おるすばんとおてつだい。
次回更新は三日後になります。
ゴロゴロ、ゴロゴロ。
おなかいっぱいで動けなかったけど楽になってきた。
なのでとりあえずタタミで転がってる。
「このザラザラがクセになるぅ。」
草の匂いみたいなのもするけど、嫌じゃない匂いでボクは好きだな。
たまーにフローリングの方にも転がるけど、やっぱりタタミの方が気持ちいい。
「ふぅ、飽きたー。」
ちょっと流石にゴロゴロし過ぎて飽きた。
何か面白いことないかなぁ、トージとリュリーティアは遊びに行ってるからなー。
勝手に遊びにいったらトージとリュリーティアが心配しそうなので出掛けられないし。
「二人は心配性だからね、うん。」
なのでなるべくこの部屋で、トージ達が帰るまで暇をつぶしていなきゃいけないんだ。
トントントン。
「んん?」
部屋の外、廊下から歩く音が近づいてくる。
この足音は、ハナだ。
多分ボクの様子を見に来てくれたんだね。
「あっそうだ! くふふふ……ハナを驚かしちゃおう。」
そう思いついてすぐに行動を開始する。
襖のすぐ横に張り付いて、ハナが襖を開いてくれるのを静かに待つ。
足音が部屋の前で止まる、そろそろだね。
「シャルルさん? 具合はだ」
「ばぁっ!!」
「きゃーっ!!?」
やった成功した!
バシャン!
「あ……。」
ハナは多分ボクのために水を持ってきてくれたんだろう、お盆に乗せてこの部屋まで運んできていた。
襖を開けていざという時にボクが驚かせてしまった、お陰でハナはビックリしてお盆を落としてしまい、綺麗な着物を濡らすこととなってしまった。
「あ、あはは……。お元気になったようでなによりです。」
「ご、ごめんハナー!!」
ハナは濡れてしまった着物を衣桁に掛けて乾かしている、予備の着物があったらしく今はそれに着替えていた。
「本当にごめんなさい……。」
「大丈夫ですよ濡れただけですので! こうして乾かしておけばいいんですから。」
「でも……。」
ボクのイタズラで濡らしてしまったことは確かなのだから。
反省して落ち込んでいると、ハナはボクのその姿を見て何かを思いついたように声を上げた。
「それでしたら罰という訳ではございませんが、シャルルさんには今日一日私の仕事を手伝ってもらう、というのはどうでしょう?」
ハナの仕事を手伝う?
「あっ! で、でも嫌でしたら遠慮なく断ってくださいね!? 本当に罰でもなんでもないですから!」
ボクが答えなかったことで勘違いをさせてしまったようで、ハナは慌ててそう言ってくる。
「ううん、ボクやるよ! ハナの仕事お手伝いする!」
「言っておいてなんですが、本当に宜しいのですか?」
「うん、いいよ。もちろん反省しているんだけど、それ以上に宿屋のお仕事ってどんな事するのか面白そうだから手伝いたい!」
「まあ、うふふそれではお願いします。」
宿屋のお仕事かぁ、一体どういうお仕事があるのかな。
「それでは……まずはサクラの間のお掃除から致しましょうか。」
サクラの間のお掃除から始まり、ボクはの手には先っぽにヒラヒラした布が付いた棒が渡された。
口には布をまいている、泥棒さんみたいだ。
「それはハタキというものなんですけれど、それを使って障子などや高いところの埃を落としてもらいます。」
「これで拭けばいいのかな?」
「いえハタキは名の通り、はたいて使う物です。でも力はほとんど入れなくて構いません。じゃないと障子などは破れてしまいますので。」
そう言ってハナは手本を見せるように軽くポンポンとはたいていく。
すると少しずつだけどホコリが舞っていくのが見える、ボクもそれを真似してハタキで軽くポンポンとはたいていく。
「はいそうです、お上手ですよ。」
「えへへーそうかな。」
