天界で、“召喚”という意味です
「ガチャ?」
ミラエルさんは説明を続けた。
「はい、貴方には0時からその日の23時59分まで、その日毎に違う能力が付与されます。」
「毎日違う能力って事?」
「ええ、そして貴方にはこの妖精を同行させます。」
そう言うと、ミラエルさんの後ろからピョンと、一匹の妖精が元気よく飛び出して来た。
「よっろしくー!」
「この子に向かって手をかざし、ガチャと言うと、その日の貴方の能力を教えてくれます。」
「なんでガチャ?」
「天界の言葉で”召喚“という意味です。」
「マジでか。」
能力を召喚するとかそういう意味なのかな?
しかしみんな知らないうちに現実世界で天界の言葉使ってたのか、意味も大きく間違ってる訳じゃないし。
しかし…1日毎に違う能力か…かっこいい!
だってあれだろ?昨日は光魔法を使ってた奴が今日は闇魔法使ってるとかそんな事も起こりうるんだろ?そんなの最強に決まってんじゃねぇか!やはり俺は異世界で生きるべくして生まれた人間だったか。
既に異世界での地位は確約されたものと信じて疑わない俺は、一刻も早く異世界へと行きたい思いで一杯だった。
「そこの渦の中に足を踏み入れると、先程のように光に包まれ、次に目を開けた時には貴方は異世界へと移動しているでしょう。」
成る程、隣のこの渦は異世界へ行く為のものだったのか。
「よし、待ってろよ異世界!俺のガチャで世界を救う!そして…」
待ってろ、俺のヒロイン!
そう、学校では色恋沙汰が全く無かった俺にとって、異世界での出会いはそりゃもう楽しみでしか無かった。
待ってろよ、女剣士にエルフに獣耳っ娘に天使!…天使?
待てよ?メインヒロインは常に始めて出会った女性と相場が決まってる。つまり、俺の異世界でのメインヒロインは…
そう思った時にはちょうど俺は渦に足を入れている時だった。
渦の光が徐々に強くなっていく。
「ま…待って!」
俺はミラエルさんの方を向き咄嗟に叫んだ。待ってくれ、俺のメインヒロイン!
するとミラエルさんはにっこりと笑顔になり話し始めた。いや、何か怒ってる様にも見える。
「最後に私の持ってる能力について話しておきます。私の能力は読心。つまり、相手の心の中で考えている事が分かるのです。つまり…」
え、つまり、それって…最初から俺の思ってる事が…
「つまり、私がメインヒロインという展開は無いので、異世界で存分に出会いを見つけてくださいね。天界だけにっ。」
ニコッと笑い、
最後の台詞を言っている時のミラエルさんは、それはそれは良い笑顔で話しており、さっきの上品さとはまた違う天使の笑顔を最後に俺に向けてくれました。っていうか…
「めちゃくちゃ恥ずかしいぃぃいい!」




