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苦戦必至の異世界巡り  作者: ゆずポン酢
24/206

実は凄い神様

次回更新は二日後となります。


 リュリーティアさんは眉根を深く寄せながら質問する。


「それで……この方が、神様なんですわね?」


 いきなり現れた老人を、そうですこの人が神様です、なんて言ったら怪しい団体の人としか思われないが他に言いようが無いのでただ頷く。


「ではどの神様なんですの?」

「どの神様?」

「あーリリィちゃんや、ワシはリリィちゃんの世界でいう八神とやらではないぞ。ちなみに自慢という程でもないがワシの方が八神より偉いっ!」


 自慢である。


「説明すると八神とは、ノーム、ウンディーネ、サラマンダー、ジンの地水火風と、ルナ、ウィル・オ・ウィスプ、シェイド、ドリアードの月光闇樹の8つの神のことじゃ。この神たちがこの世界を創り、支えておる」

「それは知っておりますわ」

「その八神を創ったのはワシじゃ。じゃから親であるワシが子である八神らに頼めばシャルルに与えたように加護を授けたりできーる」

「創造神の創造神ってややこしいですね」

「チミの世界もポンポン神が神を生んだ話も多いし似たようなもんじゃ」

「聞くたびに質問が増えていくこの状況は一体何ですの……」


 俺も神様が初耳な事をスラスラ言うので困る。


「あーもう、じゃあ分かりましたわ。話を聞くだけでは余計混乱しそうです、なので何か神様っぽい事をしてみてくださいます? そうすれば信じましょう」

「ええ……」


 混乱しきって面倒になったのかとても適当な事を言い出した。


「チミ、これはワシの神力(かみちから)の出番じゃろ、ほっほー!」

「その胡散臭い力って本当に使えるんですか?」

「チミを生き返らせたのも神力(かみちから)じゃぞ」


 ははっ……総称して神力(かみちから)なのね。

 神様は髭をさすりながら少し考えて食べ終わったギガントミートの皿に手をかざした。

 すると皿にギガントミートが盛られていた。

 瞬きもしてないのに気づいたらそこにあった。


「リリィちゃんどうじゃどうじゃ? 凄いじゃろ?」


 リュリーティアさんは口を開けて呆然としている。

 シャルルはすかさず食べようとしたがギガントミートは一瞬で無くなった。


「こらこらシャルルよ、そんなに食べたら宿屋の夕食を食べられなくなってしまうじゃろ。今夜はカレーライス、アレは中々に美味いのじゃよ?」

「カレーライス?! ね、ね、トージぃボクカレーライス食べた事ないから楽しみだよ! 早く帰ろ〜よ〜」

「ごめんごめん分かったから、もう少しだけ待っててくれるか?」

「おっけーだよ!」


 リュリーティアさんは一瞬で現れては消えたギガントミートの皿を眺めている。


「神様さん……、お肉を出した方法は分からないにしても、魔力を一切感じませんでした……。何をしたのです……?」

「それはの、平行世界から持ってきたのじゃ。ワシが食べなかった事により、肉が無くならなかった平行世界から持ってきたのじゃ。それに魔力とは人などが神の力を真似て使うためなどにあるモノ。ワシはそもそも神様じゃし無くても問題ないのじゃよ」

「無茶苦茶ですわ……」

「リリィちゃんが魔力でワシの事を信じてくれるのなら、ほれ」


 フワッと何か体全体に触れているかのような感覚を受ける。

 暖かくもあり冷たくもある、硬いようで柔らかい、落ち着くようで気が昂る、不思議なものが部屋全体に満ちているのが感じられる。


「こんなもんでもいいかのリリィちゃん? 足りないならまだ全然出せるぞい?」

「……いえ結構です。……大変失礼致しました、疑うような事を言ってしまい本当にお恥ずかしいです。本気でなくてこの力、全容はおよそ人間には到達など出来ませんわね」


 リュリーティアさんは力を感じ取れたようで姿勢をただし謝罪をした。

 えっ? 今凄いことしてたの? あのフワッとしたやつって驚くやつなの?

 まるで凄さが分からなかった俺はシャルルにコソッと聞いてみる。


「な、なぁシャルル」

「ん? なぁに?」

「お前も今なんか凄いやつ的なモノを感じたか? 俺、サッパリなんだけど」

「うん。こうワーッて魔力が広がっていったよ?」

「そ、そうか。それって普通出来ないのか?」

「うーん、加護をもらった今のボクだと出来るかもしれないけど、前は出来なかったと思うよ。」


 ほほー、神様の力を全然凄いと思わなかったけどこうもリュリーティアさんとシャルルが言うのだから余程なんだろう。

 まぁ俺にとっては変な神様なのは変わらない。


「それで先程闘司さんが話した事は全部本当のことなのですね? あのスキルも」

「もちろん嘘など一つもついとらんよ」

「なるほど、少し提案があるのですがお耳をお貸しくださいます?」

「ホホっ良いじゃろ」


 そう言って二人で密談を開始した。

 なんか聞くに聞けないのでもう1つの心配であるフラウさんと話をするとしよう。


「それでフラウさん、あのチンピラトリオをやっつけちゃったのってマズくなかったですか? そのドランって奴が怒ったりして来ませんかね?」

「いいえ私達を守ってくれたんですマズくなんてないです! でも確かにドランさんがこの店に来てしまう可能性はありますね……」

「あの、なんでそのドランやチンピラトリオがこの店に来るのか理由を聞いても大丈夫ですか? ほらっ!もう乗り掛かった船と言いますか、このまま放っておくなんて俺もシャルルも出来ませんので」

