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苦戦必至の異世界巡り  作者: ゆずポン酢
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次の目的地・2

 お昼ご飯はなんとシャルルの思考を読み取ったのか焼き魚が出てきた。

 スコンベルという魚だそうだが、俺の勘違いじゃなければこれはサバなのではないか?

 サバ自身の脂で光沢を放つのを見ていると思わず喉がなってしまう。

 この世界の食事は本当に俺にとって都合がいいことになっていて助かってしまうな。


「「「いただきます」」」


 まずは塩も醤油もつけずにそのままをいただく。

 箸でつかんだ身はギュッとしていたのにいざ口の中で噛むとほろっと身が崩れていく。

 旨みが広がっていくこの感覚、たまらない。

 醤油を数滴垂らしてサバを口に運ぶ、旨みの脂と醤油が合わさってどんどん白飯が進んでしまう凶悪さ。

 塩を少々かけるとサバ本来の味を際立たせるだけでなく、少しボヤけた口内をリフレッシュさせてまたサバを美味しく味わえる。

 あっという間に完食してしまった。

 デザートはフルーツゼリーが出てきた、これもサシャさんお手製だという事だ。

 ズゾゾゾッ!

 シャルル、それは吸って食べるものじゃない。


「「「ごちそうさまでした」」」







 地図を貰って目的地を決める筈だったが考えが足りてないことに気づいた。


「これ、地図で国や街が分かっても、何があるか分かりませんね……」

「サシャさん達にお聞きする……のは流石にお仕事の邪魔になりますわね」

「ねっねっ、とりあえず地図見てみようよ!」


 シャルルが早く見たそうなのでとりあえず地図を広げてみる。

 簡略化された城や街の絵が描かれていて、その中にシュルト城下町を見つけた。

 そこから西北の方にアクアヴェネツと書かれた文字と、波打つ三つの棒線、これは流れる水を表しているのか。

 西南にはサラマッドと書かれ、こちらは山の絵と立ち上る煙、つまりは鉱山と温泉の湯気を例えたモノが描かれている。

 北にはジーンバレー、南にはグノームス王国と書かれている。

 水がアクアヴェネツ、火がサラマッドとくれば、ジーンバレーはジンの風、グノームス王国はノームの土、うん属性別で分かりやすい。


「アクアヴェネツとサラマッドは、この地図ではシュルト城下町から距離はほとんど同じのようですわね。他にジーンバレーとグノームス王国、これも同じ距離」

「どれを行くにしてもかかる日数は同じってことになるんでしょうね。ジーンバレーとグノームス王国は今回は外すとして、シャルルはお魚食ったけどまだアクアヴェネツに行きたい?」

「うん、まだまだお魚さんパワーを必要としているよボクのカラダ!」

「そうかそうか俺もまだまだシャルルパワーが足りてないぞぉ! ワーシャワシャワシャ!」

「ひゃー! トージくずくったいよー!」

「闘司さんの知性がダダ下がりしていますわね……。はいはい、また後で睦みあっていてくださいね。(ワタクシ)も変わらずアクアヴェネツに行きたいですわ」


 シャルルの頭を撫で回しているのを止めて考える、実は俺もさっきのサバを食って心変わりを果たした。

 アクアヴェネツに行ってみたいと、海産物を味わいたいと食欲が訴えかけているのだ。

 これは自由な旅なんだ、サラマッドには行こうと思えば何時でも行ける、何時でも燻製料理を食べれる。

 ならば満場一致という事にしてアクアヴェネツに行こうではないか、それがいい。


「なら俺もアクアヴェネツに行ってみたいな」

「そうなの? トージもお魚食べたいのかー」

「という事はアクアヴェネツ行きが決まったのですね、本当によろしかったのですの?」

「ええ、サラマッドは絶対に行きたいってわけじゃなかったので、それなら皆が希望する方が良いでしょう?」

「そのような事を言って、どうせさっきのスコンベルで魚も良いな、なんて思ったんじゃありませんの?」


 す、鋭い……!?

 魔法か?! 魔法なのか!?


「やだなぁははは、そうだ! 目的地も決まったしちゃんと必需品を揃えなきゃいけないなー! もう一回噴水広場行ってこようっと。あっシャルルは休んでてもいいぞぉ俺に任せろ!」

「えっいいの? じゃあボクお昼寝してるね〜」

「待ちなさい、闘司さんお一人では不安ですわ。(ワタクシ)も一緒に行きます」


 話から逃げようとしたがまわりこまれてしまった!

 まぁ実際何が要るかも分からないので助かった。

 シャルルはお昼寝と言うな否や早速ベッドで必需品も必要ない夢の世界に旅立っていった。

 その姿を見てリュリーティアさんと二人で軽く笑い、外に出た。






 本日二度目の噴水広場に向かって歩き出す。

 並んで歩きながら何が必要かを話していく。


「衣服、食料、あとはさっきの地図もいりますし……他に何が要りますかね?」

「他にはまず……戦闘用品ですね」

「戦闘用品ですか?」

「はい、町の外に出るという事は安全を捨てて危険を背負うこと。一歩城壁を出れば魔物や、旅人狙いの盗賊などが襲いかかってきます。それに対抗するための手段を確保するのが重要です」


