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なんでだろう。
今日もまた、倉橋さんと会話した。
昨日も、一昨日も。
でもここ数日全然面白くない。
七海と話しててもそうだ。いや、僕達にはまだ溝があるし、今はこんなものか。
けど、倉橋さんとは違う。溝がどうとかいうほどの関係じゃない。
じゃあ何が行けないんだろう。
なんで、こんなにおもしろくないんだろう。
「それでさー…」
僕の前で倉橋さんは笑っていた。
なんでだっけ?
おぼえてない。そもそもあんまり聞き取れていなかった。聞き取る気持ちもなかった。
なんで僕は、今こんなにもつまらなさをかんじてるんだろう。
倉橋さんと話してて、相槌はうつし、愛想笑いもする。でも、相槌や愛想笑いしかできない。
それ以上のことをする気持ちが全く起こらないんだ。
「うーん、なんだよその相談。お前最近ほんと贅沢だよな」
「贅沢じゃないよ、こうして疲れてんだし」
「いや、そんなことで悩んでる時点でお前は贅沢なんだよ」
グウの音もでない。
「それはさ、倉橋さん、お前が逃げたい時そこにいたから。だから楽しく感じられなんじゃねーの?」
「逃げたいなんて…」
「思ってたんだよ。きっと」
「…」
「自分で意識できなくても、深層心理ではそう思ってた。だから倉橋さんを愛しく思えた。違うか?」
「……わからない」
「だろーな。そんなん自分でわかってないんだから他の奴がわかるわけねー」
え?じゃあ今の質問なんだったの?
全く意味がわからず、驚いてつい豊崎に振り向く。
そこにはいつもの爽やかな笑顔ではなく、慈愛に満ちた笑顔の豊崎がいた。
「なんでって顔したな」
それも一瞬のことだった。
もう豊崎の顔はいたずらしたあとのようになっている。こいつにはこっちの方がよく似合う。
そして続ける。
「もちろんそれが全てってわけじゃない。パターンの一つだとおもっておけ。ついでに言うと、たとえこのパターンだったとしても、お前が倉橋さんを好きじゃないってことにはならないから安心しろ」
「わかった。もっと良く考えてみるよ。そんで、どういう結果になっても豊崎には報告する」
今悩んでるのは僕が二人の間で揺れてしまっているからだ。だから、僕は二人のうちのどちらかを選ばなければいけない。
「おう、まってるぜ」
その後は、なんか適当な話をして休み時間を終えた。
そして、その後は一人で考えてた。その中で、自分の考えに期限を設けることにした。いつまでもだらだら考えててもしょうがない。そう思ったんだ。
それに、もう一つ決めた。
選んだ結果七海になっても倉橋さんになっても、もう片方とは卒業するまで話をしない。




