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年越し大人生ゲーム大会

2016年大晦日用

※1年後設定

※一部拙作のシニタガリオウエンカとクロスしている部分があります。

「いつきー、よいちー、人生ゲームするヨ!」


 年末も年末。大晦日にオレの家に集まって、いつもの三人ですき焼きをつつくのも毎年恒例行事になりつつある。

 そんな中、また毎年のように小蘭が提案からはじまるもう1つの恒例行事。


「おー、今年もやるか!」


「そうだな、やろう」




 年越し大人生ゲーム大会




 すき焼きを片付けて、オレは奥の物置部屋から人生ゲームのボードを持ってくる。

 オレが小さい頃から使っていたものだ。年季も入っていて、ところどころ紙が剥がれかけている。が、遊ぶにはなんの不都合もない。


「結衣サン達も一緒にやル?」


 オレと鵺一が用意をしている間、小蘭が姉さんと海老のクソ眼鏡野郎にも誘いかけた。

 姉さんはともかく、海老のクソ医学野郎も毎年大晦日はオレの家に来る。

 近所の幼馴染みだからって調子に乗んな眼鏡野郎。オレは絶対姉さんの彼氏だなんて認めないからな!!!


「そうねえ、折角だから一緒にやらせてもらおうかしら……ねえ、かなくん」


「おー、たまにゃ混ぜてもらうか」


 そう言うと、海老のクソ奏野郎はオレの方を向いてニヤリと笑う。


「結衣がこう言ってんだ、異論はねえよな?い・つ・き・くん♥」


「ぐ……」


 こいつ、オレが姉さんの名前を出されると何も言い返せないの知ってんだよな……。クソエビフライめ……。


「もう……いい加減かなくんと仲良くしたらいいのに、樹ったら」


「そうダヨ樹ー、海老沢サンのどこが嫌いナノ?」


 姉さんと小蘭に呆れ気味にこう言われるのもいつものこと。だから、オレもいつも通り


「全部!!!」


 と、即答する。


「ちょっと鵺一くん聞きましたァ?全部ですって、全部」


「まぁなんて酷い方かしらねえ、海老沢の奥様?」



「だからァァ!お前らのォォ!そういうところがァァ!オレは嫌いだァァァ!!」



 *



 最初の職業は、姉さんが教師、鵺一が野球選手、クソ海老海鮮丼が医者を取った。


「って、全員そこそこいい職業取るなよ!姉さんはいいけど!」


 オレは残った職業カードを眺めながら落胆する。残りでいいやつなんて、弁護士ぐらいしか残ってないぞ。


「結衣サンはいいんだネ、樹」


 小蘭にジト目でなんか言われたような気がするが無視する。


「樹、俺は年俸だから給料日でも貰えない分許してくれ」


 そう許しを乞う鵺一の職業は確かに年俸制。最初に職に就いた時と特定の給料日マスでなければ貰えなかったはずだ。そういうことなら、


「鵺一も許してやろう」


「結局俺だけかよ」


 海老のクソブラックタイガー野郎がやれやれと言わんばかりに首を振った。

 当たり前だろ調子乗んな海老のクソダイオウグソクムシ野郎。

 そんなオレ達の様子を見て、ほけほけと笑う姉さんが一言。


「あらあら、かなくんたら逆に愛されてるわね」


「「どこが!?」」


「息ピッタリじゃねーかヨ」


 そんなアホなやり取りをしながら、オレはルーレットを回す。どうか弁護士のマスに止まりますように……!