 なるほど、道中そんなのに遭遇して何もできないじゃ困るのか。

 でもリュリーティアさんがいればほとんど解決するのでは……。


(ワタクシ)に頼りきるのは大間違いですわよ。他力本願はいざという時に困ります。それに、本当に魔物などに遭遇した時は闘司さんにお任せします」

「えぇ!?」

「闘司さんが戦いながら(ワタクシ)が戦闘の基礎をお教えしていきますのでお覚悟を。もちろん遭遇しなくてもお教えしますが」


 あぁ……何時でも教えられるはこっちの意味だったのか……。

 ボコスカ殴られる基礎訓練を想像して怯えていると噴水広場についていた。


「着きましたわね。まずは薬屋さんを探して傷薬や解毒薬を調達しましょう」


 薬屋さんと言われてもどんな店を探せばいいのか分からない。

 適当にキョロキョロしていると鼻にツンとくる匂いが漂った。


「な、なんだこの刺激臭……」

「スンスン……ホントですわね、こっちの方から匂っていますわ」


 匂いの元へと歩き出したリュリーティアさんを追いかけていくと、一つのお店にやってきた。

 絵の具でも売っているのかと突っ込みたくなる色とりどりの薬品や、店先に吊るされた正体不明のナマモノ、これまた乾燥され吊るされている薬草みたいなもの、どうやら匂いはコイツらから出ているみたいだ。

 恐らく、いやここが薬屋だろう間違いない、店主はごく普通のおばあちゃんだ。


「おや、いらっしゃいな。何か入り用かね?」

「おばあさん、回復薬と解毒薬を十個ずつ、それとマナキャンディを二十個いただけます?」

「はいよ、あんた達旅人さんかい? だったらコレもオマケしといてあげるよ」

「まぁありがとうございますですわ。コレは香煙(こうえん)ですわね」

「鼻の良い魔物にはうってつけだよ、えーっとじゃあその香煙を省いた値段は……銀貨二枚だね」


 俺は銀貨二枚を取り出しおばあちゃんに渡す、それと引き換えに商品を受け取った。

 回復薬は薄い緑色をして解毒薬は濃い緑色をしている。

 中々に飲む勇気を出しづらい色合いだなこれ。

 マナキャンディと呼ばれる丸いアメはピンクやら黄色やらの色が付いているが、お菓子みたいなのでシャルルが喜びそうである。

 まじまじと薬を眺めていたらリュリーティアさんはさっさと別の方に歩き出していたので慌てて追いかける。

 そのまま噴水広場の端っこの屋台ではなく建物にきた。


「今度はこちらで一式揃えましょう」

「え、一式って? ちょ、ちょっと待ってください!」


 言葉は聞き入れてもらえず店に入るリュリーティアさんを追って俺も中に入る。

 そこには様々な武器や防具が壁や棚に置かれていた。


「おう、よくきたな。ってリュリーティア副団長じゃねぇか! 今日は剣でも買いに来たのか?」

「違いますわ、剣を買いに来たのは合っていますが(ワタクシ)はもう騎士をやめて副団長ではないですの」

「そうなのか!? はあぁ〜それはまたもったいねぇことするなぁ……ん? そっちの兄ちゃんは……コレか?」


 店の奥に座る体格の良いオッサンが俺を見て親指を立ててニヤニヤしている。

 それを見たリュリーティアさんは壁にかけてある剣を持って軽く振り回した。


「ふむ、振りやすい剣で良いですわね。ザジさん、試し斬りを今アナタでしてもよろしいですか?」

「悪い、悪かった! 冗談だから剣を元の所に戻してくれ!」

「ふぅ……冗談なのは分かっていましたわ」


 冗談でも目の前で剣をブンブン振られて斬らせてくださいなんて言われるとか、どんだけ恐ろしい冗談なんだ。


「んで、本当に誰なんだ?」

「あ、俺は八代闘司って言います。えっと、リュリーティアさんの旅仲間といいますか……」

「俺はザジ、武器屋防具屋をしているザジってんだ。というか旅仲間ぁ? リュリーティアお前旅をするのか?」

「ええ、この闘司さんともう一人いるのですがその方達と楽しい楽しい旅をしますわ、羨ましいでしょう?」

「……はっはははは! そうかそうか、旅か! なら騎士なんかやってらんねぇわな、ははは! よーし、旅という事は剣だけじゃ駄目だな。俺がオススメのモノを持ってきてやるよ!」


 豪快に笑ったザジさんは店の奥に消えていってしまった。

 なんともまぁ気持ちの良い人だな、リュリーティアさんを知っているということは、リュリーティアさんはよくこのお店にお世話になっているのだろう。


「俺、こんな剣とか鎧とか置いてある店に入るのなんて初めてですよ。ちょっとワクワクしますね!」

「ふふふ、子供みたいな事を言うのですね?」

「だって俺の世界じゃこんなモノ持ってたら捕まっちゃいますよ。うわーこの剣とかカッコイイなぁ。これは槍か? それにこれは弓矢、色々な武器があるなぁ」

「興味を持つのは良いことですわ。……それに、いづれ闘司さんには全部使いこなせるようになってもらいますので……。」

「え? 最後の方聞き取れなかったですけどなんて言ったんですか?」

「いいえ、ただザジさんが早く来ませんかなと言っただけですわ」


 一瞬寒気を感じたような気がしたが気のせいだったか。

 ザジさんが来るまで店内をじっくり見ていると、店の奥から大きな箱を持ったザジさんが戻ってきた。







「ふぅー、よっしこの中から選びな!」

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