町の探索・1
窓から差し込む日光で目が覚めた。
肩に目をやると火傷はしっかりと治っていた。
いや貰った飲み薬を飲んだわけじゃなく自動治癒のおかけで治ったのだ。
貰った薬はなんだか使えずそのままにしてある。
貰った時の衝撃と小さな罪悪感で使えなかった。
何故かというと……リュリーティアさんは動きやすくするために上着を脱いで薄着になっていた、そしてシャルルが生み出した雨に濡れた。
あとは、分かるな? 下着が透けていたのだ……。
よし、この脳内話は終わりにしよう。
薬を見る度に思い出してしまいそうだけど。
悶々としたものを振り払っていると隣で寝ていたシャルルも起き出した。
「おはよぉ~トージぃ……」
「なんだシャルル昨日はシャルルの方が起きるの早かったのにな」
「誰かさん達がボクの睡眠を邪魔したからねぇ……」
「大変申し訳ございませんでした」
「んふふ~いいよ許してあげる。でもボク今日は町を歩いていたら急にお腹とか空いちゃうかもな~。そうしたら困っちゃうなぁ」
「はい、喜んで何でも買わせていただきます!」
「冗談だよ、町を楽しむなら一緒に! だよ?」
はへぇ、ここに天使がおるぞ。
コンコン、扉がノックされた。
「闘司くんシャルルくん、朝ごはんよー」
「ゴハン! ボサっとしてないで早く食べに行こう。今日は町を回るんだからね!」
「はいはい、慌てない慌てない」
それでは朝食を食べて今日を楽しむとするか!
天気は快晴でとても清々しい。
探索をするには絶好の日和だなと空を見上げていて思う。
「ねぇトージ……この地面なにしたの?」
……。
「よし、早速出発しようじゃないか! 時間は有限なんだぞハッハッハ」
「あ、無視した」
決して地面は見ずに歩き出す。
面倒事になったらリュリーティアさんに押し付けよう。
この地面も魔法で直ったりしないのかなぁ……。
朝食を食べながらサシャさんに聞いたところ、常に何かしら屋台や露天などがある噴水広場があるらしい。
まずはそこに行ってみるとしよう。
「お店ってどんな食べ物が売ってるのかなー」
「おいおい今さっき朝食食べたばかりなのにもうお腹空いたのか?」
「へへーん、育ち盛りのエルフはたくさん食べるのが当然なんだよ」
「シャルルがただ食いしんぼうなだけじゃないのかそれ」
「むーそんなことないよ、あっほら噴水が見えるよ! あれが噴水広場だよね?」
指差す先には噴水がありその円状には多くの人や店が見える。
特別なイベントなどがなくても活気溢れると聞いていたがその通りのようだ。
近づくにつれ賑わいの声が大きくなる。
噴水広場は四つの道から来ることができる、俺達が最初に入ってきた東門から続く道、王城へと繋がる道、西門から続く道、そして教会へと続く道の十字路のようになっている。荷馬車などはこの道を通って広場に荷を運んだり、ここを通過点として門から門へと過ぎて行ったりするようだ。通行料は特にないらしい、なんとも寛容な町だ。ちなみに宿屋は西門の方の道沿いにある。
「うわーすっごいや村のお祭りみたいに人がたくさんいるよ。くんくん、美味しそうな匂いもするね!」
「ほー市場みたいな感じなのか。野菜や肉に、服まで売られてるな」
「ね! ね! ぐるっと全部見ていこうよ!」
「あぁそうだな」
シャルルは見るものが新鮮なのか一々可愛らしい反応をして笑ったり驚いたりしている。
俺はというと。
「ちょっとそこのおにーさん、幸運のネックレスあるよ」
「いらん」
「ねぇねぇ幸薄そうなそこの人! 開運のツボが今ならお得だよ!」
「いらん」
「そこの旅人よ……お主に不吉なモノが見える……お祓いを格安でして」
「いらん」
この有様だ、なんだ俺がそんなに不幸そうに見えるかコノヤロウ。
「ちょっとアンタ、なにか困ったことがあるんじゃない。例えば宿屋の前の地面が凹んでいて困っているとか」
ひぃ!! 的確に当ててきた怖い!!