 そんな祈りを込めて回して出た数は、5。オレはおそるおそるコマを進め……て……


「サ、サラリーマン……」


「ウッヒャハハハ!社畜コースおめでとう!」


 海老のクソ解剖野郎に爆笑された。ふっざけんな誰が社畜だ。

 しかし笑っていたのは海老のクソ回転寿司野郎だけじゃなくて、小蘭もだった。鵺一も必死に笑いをこらえているがこらえきれていない。


「ひ、酷いぞお前ら!」


「だって、あははは!樹がリーマンって似合わないヨ!ははははは!」


「小蘭の……んぐっ、言う通りブフォ」


「せめて最後まで堪えろよ鵺一!」


 お前らだけはオレの味方だと思っていたのに、君達には失望しました。しかし、これを蹴って弁護士を狙っても、止まれなければ意味がない。それどころか、どこにも止まれなければフリーターマッスグマだ。ジグザグマじゃない、マッスグマだ。


「まだ転職の可能性もあるわ。ここにしておいたら樹」


 姉さんがニコニコとオレそう提案する。

 そうだな姉さん!姉さんだけはいつまでもオレの味方だ!


「大丈夫よ。樹は黄色いネクタイが似合いそうだもの」


「姉さん、オレが黄色が好きだからって適当なこと言うのやめてくれないかな」


 黄色のネクタイは流石に無い。他にもっと似合う人いそうだし。なんとなくだけどその人はダンボールも似合いそう。


「ふっふーん!次の小蘭チャンは、樹みたいにしょっぱい職業選ばないヨー!」


 オレと姉さんのやり取りをよそに、オレの次の番の小蘭が意気揚々とルーレットを回す。

 出た数は7。小蘭は「イチ、ニー、サン、ヨン……」と数えながらコマを進めていく。そうして彼女が止まったマスは


「タレント!ワタシタレントになれるヨー!なりマス!」


「即決かよ!!」


 すぐさまタレントになることを決めた小蘭に、銀行役の海老のクソ天むす野郎が「はいよー」とタレントの職業カードを渡す。

 しかし小蘭、ちゃんと職業の説明は読んだのか?


「タレントか……ん?でも確かタレントって、フリーターとほとんど同じじゃなかったか」


 オレと同じことを思ったのか、鵺一がそうもらした。流石オレの親友。僕らはいつも以心伝心だな!

 当然、鵺一のその言葉に小蘭は先程までの浮かれ具合はどこへ行ったのやら、ピタッと固まる。そしておそるおそる、持っているタレントの職業カードの説明を読みはじめた。


「……給料は出た数の五千倍……ただし3以下が出たら貰えないイイ!?!?フッザケンナアルヨロシ!!」


 小蘭はそう叫びながら職業カードを地面にスパーンと叩きつけた。

 そして律儀にそれを拾いなおし、銀行役の海老のクソ天ぷら野郎に「退職手続きを取るネ!」と突っ返す。が、


「あァ?もう無理でーす。そう簡単に仕事辞められると思うなよ小娘」


 と、受け取りを拒否された。小蘭は絶望した顔をしている。おいおい、そこまでかよ。


「大丈夫よ小蘭ちゃん。小蘭ちゃんなら次のポスト桜井ももこも狙えるわ」


 すかさずフォローに入る姉さん。流石だぜ姉さん!でも適当なこと言うのはほどほどにしてくれ姉さん!小蘭があの桜井ももこに勝てるわけないだろ姉さん!

 しかし小蘭は少しアホの子なので、姉さんの適当発言を真に受ける。


「結衣サンが言うなら間違いないヨ!次世代アイドル小蘭チャン爆誕ダヨ~!」


 腕を天高く突き上げ、高らかに胸を張るアホの小蘭。

 そんな様子を見て、鵺一がまた一言。


「小蘭はどちらかと言うと池谷先輩タイプだろ」


「薫チャン先輩タイプってどういうことネ!?ワタシ芸人ってコト!?フザケンナアルヨロシ!!」


 小蘭のラリアットが鵺一の顔面に決まった。



 *



 結婚、それは人生の墓場とも言う。

 選択を間違えれば、天国にも地獄にもなる一大イベント。

 回避する選択肢もあるが、それが必ずしも幸福とは言えない、恐ろしいイベント。


 まあ、人生ゲームにおいてはただの強制イベントで車に乗るピンが増えてお金がもらえるだけのイベントなんだけど。

 そんなこんなでそのマスに、オレ達は次々と止まらされて結婚をさせられる。


「結婚マスを回避する方法は無いのか」


 そう言ったのは鵺一だ。

 確かに、このメンツの中じゃ一番結婚という単語が似合わなそうだしな。


「まあまあ、人生ゲームに限っては金もらえるからいいじゃん」


 オレはそう笑いながら、クソ海老銀行の隣に置かれた大量のピンが入った缶をまさぐる。

 そしてその中からピンクのピンを二つ取り出すと、鵺一の前に掲げ、ニヤッとしてみせる。


「あなたが落としたのは波の方?雪の方?」


「どっちもいらん」


 即答かよ!

