不器用な黄昏
むねをばきばきとひらけ
しんぞうをむきだしにせよ
雨の切れ間の真空
吸い出されていくこの感覚
先鋭的魂の突端を
鉛色の雲の上にある
輝きしか知らぬ光輪に結び付けよ
透明であろうとする混濁
簡明であろうとする屈託
暴力的な
美の波動に貫かれ
背骨甘く痺れる
目を閉じて
白蓮の面影を追う
雨ざらしの石像は
沈黙の年月を経て
戻れない昨日を語る
束の間
見え隠れ
見え隠れする
世界の裏側
ドライジンの甘さ
抜けていくリキュール
ウヰスキーに含まれる真実
乗り手のない気球の
風のままに彷徨う
輝かしい晴れた空に
鮮やかな色どりのまま
見下ろせば
遥かなる緑の野
岩肌赤く
大河のきらきらと銀
やがて
海原へ出て
連なる光の鱗の波
ざあざあ
恐ろしいほどの海
やがて
星が降る
黎明遠く
静まり返る時
ぽつんと
佇む灯
真っ暗な砂浜で
不器用に明日を待つ
帰れない今日の黄昏
詩情とは満ちているもの。
詩とは広がりの世界と繋がる言葉。