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例の焦りを感じた日から一週間、僕自身倉橋さんが気になっていた。
幸いクラスが一緒だから何度か話しかけようとしてみたけれどなかなか勇気が出ずにいた。
一年の時から一緒につるんでて、倉橋さんとも割と仲のいい豊崎 達也にも相談相手になってもらっているわけだが、なかなか話せない。
その事を今日は喫茶店で七海と話していた。
「まあ、まだ一週間だからさ、紗奈ちゃんの友達に話聞いてるけどこっちも難しいよ」
七海も別働隊として動いてくれていたみたいだ。
「どんな話するの?」
「んとね、紗奈ちゃんって好きな人いるのかなーとかー、祐也に振られたあとどーだったのかなーとか」
どきりっ
「すごい突っ込んだとこまで聞いたんだね」
ちょっと驚きすぎて声が震えてしまう。
「うん、そのせいでちょっと怒られちゃったよ。感じ悪いってさ」
「あ、なんか、ごめんなさい」
「ほんとだよ」
さっきから七海の声色は全然変わらない。辛いはずなのに、まるで気にさせないようにしてるみたいにさらさらと会話を進めていく。おかげで話をぶり返すこともできない。
「でもなー」
「どうしたの?」
「僕はどうして今頃倉橋さんと仲直りしようとしてるんだっけ、と思ってさ」
「そーゆーのはいいの!お前は紗奈ちゃんと仲直りするの!」
「わかったわかった」
どうどうというふうに両手のひらを前に七海を制する。
七海はいつも僕を引っ張ってくれる。そして僕はこういう七海にこそ惹かれたんだな、と度々思うのだ。
それから四十分くらい話してから七海が塾だというので喫茶店を出てそのまま別れた。
そしてそのまた一週間後、僕は再び倉橋さんと話しをすることになる。




