ジンの魔法・2
マウントグリフォンの首が千切れたところを夢の中で再生されてしまい激しくうなされる。
「おぉう首が、首……な、な、何事ぉ!?」
そんな恐ろしい夢を見ていたら突然の爆音と衝撃で飛び起きた。
周りを見ると抉れた地面と微かに焦げ臭い匂いを放っている場所がある。
「あっあの起こしちゃってごめんねトージ、ほんとはちょっとビリビリー! ってしたかっただけでジン様の力ってどんな感じなんだろうってだからその」
「シャルル、シャルル落ち着いて。とりあえず怪我はしてないか?」
「う、うん大丈夫。その、ごめん……」
「いやいや怒ってないしシャルルに何もないならいいんだよ。それで、魔法使ってたのか?」
飛び起きて心臓バクバクしていたけど、慌てるシャルルがちょっと可愛くて落ち着けた。
どうやら神様から貰った力を試していて加減を間違えてしまったらしいのだ。
元の世界で魔法なんてものはフィクションのモノだと思っていたけど、この世界では普通にあるんだよな。
俺はちょっと興味が湧いてシャルルに聞いてみた。
「そうだよ。ジン様の加護の、風の魔法と雲の魔法と雷の魔法を試してたんだ。風は使ってたから分かるんだけど、雲と雷は初めてだからちょっとイメージに失敗しちゃって……」
たしかジンの魔法は神様曰く、天候を操る魔法が近いって言ってたっけ。
風しか使ったことないから他のを試したら、あの抉れた地面になったと。
加護の力って凄いんだな。
「風の魔法はマウントグリフォンに使っていたけどあれよりも強くなってたのか?」
「うん! あの時の魔法はボクの全力だったんだけど、今は1番初級の魔法であれ以上の威力があるよ!」
「えっ……」
凄いどころか恐ろしい程だ、加護とやらは。
「でもでも大丈夫だよ? ちゃんと練習して使いこなせるようにするから! だってトージを守るのはボクだからね! 神様にも頼まれたし!」
嬉しい頼もしすぎるよシャルル、涙出そう。
ふむ、天候を操れるって割と汎用性高いしジンの加護ってとても便利なのではないだろうか。
「なぁなぁシャルル、あの雲って操れるか?」
「え? うんそれくらいなら楽勝だよー」
「じゃああの雲を動かして俺たちのところに日陰を作ってみてくれないか?」
シャルルは少し雲を見つめ集中すると、雲が他とは違う動きをして太陽を隠してくれた。
「えへへー。凄いでしょ?」
「あぁ、可愛い……いや違う凄いぞ」
シャルルが一々可愛いのでつい本音がポロリと出てしまうがそうではなくて、俺たちの場所にぽかりと陽の当たらぬ場所が出来ている。
少し強い陽の光が遮られて寝起きの俺には優しい。
暑い日とかにも使えそうだなコレ。
俺が感心していると、ぐーという音が隣から聴こえてきた。
「あーお腹空いてきちゃった……トージが中々起きないから朝ゴハンまだ食べられなかったしなー」
「ごめんごめん、魔法はとりあえず置いといて朝ゴハン食べるか!」
「うん!」
「ところで朝ゴハンって用意してあるのか?」
「ふっふっふ、村から出る前に食べ物をはいしゃくしておいたからね。それでボクが作っておいたよ」
「おお、流石シャルルさま」
「うむうむ、楽にせいトージよ」
そう言ってシャルルは俺の目の前に木の器を差し出した。
料理は黒い色をしている
鼻に焦げた匂いが漂う。
うーん、まだあの雷が落ちた場所から臭っているのかなぁ。
「なぁ、シャルル。作る時、味見したか?」
「え? してないけど大丈夫だよきっと美味しいよ」
自動治癒が発動した。