 鵺一のあまりのブレなさに笑いをこらえながら、今度は青いピンを一本取り出す。


「正直者のあなたには、この華の方をあげま」


「もっといらんわ!!!」


 オレが言い終わる前に鵺一にピンをバシィと弾かれた。

 そのまま鵺一は、自分で缶の中からピンクのピンを取りだし、無言で自分の車にぶっ刺した。

 そんなに波も雪も嫌なのかよ…。でもこれで華がいいとか言い出してたら、オレ違う意味でビックリして天井突き破ってたよ。

 オレは鵺一が吹っ飛ばしたピンを拾って缶に戻すと、自分のルーレットを回した。どうせどの数が出ても、強制的に止まる位置にいるからあまり意味はないんだけど。


「んじゃま、結婚して金もらうかー」


 オレは缶からピンクのピンを取り出して、自分の車に刺そうとした。その瞬間。

 横からすごい勢いでズボォ!とピンクのピンを刺された。犯人は小蘭だ。


「樹がそこまで言うならしょうがないヨネ、小蘭チャンが特別に結婚してヤルヨ」


 よく見ると小蘭のコマに刺さっていたはずのピンクのピンが無い。


「バッッッッカかお前!?自分のピンを人の車に刺すやつがいるかよ!?」


「だってワタシはこのピンだけダモン。唯一無二の存在。ワタシ以外ワタシじゃないノ」


「何言ってるかわかんないっての!つーかお前の車空だけど、どうすんだよ!」


「それはあれダヨ、今話題の自動運転車ってやつだから人がいなくても安心ネ」


「いや違うそういう意味じゃなくて…!」


「大丈夫ヨ樹!ワタシの番になったら、またワタシのところに樹のも一緒に刺し直すヨ。そして樹の番になったらまた戻しテ……」


「めんっっっっどくさ!!だあああ、もうわかった!はい分身~あんたも分身~」


「いつからそれが分身だと錯覚していタ……?」


「なん……だと……!」


 その時、オレと小蘭が意味不明なやり取りをしながら、シュバババハと激しいピンの攻防戦を繰り広げる様子を見ていたた他三人は、なんだか全員同じ顔をしていたような気がする。



(早くくっつけばいいのに)


(早くくっついちゃえばいいのにねえ)


(早よくっつきやがれやバカップルがよ)



 *



「なかなか良いマスに止まらないわねえ…」


 オレがコマを動かし終わった後、姉さんがルーレットを回し、コマを動かしながら呟く。

 姉さんはそう言うが、ちゃっかり堅実に稼いでいる。大きな臨時収入は無いが、代わりに無駄な支払いも無いのでちまちま貯めてきている。といった感じだ。

 無駄な冒険はしない姉さんらしい。実はこういうタイプが厄介だったりするんだよな。姉さんだから許すけど。


「はい、次はかなくんの番よ」


 姉さんはマスの指示通りにクソ海老銀行からお金を受け取り自分の番を終えると、海老のクソ甲殻類野郎を促す。

 海老のクソエビピラフ野郎は、ギャンブラー型だった。コース分岐も迷わずカジノコースを選び、株は必ず買ってジャンジャカ賭けをする。

 そして厄介なことに、海老のクソ冷凍みかん野郎は、強い。

 賭けに、強すぎる。


「おん?また株券チャレンジマスか」


 海老のクソ産地直送野郎は、迷わず賭け用のピンを5と8の位置に刺した。

 そして特に賭けをするとも宣言せずに、ルーレットを回す。


 外れろ外れろ外れろ外れろ外れろ外れろ


 と、オレは心のなかで呪詛を唱えたが叶わず。ああ無情、ルーレットは8で止まった。


「アッハッハッハ!まーた当たっちまったわ!」


 海老のクソカエル野郎は大笑いしながら、当たり分の金をセルフ銀行して受け取る。

 腹が立ったので海老のクソ脇腹を小突いた。

 倍の勢いで海老のクソヤクザ野郎に背中をバン!と叩かれた。

 オレはむせた。スイーツ(笑)


