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「うわっきたなっ!そんなん擦り付けんなよ!」
「うちだってこんなんずっと手についてんの嫌だもん!」
そう言って僕の彼女の狭山 七海は僕の逃げ場をなくすようにじわじわと擦り寄ってくる。
今日はたまたまうちに両親がいないから、七海を呼んで二人でお菓子を食べながらゲームをして遊んでいた。そしたら僕が操作をミスして、キャラに妙ちきりんな死なせ方をしてしまったのを見て、七海はコーラを吹き出したわけだ。ぎりぎり七海がてでおさえたから被害は少なかったけど、おかげでこいつの手がびちびちになってしまって今に至る。
「そんなん吹いたお前が悪いだろ!」
「いや、あんたの操作が下手すぎるのが悪い」
「んなことあるか!とにかくこの畳の線からこっちに来るな」
しっしっとやって七海から距離を取る。
「それで逃げたつもりかー!」
そうさけんで飛びついてきた七海から逃げられず 、結局僕の服はコーラまみれにされてしまう。そして、拭き終えて満足した七海は、またコントローラーを握って次の大戦で使うキャラを選び始めた。
そんな感じで二人、ポテチを摘みコーラを飲んで、何度も何度もゲームをしていると
「ねえ、祐也ってさ…」
と、七海が話しかけきた。
「ん?どうした?」
「結局あのあと、紗奈ちゃんとどうなの?」
「どうって…」
「仲直り…できた?」
去年の夏、僕と七海は付き合い始めた。そして、それを聞いた倉橋 紗奈は僕のことを好きだったらしく、一年の頃から仲良くしていた僕達は何となくお互い気まずくなり、いつの間にかずっと話していない。そのことを七海はずっと気にしていて、度々聞いてくることがあった。
「まだ、なんて言って話したらいいかわからないんだ」
「そっか」
そこでいつも会話が途切れる。お決まりの流れだ。
しかし、今日はちがった。
七海が「もうあと一年もないよ」と言ったのだ。
たったそれだけだけど、それだけに奇妙な焦りを感じずにはいられないでいた。