「実は、借金をしているんです……」




 話を聞いたところ、まず知り合いがドランからお金を借りていてフラウさんが保証人となった所、その知り合いが姿を消してしまったこと。

 そして何故か契約には借金を返せなかった場合、この店を貰い受けるとの記載があったこと。

 借金の額は金貨百枚、期日は五日後。

 借金を他人に押し付けて逃げるなんて、フラウさんはとんだ災難を被ってしまったようだ。


「あの、その借金俺が代わりに払います」

「だ、ダメよ何言ってるの!? それに、金貨100枚なんてお金どうするつもりなの! いくら何でもそこまでしてもらえないわ!」

「金貨ならほら、ここにありますし。それにあげるのではなく貸すってことでなら問題ないですよね? 俺は別にいつでも無理なく返してもらえれば構いませんから」

「って……え? 闘司くんって商人さんとか何かなの? 普通金貨100枚なんて用意できるはずないわよ……」


 えっ? このリハート金貨ってそんなに価値あるの? いや神様がサラッとお金100枚ずつ渡してくるからそんなものかと思っていたのに。


「ちょ、ちょっと聞きたいんですけど金貨百枚ってそこまで価値が凄いんですか?」

「もちろんよ、そもそもこのお店か金貨百枚っていう選択がおかしいのよ。それなら金貨百枚でウチと同じ店を四、五店舗楽に建てられるはずなのよ」

「そ、そんなにですか!? あの神様そんな価値のものを普通の袋に入れて渡したのか……」

「そのお金は神様さんがくれたものなの? 神様さんってホントに凄いのねぇ……」

「呼んだかの?」


 ひょこっと神様が会話に加わってきた。

 どうやらリュリーティアさんとの密談は終わったらしくて相談するなら今がいいだろう。


「あの神様、神様に貰ったこの金貨百枚フラウさんにお貸ししてもいいですか?」

「うん? もちろんじゃよ。チミがそうしたいと望むなら構わんよ、それにフラウちゃんならそのお金を悪用したりしないし寧ろ良いことじゃな」

「そんな神様さんまで……ホントにそんな大金は頂けないです」

「ほっほっ。闘司も言う通りあげるのではなく貸すだけなんじゃ、渡したワシもイイと言うのじゃし遠慮なく受け取っておきなさい。それに、この店を無くしてしまうのはワシもシャルルも悲しむぞ?」

「そうですよ! 食いしん坊なシャルルが満足するギガントミートが食べれなくなっちゃうのは俺も困ります」

「闘司くん、神様さん……。ええ、分かりました。ありがとうございます。これでこのお店を失わずに済みます。本当に、本当にありがとうございます……」


 フラウさんは深く頭をさげて感謝を示した。

 元々神様に貰ったお金だし感謝されるのも変な気がしたので頭を上げるようにお願いした。

 目元には少し光るものが見えたが気付かないふりをしておこう。

 我慢が限界に達したのかシャルルが俺に飛びかかってきた。


「ねートージぃ! お話は解決したんでしょ? ならもう帰ろーよー。ボクもうカレーライスが楽しみでお腹と背中がくっつくよぉ」

「あぁもう終わったから帰ろっか。それじゃフラウさん、リズちゃん、またシャルルとギガントミートを食べに来ますね!」

「ええ、闘司くん、シャルルくんありがとうね」

「またねお兄ちゃんたち!」

「じゃあワシも帰るとするかの。シャルルや、またの。それとチミ、リリィちゃんと宜しく頑張るんじゃぞ」

「またね神様!」「へ? よろしくやる?」


 またも気づいたら神様は居なくなっていた。

 リュリーティアさんと宜しく頑張るって一体……。

 疑問はシャルルが腕を引っ張ることでどこかへと消えた。

 外に出るとリュリーティアさんが立って待っていた。


「お話は終わったようですわね」

「リュリーティアさんも神様と何を話していたんですか?」

「ああそれは闘司さんの事を話していたんですの。待っていたのはその事です」

「俺の?」

「ええ、でも怪我の心配もありますし明後日騎士宿舎に来てくださいますか? その時にお話します」

「えっ、あっはい分かりました」

「それでは。あっそこのチンピラトリオは(ワタクシ)が連行しときますので御安心ください。ドランとやらの事も詳しくお話してもらいますので何か分かったらお伝えしますね」


 そう言ってリュリーティアさんは縛り上げたチンピラトリオを軽々と片手で引きずりながら去っていった。

 お話という名の尋問が待っているであろうチンピラトリオよ南無三。

 自業自得だチンピラトリオ。

 さてと色々あった一日であった。

 シャルルの手を取って仲良く宿屋に向かって帰っていく。





 ガラシャの宿屋のカレーライスはどんなお味かな。

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