「あのなあ樹。俺よりももっと小突く相手がいるだろが」


 海老のクソホルマリン野郎は、その相手を顎で指す。

 それは今まさに自分のルーレットを回している鵺一だった。

 鵺一は、それはそれは恐ろしい程に臨時収入で稼ぐタイプだった。

 ちまちま、なんてレベルじゃない。がっぽりだ。


「何々?洞窟で小判を見つける……10万貰う……だそうだ、海老沢さん」


 鵺一は海老のクソターコイズ野郎に手をすいっと差し出した。

 そう、鵺一はこれがさっきからずっと続いているのだ。もう7回ぐらいは見たぞこの光景。

 流石の海老のクソ注射器野郎も、チッと大きな舌打ちをして金を乱暴に渡す。


「なんなんだよテメエのその運は。洞窟ってお前、いっそ考古学者とかにでもなっちまえよ。んで岩盤崩落して死ね」


「直接的すぎないか海老沢さん」


 とまあ、前半三人はタイプは違えど調子が良い方だった。

 当然、調子が良い奴がいれば悪いやつもいるわけで、今回はそれが


「偽物の絵画を買う……5万払うぅ!?」


「変な壺を買わされる……7万の損失!?フザケンジャネーヨ!!」


 オレと小蘭だった。


「アヒャヒャヒャ!!お前らまーた仲良く借金か!!ずる賢い美大生あたりにでも贋作つかまされて騙されたかァ?」


 と、ゲラゲラ爆笑する海老のクソなめこ野郎。


「ほんと、仲良しねえ」


 と、のほほんと微笑む姉さん。


 鵺一は生暖かい目でこちらを見ている。

 ってなんだ鵺一テメーその目は。


 くっそ、オレはいつもだと強い方なのに……!

 今回こんなに調子が悪いのは絶対に……


「小蘭と結婚したから調子悪いんだよ!」


「樹と結婚したから調子悪いヨ絶対!」


「人のせいにすんな!」


「人のせいにしないでクレル!?」


 ギギギギと睨み合うオレ達の頭を、いきなりガッと捕まれた。


「ガタガタうるせえ、いいから耳ィ揃えてキッチリ借金返せやテメエらオラァ……」


「「……はい」」



(かなくん、完全に借金取りのソレだわ)


(海老沢さん、完全に借金取りのヤクザだ……)



 *



 もーいーくつ寝ーるーとー

 おーしょーおーがーつー


 お正月にはー凧上げてー

 こーまを回して遊びましょー


 はーやーくーこーいーこーいー

 おーしょーおーがーつー



「……あーあ、天才少年のくせに負けてやーんの」



 *



 結果から言えば、オレは5位だった。

 ボロボロだった。ボロボロだった。


 あのあと、オレは奇跡の臨時収入と、エリート営業マンへの昇格のお陰で一時的に立て直した。が、小蘭の呪いは強力だった。

 家は家事で焼け、オレは何回も骨折して休み、ちまちまと変なものを買って金が飛んでいった結果、最後の総決算やボーナスを持ってやっと借金が消えました、というレベルだ。


「うぅああぅああ……!スーパーアイドル小蘭チャンの野望が……!」


 そう、オレの横で頭を抱えるのはビリの小蘭。

 呪いの元凶だった小蘭はやはり凄まじく、家は焼け、空き巣に入られ、骨折し、事故も起こし、流行り病にかかり、変な詐欺に引っ掛かり、極めつけは何度もマスを戻されたために、最初に渡りきった奴に渡る度に金を支払う橋を何度も渡り、金を払う羽目になったことだ。

