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苦戦必至の異世界巡り  作者: ゆずポン酢
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町の探索・3

 今日も目覚めよく起きることが出来た。

 外の天気は快晴だし身体の調子も良くて清々しい気分だ。

 昨日つけられた傷などはスキルですっかり治っているので、リュリーティアさんの心配には申し訳ないがシャルルと引き続き町の探索をするとしようかな。

 流石にチンピラトリオのような面倒な事は今日は起こらないだろう、あとは今日もお昼はフラウさんの所でいただくとしよう。

 大まかな予定も決まったので先に起きて階下に行ったシャルルの元に行って話をしにいく。


 そして今日はあの問題を解決できるのだ!







 今日も陽の光は差し込まないけれど朝の風が起きた身体を覚ましていく。

 朝の支度をして朝食をいただく。

 シンプルにトーストとスクランブルエッグとコーヒー。

 重すぎず軽すぎないのが朝食といえるだろう。

 紅茶を嗜むがコーヒーを疎んだりはしない、ともにどちらも素敵な嗜好品なのだから。

 今日のコーヒーは苦味を強くするため焙煎時間を少し長めにした。

 これを飲むことによりさらに頭がクリアになる感じがしてくる。

 飲みながらふと目線に昨日買ったスプレーが入ってくる。

 折角買ったのだし、使わなければもったいない。


「ふむ……闘司さんたちは、出掛けて、いないですわね」


 そうと決まればさっさと失態を取り戻しに行こう。









 いやー今日の朝食は朝だっていうのに肉が出てくるんだもんなー。

 凄いなー朝にガッツリ肉を食べるなんて学生の時以来じゃないのかな。

 朝から漲る肉の力を感じながらシャルルと共に外に出る。


「シャルル、ちょっとだけ待っててくれないか?」

「う〜ん? なにかするの?」

「いや昨日買った不思議なスプレーがどんなものか試してみようと思ってな」

「面白そう! ボクも見る!」


 2人して地面の凹んだ場所を見ると目の前の人物と目が合った。


「あれ?」「不味いですわ……」

「リュリーティアだー。おはようリュリーティア!」

「お、おはようございますシャルルさん、闘司さん。こんな所で会うとは奇遇ですわね」

「おはようございますリュリーティアさん。本当に奇遇ですね、こっちに何が用でもあったんですか? あっ、もしかして俺たちに何か用でも?」

「い、いえいえ、違いますの、ただちょっと……そう! 闘司さんのお怪我がどうなのかと思ってお邪魔しにきたのですわ! そうですわ! 決して目の前の部屋に泊まっているなんてことはないですわ!」