「当たりのようだね……。いいものがあるよ。この土魔法を含んだスプレーを地面に吹きかけてみな。たちまち元に戻るよ……。お代はリハート銀貨一枚でいいよ」
「胡散臭いしタイミングが良すぎて怪しいけど買います」
迷うことなく払った。
お金を受け取った商人らしき人はそのまま教会の方の道へ去っていった……。
世の中どこで見られているか分からないんだな……。
「あー! トージ自分だけ買い物してずるい、ボクにもなんか買ってよ!」
「ごめんごめん必要なものだったんだ。じゃあなんか買うか?」
「えっとね、あっちのお店にシェープの腸詰めってのが売ってたんだ、ボクそれ食べたい!」
シェープ? 腸詰めって事はソーセージか?
シャルルが俺の手を引っ張りそのお店まで引っ張った。
ジューという音とたまにパチパチっと弾けるそれはまさにソーセージだった。
「ほーこれってソーセージか」
「おっ? お兄さんソーセージを知ってるのかい?」
「知ってるも何もこれの事ですよね?」
「そうさ、シェープの腸詰めことソーセージは昔異世界から来た勇者様が伝えてくださった料理のひとつなんだよ」
ああ、そういえば勇者がいるって言っていたな神様が。
もしや昨日の夕食のコロッケやポトフとかも昔の勇者とやらが広めたのかもしれない、ありがたいことだ。
「勇者様は本当に色々なモノを広めてくださったし今回の勇者様にも商人達とかは期待を」
「ねぇその話長くなる? ボク待ちきれないよぉ」
「おっ! こりゃごめんな坊や、すぐ用意すっから待っててくれ! 二人分でいいんだろ?」
「いやまだまだ他のお店で食べるので一人分で大丈夫です」
「はっはそーかいそーかい! じゃあお代は銅貨で、リハート、プルは一枚だよ」
「じゃあリハートで」
「はい毎度。それじゃあ坊や美味そうに食ってうちの店を宣伝してきてくれよ!」
「はーいオジサンありがとう!」
おじさんは親切に一人分を半分にして渡してくれた。
ソーセージを食べるとパリッという小気味よい音が鳴って肉汁が口の中に流れる。
肉の旨みが詰め込まれているかのような錯覚を受けて二口、三口と口が動きソーセージをペロッと平らげた。シャルルも同様にご満悦の笑顔を浮かべている。それを見ていた周りの人がお店に向かっていくのが見えたので、おじさんの戦略は見事にいったようだ。
「今度は何食べようかなー」
「なぁシャルル今度は服屋を見てみたいんだけどいいか?」
「え、うんいいよ!」
神様に服の汚れを取ってもらったけれどさすがにこれ一着で生きていくのは厳しい。
あと周りの人と見比べると若干浮いている気がしなくもないのでこの世界に馴染んだ服装にしたい。
「うーん、とはいってもどれを選ぶべきか……」
「ボクこれとこれと、これ!」
シャルルが選んだ三つ、まず長袖の白シャツと緑と白のチェック柄の上着そして半ズボン上下で銅貨六枚。お次はセーラー服か。上下黒色で襟は白色に水色のラインが入っている、これは銅貨五枚だ。最後は長袖のシャツに黒のベスト黒のズボン、バーテンダーとかが着ていそうな感じのやつだ、これはお高め銀貨一枚。
脳内でシャルルが着ているイメージを鮮明に作り出す。
「店員さん今言った三つ買います。」
「わーいありがとートージ!」
即決である。
あっ俺のはなんか適当に黒、白、水色の服買った。以上。全部で銅貨五枚。
購入した服を受け取り次はどこに行くか聞いてみる。
「そろそろお昼だろうし美味しいものを食べたいね!」
「あららもうお昼なのか、じゃあどこかお店探してみるか」
「イギなーし」
午後は何を見て回るか考えながらお昼を求めて広場を歩き出した。