それを数分程やった後に今度は先が細かく枝分かれした棒、ほうきを渡される。
「これはボクも使ったことあるから自信あるよ! 落ちたホコリを掃いていけばいいんだよね。」
早速ほうきを使ってホコリを取ろうとすると、ハナが慌てながら止めてくる。
「ああ待ってくださいシャルル様! そのまま掃いてしまうと畳が傷ついてしまいます、畳を掃く時には目に合わせて、つまりは編まれている方向に沿って掃いていくのです。そうすると畳が傷むことなく出来るんですよ。」
「そうなんだ、てっきり普通に掃いてけばいいんだと思ってたや。うーんと、これでいい?」
「はい、その方向にお願いします。」
タタミは繊細さんなんだなー、気をつけなきゃね。
タタミに落ちたホコリを全部取りきりほうきを片付ける、次にハナはボク達が使ったタオルが入ったカゴを抱え持つ。
「では、この使用したタオルを洗うために一度外に行きましょうか。」
「じゃあボクがそのカゴ持つよ!」
「でも結構重たいと思いますので……あっそうです!私が片方持ちますのでシャルルさんは反対側を持ってくださいますか?」
「はーい。」
「うふふ、これなら楽に運べますね。」
そうだね、ボクはそう答えながらハナに先導されて宿屋の外へと向かった。
ガラガラと宿屋の扉を開けて外に出る。
「ではこのまま温泉街の中にあります、とあるお店へと行きましょうか。」
ハナは温泉街の中へと歩みを始める、するといきなり横からビックリする大きな声が聞こえてくる。
「いらっしゃいませお客様! ようこそイヤーミナ温泉宿へ、此度は必ずやお客様に至上の安らぎをお届けいたしますよ! ささ、どうぞ中へとお入りくださいませ! ん……? ちっ、ふん!」
少しおデコが広めで前歯が飛び出たおじさんが、ピカピカの宝石を付けた人に頭を下げている。
するとそのおじさんがこちらを見たと思ったら、笑顔から急に怖い顔になって顔を逸らした。
「むぅ、今のひどくない? そう思うよねハナ。」
「えっ……? あっはい、そ、そうですね酷いですよね!? あははそれよりも早く行きましょう!」
「えっ、うわわちょっと、歩くの早いよハナ!」
「ご、ごめんなさい!」
ハナはそう謝って早かった歩調を合わせてくれる、それよりもさっきのハナのあの悲しそうな顔はなんだったんだろう……。
うむむむ、何かあのおじさんに嫌なことされてるのかなぁ、だとしたら何とかしてあげたいな。
今度トージとリュリーティアに相談してみようかな。
「シャルルさん? こっちの道ですよ?」
「へっ? あっごめん、そっちだね。」
いけないいけない、今はハナのお仕事のお手伝いだからしっかりやらなきゃだね。
温泉街を少し歩いてボク達は1つの建物の前で立ち止まった。
「ここは洗濯などを請け負ってくれるお店なんですよ。」
ハナはその建物の扉を開けて中へと入るように促してくる、それに従って中に入ると不思議な光景が待っていた。
沢山の機械が轟々と音をたてながら駆動している、さらに見たことがない箱型の機械が幾つもあってその中ではグルングルンと服などが回っていた
「シャルルさん、この中にタオルを入れてもらってもいいですか?」
「あ、うん。」
「これに入れてボタンを押せば、後は洗濯から乾燥まで全部やってくれるんですよ。」
「便利だねぇ。」
全てのタオルを箱型の機械に入れてハナはボタンを押した、すると周りと同じようにゴウンゴウンと動き出してタオルをかき混ぜていく。
「さてと、これが終わるには少し時間がかかりますのでその間に宿屋で他のお仕事を済ませてしまいましょう。」
「お店なのにお金はいいの?」
「それは後で大丈夫なんです、終わった時に支払えばいいんですよ。」
そうなんだと思いながら不思議なお店を出て、宿屋への道を戻っていった。




