表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

『どうやら私は敬語しか許されない世界に来てしまった模様』外伝。

 

 2108年。

 私“葉原はばら 唯白ゆしろ”は、朝になったら登校して、学校が終わったら帰宅して家事、そして疲れて寝る。そんな一般的な感じで過ごしている女子高生。

 私は、隣に住んでる先輩と一緒によく登校する。それはそれはとてもハンサムでカッコイい先輩!

 高校に入ってから知り合ったから、まだ日は浅いけど…とても仲良くなって、今度ちゃんと告白したいと思ってる。


 幸せな日々を過ごしていたんだけど、その反面、それ以外の風景は、いつも通りに流れる退屈な日々。

 授業して、昼を食べて、放課後は部活動をして…。まるで決まった事しかしない『家畜』のような日々。


 私は、ふと思った。


(…そういえば、どうして年上の人には敬語を使わないといけないんだろう? なんていうのかなぁ? 年齢による差別とか無くなれば、みんなフレンドリーで楽しそうなのにな…)


 普段、私は部活で、仲の良い後輩には、

「そろそろ敬語は外して、フレンドリーにしようよ♪」

と催促して、敬語を外させる事が多い。

 それでも、何人かは、

「やっぱり先輩なので、敬語は外せませんね…」

と、タメ口になれない子もいたっけ。


(敬語、無くなればいいのにな…)

そう思い描きながら、自宅にてベッドに横たわり、就寝した。



………翌朝。

「んっ…! 朝だぁー!」

伸びをし、日光を見上げ、自分の部屋からリビングへ。

 そこには、両親と妹がいた。いつもの光景。


父「おはよう」

母「おっはよ~♪ 朝飯を作っておいたわ♪」

妹「おは! …なんだか眠そうだけど大丈夫ぅ?」


何ら変わらない日々が、また始まった。そう思っていた。




………変わったのは、ここからだ。


 登校する時、いつも待ち合わせ場所にしている公園。そこで先輩を待っていると、いつもの決まった時間に来る。

 その先輩の名前は“谷々たにや 恵司けいじ”。

「おはよ! 今日も唯白が先だったかー!」

起床の早さで負けたことを悔しがる先輩。


 そんな先輩に、私は、いつも通りに言い返そうとした。

すると………


「ふふ、いつも恵司が遅いだけよ?」

『いつも先輩が遅いだけですよ?』って言おうとしたら、タメ口で話してしまった・・・・・・・


(あれっ!? な、なんでタメ口きいてんだろ…?)

心の中で疑念が生まれ、そして、

(これ、『何いきなり馴れ馴れしくなってんの?』とか聞かれちゃうパターンだよね!? 先輩そういうの厳しい人だしなぁ…)

と、言われる事を予測した。


しかし、その予測は裏切られ、

「そっか~…やっぱ俺が遅いんか。なら、明日は負けないぞ!? 唯白より早く起きてやる!」

と、何事も無かったように話し込んだ。


(あ、あれ!? こういうの気にしない人なのかな?)

この時は、恵司が気にしてないだけかと思っていた。



………しかし、それは校内でも起きていた。


 水泳部。私も部員なので、朝練に参加。


 ある1年生が、部長に質問をする場面。

旭希あさき! この後の練習メニューは?」

あろうことか、1年生なのに、3年生の部長にタメ口で質問したんだ!

 すかさず私は、

「ちょっと、なんで部長にタメ口きいてんの!?」

と注意を促す。が、しかし、


「…はぁ? 部長に対しては話し方を変えろってこと? いつの時代の人間だよ!」

と私をあざ笑い、軽く流し、部長と少し話し込む。


(…幼なじみ? いや、そうじゃないハズなんだけどな…)

疑問に思った私は、2年生の先輩が近くに居たので、質問する。


…そうして質問しようとした時だった。

『部長とあの子は幼なじみか何かですか?』と聞こうとしたら、



「部長とあの子は幼なじみなの?」


と、私までタメ口を使ってしまっていた!


(あれ!? 待って、先輩だよ!? タメ口なんか使ったら…)

そう思った矢先、朝と同じ風景を目の当たりにした。



「幼なじみなんかじゃないよ? 普通に部長と部員、それだけだけど?」

なんと、何もなかったように普通に返事した。


(…えっ!? ちょっと!?)

タメ口に何も反論が無い周囲の人々に、私は驚きを隠せなかった。そして、なぜ無意識に・・・・タメ口になってしまったのか分からないまま、気付けば、どの先輩にもタメ口しか使えなくなってしまっていた。


(け、敬語が…使えない……!!?)




………どうやら私たち…いや、人類は、敬語を失ってしまったみたいだ………。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