 しかもスーパーアイドルとか言ってたが、昇格できずタレントで小蘭の人生は終わっている。

 当然、借金は残る残る。


「大丈夫よ小蘭ちゃん。小蘭ちゃんなら、次の黒川ひめ枠でも行けるわ」


 また姉さんは適当なフォローをいれる。

 が、流石にこれにはオレもツッコむぞ姉さん。


「いや、小蘭にグラドルは無理─」


 言い終わる前に小蘭に腹パンされた。

 いや、腹パンというか、思いっきり拳の入ったボディーブローをされた。

 オレはえづいた。解せぬ。


「私もそれぐらい、波瀾万丈な人生を歩みたかったわ。結構頑張ったのだけれど……」


 そう言う姉さんは3位。姉さんは可もなく不可もなく、といった当たり障りのない堅実なプレイで順位をキープし最後まで残った。

 姉さんの車には、ちゃっかり子どもまで乗っている。


「つまらない人生になっちゃったのが、少し残念ね」


「いやいや、それが一番良いだろ」


 そうツッコんだ海老のクソ甘エビ野郎は4位。

 こいつ、最後の最後で賭けに負けてやんの。ウケる(笑)

 最後の強制ストップマスである「人生の大決算マス」でも、こいつは迷いなく「人生最大の賭け」を選んだ。

 全財産のほとんどを賭けて挑んだその結果、大負けだ。超↑ウケる(笑)

 しかし、こいつはボーナスと支援金、残りの財産のお陰でこちら側には来なかった。

 クソ……海老のクソエビチリ野郎のくせに……。


「だいたい、樹と小蘭は逆に面白いからいいけどよ、こいつはおかしいだろ!」


 そう海老が叫びながら指差すのは優勝の鵺一。

 先程から見せびらかすかのように両腕を顔の横で折り曲げ拳を作り、いわゆる「コロンビア」のポーズを取っている。

 顔は真顔だ。こわ……じゃなくて!


「なんでお前最後まで金貰いまくってるんだよぉぉああ!!!」


 こいつは最後までおかしかった。止まるマス全てで金を貰っていた。

 車には姉さん以上に子どものピンが刺さっている……というより、もはや刺す場所がなく山積みにされていると言った方が正しい。

 しかも人生最大の賭けもこいつはしなかったからな。そのまま決算で馬鹿みたいにまた財産が増えている。ぶっちぎりすぎるだろ……。


「だから嫌だったんダヨ、あの橋何回も渡るノ!!なんでこいつに借金してまで払わなきゃいけネーンダヨ!」


「小蘭あざーす」


 喚く小蘭に、鵺一はどや顔で返す。

 その通り、橋を最初に渡りきったのは鵺一。結果、ビリの小蘭がトップの鵺一に何回も貢ぐ形になり、それがさらに独走を加速させていた。

 んだよ、今年も鵺一の独走で終わりかよ。毎年毎年なんなんだこいつ。


 と、ここでゴーンという鈍い音が、遠くの方から聞こえてきた。


「お、鐘だ」


 オレがそう呟くと、全員が一斉に同じ言葉を口にする。


「あけましておめでとう!」


「あけましておめでとうダヨ!」


「あけましておめでとう」


「あけましておめでとうございます」


「あけましておめでとさん」


 オレ達は互いにそう頭を下げた後、笑いあった。

 そして特に合わせたわけでもなく、全員が同じ場所を見る。


「まさか、こいつが2位とはなァ」


「だが俺には到底及ばん」


「それは鵺一がおかしいノ!!」


「もっと早く彼に会いたかったわね」


「うん、オレももっと早く姉さんや小蘭、鵺一達に会わせたかった」


 会っていたら、何か変わってたのかな。

 2位の、金とコマだけが置かれた空間を眺めて、オレはもうこの世にはいない相手の幸せを祈る。



 あけましておめでとう、小鳥遊。





「あけましておめでとう、お人好しの樹くん」

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