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だめだ。
だめだだめだ。
どう考えても一人によってしまう。けど、理由がない。決定的なものが何か欲しい。
今目の前で倉橋さんが喋ってる。けどやっぱり、全然頭に入ってこない。なにか言わなきゃいけないのはわかる。わかるけど、どうすればいいんだ。
さっきから僕は倉橋さんの前で、倉橋さんと話をしながら、頭ではまったく別のことしか考えていない。
最低だ。
「でさ、どう思う?」
「え!?あ、えーと、うん。いいと思うよ」
「ん?」
「え?何?」
冷や汗だらだら。悪さをした子供みたいな気分だ。
「話聞いてたの?」
すみません!全然聞いてませんでした!
「う、うんまあ、半分くらいはね。」
なんで嘘ついちゃったかなー。
馬鹿!アホ!と、自分を激しく罵る。
「ふーん、まあいいや。教室戻ろ、チャイムなるし」
「ああ、そうだね」
危なかった。このまま続けられていたら本当に。
『ってわけでさ、チャイムに救われたよ』
『ふーん、何考えてたの?』
『いや、まあいろいろ』
昼間にあった話をいる。今日の結構大きな事件だ。七海にも聞かせたいと思った。
まあ、何を考えてたかは言える筈がないんだけど。
『まさか!』
え、なんだ!
僕は一瞬ドキリとする。七海が感を働かせたのかと。
七海の感はかなり鋭いから困りものだ。
けどその後は全く違うことだった。
『沙奈ちゃんの前で沙奈ちゃんをオカズにした時のこと思い出してたの!?』
『違うわ!』
驚いた。なんで七海はオカズにしたこと知ってんだよ。
『んー?じゃあなんだろ、うちのことでも考えてた?』
『なんでだよ』
さらっと当ててきた。
『あ、ご飯呼ばれた』
七海はそう言ってログアウトした。
七海。倉橋さん。七海。倉橋さん。
もう自分の中で答えは出ている。けど、ギリギリまで抗いたい気持ちがあって、結局まだ答えは出していない。
七海がご飯から帰って来て
『久々に電話しない?』
と送ってきた。
『いいよ』
送り返すとすぐにかかってきた。
なんだなんだ!今日はやけに早いな。と思いながら急いでイヤホンを刺して電話に出る。
「もしもし?」
聞いてみると
「もしもし」
と言ってきた。ちゃんと聞こえてるようだ。
「今日はやけに早いね、いつも日にち変わってからなのに」
「だね、まだ十時だよ。早すぎ」
と言って笑っている。
「どうかしたの?」
「いや、んー。まあどうかしたわけじゃないんだけど」
「ん?」
なぜだかやけに喋りにくそうだ。
けど、今日は機嫌がいい。多分何かいいことでもあったんだろうな。
「あのさ…」
「なに?」
「うちら、別れよっか」