 なんか慌てている様子ではあるが、俺の怪我の事を思って来てくれたみたいだ、本当に優しい人だ。


「そうだったんですね。怪我は、ほら見ての通り傷一つありませんよ! コレもスキルのお陰です!」

「そう、そうなのですわね……。それは良かったですわ……。えーと、そ、それでこれから何をしに行くんですの?」

「あぁ、とりあえず今この地面を直してからまたシャルルと町を回ってみようって事になっていたんです」


 そう言って例のスプレーを見せるとリュリーティアさんは驚いた顔をしていた、と思ったら何か小さい声で喋っている。


「……の商人、……バキますわ……」


 よく聞き取れなかったがとてつもなく恐ろしい事を呟いているような気がしたので聞くのをやめた。

 では早速スプレーの効果を試してみよう。

 このスプレーを地面に吹きかけるだけでたちまち元通りになるんだったか。

 プシューっとな。


「おっ? おっ? おおー! すげー! すげーぞシャルル!」

「おぉー! みるみる直るよー!」

「あら、効果は確かですのね」


 凹んだ地面に吹き付けたスプレーはモコモコと隆起して、元の地面へと直った。

 若干タイルがズレてしまっているが許してほしい。

 一回限りなのかスプレーはもう空になってしまった。


「よし、元に戻ったし町の探索に行くか」

「うん! あっ、ねえリュリーティアも一緒に行こう? 一緒ならきっと楽しいよ」

「はい? (ワタクシ)もご一緒に……闘司さんはよろしいんですの?」

「リュリーティアさんが嫌じゃなければ是非一緒に。その方が俺も嬉しいですし」

「そ、そうですの? ……なら、ご一緒させてもらいますわ」

「よーしそうと決まればいこうトージ、リュリーティア!」


 シャルルは俺らの手を握って真ん中に並んだ。

 リュリーティアさんは少し恥ずかしそうにしながら手を離そうとするも、シャルルの楽しそうな笑顔を見てそれをやめた。

 うんうん、シャルルのこの愛らしい笑顔をみたら何もかも許せてしまうんだよな、分かる分かる。

 そうして今日は新たに一人仲間が加わって町の探索に繰り出すことになった。





 昨日同じく噴水広場に着いた。

 パッと見た感じ昨日とは少し店の種類や場所が変わっていて新鮮な気持ちを受ける。

 リュリーティアさんは何故か周りをキョロキョロして何かを探している風である。おかしいな、リュリーティアさんはここに来るの初めてじゃないだろうし。


「リュリーティアさん、何かお探しですか?」

「へっ? いえいえ大丈夫ですわ。ちょっと人を探していただけですし、それも必ずという程でもないですの」

「ほー、そうなんですね。そうだシャルル、昨日みたいに服とか何か必要な物とかってあるか? 次の街とかに行く時に無いと困るしな」

「うーんボクも旅なんてした事ないから何か必要か分からないんだよ。ここに来るのは簡単だし何回か来たことあったから旅とは言えないしね。あっでも食料は大事だね!」


 さっすがシャルル、それはもちろん大事だけどね。

 必要な物か……リストとか作った方が分かりやすいし今度書き起こしておくか。

 ふとリュリーティアさんと目が合った。


「闘司さん達は、旅をしているのですのよね?」

「ええ、と言ってもまだ始まったばかりですので。何処に行こうか何をしようかも行き当たりばったりで決めてまして……」

「そうなのですね……色々な景色を見て色々な人達と触れ合う、楽しそうですわね」


 少し羨ましそうな雰囲気を出してそう言った。


「リュリーティアも一緒に旅をする? きっと楽しいよ!」

「いやいやシャルル、リュリーティアさんはこの町の騎士さんだからそれはちょっと無理だろう」

「うふふそれもいいですわね」

「ええ!?」

「ほらほら時間は有限です。まずは色々店を回りますわよ!」


 シャルルの手を引きそれにつられて俺も引っ張られていく。

 今の言葉は一体どういう意味だったんだろう。






 太陽が真上にあり時刻はお昼だと伝えてくる。

 昨日と変わらず屋台などをフラフラと巡って食べ物を買ったりした。

 一つ分かったけどシャルルは言わずもがな、リュリーティアさんも中々に健啖家だ。

 昨日のお礼を込めて屋台の食べ物を振舞ったが、最初は躊躇っていたがいざ食べるとペロリと平らげた。

 にも関わらずお昼はどうしましょうと言っている。これなら一緒にギガントミートに行っても平気だろう。

 そういえば今日はあの怪しい商人は見かけなかった。

 教会の方に向かっていったのは覚えてるので午後はそっちに行ってみるのもいいかな。


「今日もギガントミート行くけど、シャルルそれでいいか?」

「ばっちこーいだよ!」

「リュリーティアさんも大丈夫ですか?」

「ええ、(ワタクシ)も昨日から食べてみたいと思っていましたの」


「あの、今日もきてくれるんですか?」


「おっリズちゃんこんにちは。そうだよ今日も行こうかなって話していたんだ。リズちゃんはお客さんを呼んでたの?」

「はい! そうしたら闘司お兄ちゃんたちを見つけたので、また案内するのでぜひ来てください!」

「じゃあお願いしようかな」


 看板を持ってお客さんを呼んでたリズちゃんに今日も出会ったのでお店まで連れていってもらう。

 西門の方の道に行き、噴水広場を出て、少し暗い路地に入っていく。

 変わらず人気が無いなと思いながら目的地に着いた。

 店の中に入るとフラウさんが出迎えてくれた。


「あらうふふいらっしゃい。今日も来てくれるかな〜と思っていたら本当に来てくれて嬉しいわ」

「おかーさんお客様三名ね!」

「はぁいリズ、ありがとうね。えーっとシャルルくんはギガントミートでイイのよね。闘司くんとリュリーティアちゃんはどうする?」

「俺もギガント「(ワタクシ)もギガントミートですわ」

「ふふふ、三人ともギガントミートね。分かったわ、それじゃあ今すぐ作るから座って待っててちょうだい。リズ、お手伝いよろしくね」

「はーい!」


 今日も悲しいかな、どの席も空いているので適当に選んで座る。

 シャルルは目をキラキラさせて待ち望んでいる、よっぽど気に入ったのだろう。

 リュリーティアさんも、俺の答えを遮って答えたくらいで凛とした表情はそこに無い。

 コロッケの時から薄々感じていたが食に関してはシャルルと似通っている。


「リュリーティアさんってこういうお店とかよく来たりするんですか?」

「そうですわね、この町の美味しそうなお店は大体行ったことありますわ。ここはちょっと気づきませんでしたが」


 たしかにこんな路地に美味い店があるなんて隠れ家にも程があるぞ。

 少し話をしているとギガントミートがやってきた。

 さて今日もガッツリいただきましょう。




「ふぅ〜お腹いっぱいだぜ」

「おなかいっぱいだねぇ」

「想像以上のお味でしたわフラウさん、ご馳走様です」

「そう言ってくれると嬉しいわぁ。これからもご贔屓にね」


 お皿を片付けてくれるフラウさんに話忘れていたことを話す。


「そうだフラウさん、借金の返済の時に俺達も一緒に付いていっていいですか? ほらあのチンピラトリオの事もありますし念の為にも何かあったら困りますので」

「そうね……そうしてもらおうかな? 明後日行こうと思っていたから、その時はお願いするわね」


 明後日……うん、明日は宿舎に呼ばれる用事があるから明後日なら都合が良いな。


「わかりました明後日またここに来ますね」

「お金の事や一緒に付いてきてくれる事も本当に、本当にありがとうね闘司くん……」

「いやそんな、ただ放っておけないだけなんですから気にしないでください!」

「ふふ、優しいのね」


 フラウさんは微笑んで目を見つめてきた。何だか照れくさくなってしまいお代を払おうとすると、フラウさんは手を重ねてそれを止めた。


「せめてものお礼、ね?」


 可愛らしくウィンクをしてくる。

 年上の包容力というのか余裕というのか、とにかく同年齢では出せないであろう魅力を存分に今の一言にぶつけられてドキッとした。

 そのままボーッとしてると軽い咳払いが聞こえてきて我に返る。


「そそ、そうですか、あり、ありがとうございましぇ!」


 面白い噛み方をしてしまった。

 よく分からない恥ずかしさを隠すように足早に店内を去っていく。


「あの、ごちそうさまでした! また来ます!」

「あー待ってよトージ! フラウごちそーさま!」

「それでは(ワタクシ)もこれで」

「ええ、また来てね」






 少し落ち着いたら次の回る場所を決めよう、そうしよう。

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