冒険者登録しないとだから
「何なんですかこの能力!滅茶苦茶熱いじゃねーか!!」
「い、いやー、だから手が熱くなる能力って…アハハ。」
「その熱に耐えれる構造にはなっていないのかね!?んん!?」
「お、落ち着いて、口調がおかしな事になってるよ。」
多分生きてきた中で最大の痛みだった。
例えるならアツアツに熱した鉄の手袋を装備したかの様な痛みだった。何だよこの能力、欠陥だらけじゃねえか。
「それに一応耐えれるようにはなってるよ、ほら、あんなに熱そうだったのに火傷一つ無い、無傷。」
そう言われて右手を見てみると、確かに右手には特に火傷等の傷痕は無く、問題なく動く健康な右手がそこにはあった。
確かに手には何のダメージが無い事には無いが…
「こんな諸刃の剣の能力なんか使えるか、もっと良い能力は無かったのか?」
「うーん、て言ってもアタシは決定した能力を一に渡すだけだからなぁ。」
「渡すだけ?」
「うん、一の能力は、神さま的な人が決めてるんだ。ほら、能力手に入った時声聞こえたでしょ?それがそれ。」
「そいつは何を思ってこの能力にしたんだよ。」
「さあ?案外神さまも結構適当に決めてるのかもね。」
「俺の冒険に大きく関わる事を適当で決められてたまるか!」
「まーまー、文句言っても届かないし能力も変わらないよ。とりあえず、冒険する為には冒険者登録しないとだから、ギルドに行こう。」
くそ、こんな所でも自分の運の無さを痛感する事になるとは。
異世界生活の最初から躓いた俺は、とりあえず今日は能力を使わずに過ごそうと決意した。
ギルド、か、いつかは仲間も欲しいところだが、とりあえずは冒険者登録をするのが先だな。こんな能力じゃ仲間になってくれる人もいないだろうし。
「よし、気を取り直して行くか、ギルド。」
「お、切り替え早いねー。」
「まあな、明日になればまた能力も変わるんだし、とりあえず今日は様子見って事で。」
「オッケー、それじゃあレッツゴー!」