただけだから何か変なことは何もしていないから安心してくれ」
「ふーん、本当に何もしていないんだよね」
「ああ、本当に何もしていない」
「わかった、兄さんの言葉を信じる」
「まあ、信じてもらえてよかった。それより紗江、歩けるか?」
「うん、どこも怪我とかしていないから歩ける」
「よし、じゃあまずこの森を抜けるとするか」
そして、累と紗江は森を抜けるために歩き出して数時間が経ってもうちょっとで日が落ちてしまう時間帯に差し掛かった時にその出来事は起きた。
そう、異世界といえば魔物などの敵キャラクターなのだが今回累達兄弟の前に出て来たのは約20頭位いるお腹を空かせた狼というなんとも初めに出てきそうな敵だった。累は『初めてだからこの数相手に妹を完璧に守るのは無理かもしれないから妹には先に逃げてもらおう』と思い妹に声をかけてみる。
「紗江、俺が時間を稼ぐから紗江、お前は先に逃げろ」
「えっ、私は兄さんと一緒に戦うから」
「えっ、だから紗江、お前は先に逃げろって言ったのが聞こえなかったのか?」
「兄さんの言っていることは全部聞こえていたよ」
「じゃあ、なぜ逃げないんだ」
「理由1つ目、兄さんが死んでしまうかもしれないから、理由2つ目、あともう狼に囲まれてしまったから戦うしかない」
「うっ、確かにもう狼に囲まれてしまったから戦うしかないって言うのはわかるけど、理由1つ目はよくわからんな」
「そのままの意味」
「あのな、紗江こういう異世界転生して来た人達は大抵最強なんだよ」
「へー、じゃあ兄さんも最強?」
「まあ、最強だろ」
「じゃあ私兄さんを信じるね」
「おう、任せとけ」
そういうと、累と狼の戦いが始まったが累が狼に吹っ飛ばされてしまって紗江の目の前に落ちて来て勝負がついた。
「えっ、兄さん?」
と言いながら紗江は累に近づいてみると累の横腹や足、腕に狼から噛まれているところから血が出ているのが見えた。紗江は兄の累を抱きしめると累が妹に
「紗江、俺はもう無理だから…俺を置いて逃げろ」
「兄さん、私は兄さんを見捨てるなんて私にはできない」
「今は、俺の言うことを…聞いてくれないか」
「嫌だ、私は兄さんを見捨てない、だから戦う」
「…そうか、まずは自分が生き残ることを最優先で戦ってくれ、やばいと思ったら逃げろ、これは絶対に守ってくれ」
「わかった、じゃあ行ってくるね」
そう言うと、紗江はそばに落ちていた木の棒を持って狼に
「私がいる限り兄さんはこれ以上傷つけさせない、そして私はお前達を倒して生き残り、私は兄さんと一緒に日本に帰る」
そう言うと、1匹の狼が紗江の持っていた木の棒にかぶりついた。すると妹はその棒を地面に叩きつけると、木の棒を狼の口から取り出してその棒を狼の腹に刺し狼の腹を踏みながら棒を抜くと、狼の前で手を出して妹が
「さようなら」
と狼に言い手から炎が出てきて狼を燃やしてしまった。
その光景を見ていた累と狼達は呆然とこの光景を見ていた。すると紗江が、狼達を見て不適な笑みを浮かべると狼達の方に向かって走って行き次々と狼達に棒を刺しては抜いて炎で狼を燃やしていった。
累はその場から一歩も動くことが出来ず紗江が狼を炎で燃やしていく光景を見ることしかできなかった。
累は紗江がいつもとは別人みたいになっていることに気付いて紗江に声をかけようとするが声を出そうとしても声が出なかった。
その後も紗江は狼を炎で燃やして行き、もうちょっとで狼達が全滅すると言うところで木にもたれかかっていた兄の累が倒れていることに気づくと直ぐに累のところに行き息をしているか確認をしていると累が紗江に突然抱きついた。
「兄…さん?」
「紗江、もういいから、もういつもの紗江に戻ってくれ」
「えっ」
「もういい、もういいから」
「兄…さん、私、私」
すると急に紗江がどさっと緊張の糸が切れたように倒れてきた。累は倒れてきた紗江の頭を優しく撫でてやる。それと紗江に全滅させられそうになった狼達は紗江が倒れたと同時にそそくさと逃げて行った。累は倒れている紗江に優しく
「よく…頑張ったな」
と一言、言うと累もその場で気絶してしまった。
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