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第一章「入学」 第十七話「時代劇ならヤバかった! 黒幕達のネタバレオンパレード!!」

 ○SIDE:BLUE


 ●平成二十一年四月六日(月曜)午前三時二五分――【松戸家・地下研究室】


「そーそー。たしかにゲンちゃんってば、最初は適当なチンピラを薬物で洗脳するなり借金で身動き取れなくして従わせるとかして、皐月に殺人童貞捨てさせる予定じゃったんよね☆」

「…………マヂ?」

「マヂマヂ。ぶっちゃけゲンちゃんのお仕事って友達補正無しで見るとブラック企業より黒い感じじゃからね。それぐらいやらせるじゃろーよ?」

「それぐらいって……ボクのお祖父さんって『ちょっと変わった高校のかなり変わった理事長さん』ってだけじゃなかったの!? それじゃあまるで頭にヤのつく業界の……う、うちの父さんはヤ○○の娘さんに手を出す豪の者だったんだよッ!」

「まあ、少々偏見入ってるかもしれんが昭和の不動産&建設業なんてまんまヤクザじゃったからのー。でもゲンちゃんは田舎での土地転がしに限界感じて、株に手を出して、性奴隷……訂正、春サンたちのお祖母さんの『叩かれたら盛り上がる同類の匂いがわかる!』とかいう変態チックな能力を活用してみごとに大儲け。さらにそれを元手に多角経営に乗り出して真っ当なカタギさんになったんじゃよん。現在はお金使って怖い人雇ったり、調査されたらヤバイモノを少々取り扱ってるだけじゃから、ヤ○○扱いはやめてあげるのじゃよー☆」

「怖い人雇って、ヤバイ物取り扱ってる時点でダメだと思うんだよ……あと性奴隷って何?」

「あー、春サンたちのお祖母さんはもともと借金のかたに身売りされた娘っ子でな。曾祖父さんにあたる人が『息子の玩具』用に購入してウンタラカンタラで、ゲンさんにNTR属性皆無だった結果、奴隷、従者、愛人を経て、最終的にデキ婚でお嫁さんになったという……」

「…………あー、出逢いは人それぞれだよねー。特に男女の関係なんて、始まりが最悪でもその後の展開でいくらでも挽回可能だよねー。終わり良ければ全て良いんだよねー……」

「そうそう。その通りじゃ。そもそも世の中、綺麗事だけで回せるワケないんじゃよ。理想を叶えるためには財力・権力・暴力のどれかが絶対必要じゃしね☆」

「……おぉう」


 言いたいことは解るが認めたくない真実を言ってくれる……。

 確かに資本主義な世の中で望みを叶えたいならお金は大事。金は力。力こそパワーだよね。

 あと、権力あれば人が使える。人は財産……昔の人は言いました、「人は城、人は石垣、人は――(以下略)――」って。つまり権力/人脈こそ至高の宝。ここまではボクも納得。

 ……でも暴力はどうなんだろ? この日本という国で暴力を当たり前のように使ったら、すぐに警察のお縄になっちゃう。国を敵に回したら理想から遠のかないかな?


「特に『星の獣』なんていう話の通じない敵と戦わなきゃいけないワシ等としては暴力こそが最重要なんじゃよね。哀しいことじゃけど」

「……そもそも、その『星の獣』ってなんなの?」


 ボクの当然の疑問に返ってきたのは――本日最大の驚愕/呆れ顔でした。何故に?


「……ゲンさんはそんなコトも教えておらんのじゃね。ああ見えて孫には激甘……いや、見たまんまじゃろか? ククク……」


 突如雰囲気一変――それまでのふざけた様子が消え、悲しむような、慈しむような空気を醸し出す科学さん/溜息一つ/仕切り直し――黙ってキーボードをカタカタ/自称前世映像が映っていた画面が切り替わり、この街――赤月市の地図が映される/かなり詳細な地図……なのだが、道路ではない『黄金色の道』や、観光名所などに不自然な『黄金の穴』がある謎地図。


「これはこの街の地図なんじゃけど……この黄金で描かれているのは普通の道路や建物じゃなくて、この街にある『龍脈』や『龍穴』。俗にいうパワースポットやレイラインなんじゃよ」

「ああ! そうだよ。この『滝』、前にテレビに出てたやつだよ!」

「龍脈はこの星の生命の力――魔法の源『エーテル』を龍穴へ運ぶ道。そして龍穴に一定量以上溜まったエーテルは意思ある存在へと受肉へんしつするのじゃ。その付近に存在する生命体の意志に汚染されて、じゃけどね」

「魔法の源って……」


 ……まあ、魔法少女が居るんだから、魔法もある。魔法があるなら、仕組みがある。それがどんなに荒唐無稽だとしても、他に判断材料がない以上、そのまま受け入れておこう。今は!


「つまり、ここ最近の不景気やら不穏な世界情勢で……みんなが『もうこんな世の中嫌ッ!』とか『全部ぶっ壊れちまえ!』とか『ヒャッハー、汚物は(以下略)!』とか思った結果生まれちゃった破壊衝動の化身バケモノ。それこそが『星の獣』だったんじゃよッ!」

「ナンダッテー!?」 


 つまり、画面の向こう側でサッちゃんを襲っているバケモノは――


「――あ、ちなみにアレは本物の『星の獣』じゃなくて、ワシが作った劣化品デッドコピー! そう。星の獣の誕生は自然の摂理。止められない、止まらない。ならば、龍穴に十分な魔力が溜まる前に帝王切開しちゃえばいいじゃない☆ というアイデアを実現した、ワシ等の戦いを根本から変える驚異の発明――その名も『人造魔獣六六六トリプルシックス』じゃ!」

「……あー、つまり、自然任せに『星の獣』が産まれると滅茶苦茶強くて厄介だから、エーテルっていうのが溜まる前に小出しにするって感じの発明?」

「さすが春サン! 一を聞いて十を知る男の娘は伊達じゃないのじゃ!!」


 どっかのおバカと似たような事言う科学さん。もしかしなくても、あのおバカも関係者なんだねー。ヤレヤレ………………って、これは不味いかもだよ!


「いやー。しっかし、そんな思慮深い春サンが、気絶したラブコメマスターと実の姉をリヤカーに乗せて連れてきた時は驚いたのじゃよ。しかもワシに『姉さんとサッちゃんをくっつけるために協力して欲しい』とか……一瞬何を言われているか解らなくて、自分の頭がいよいよお花畑に旅立ったのかと絶望しそうになったのじゃ☆」

「あー、そこはホントにゴメンナサイ。でも、最初は厳冬さんに頼んだんだけど、そしたら斎藤のオジサンに回されて、斎藤のオジサンからウチのお父さんに回されて、そこから岐阜に居るサッちゃんのお父さんに回されて……で、最終的に科学さんを頼るように言われたんだよ」

「最後!? ワシ、たらい回しの最後ッ!?」


 ちなみにおバカの身柄は斎藤のオジサンを呼んで回収してもらいました。邪魔だったので。

 でもその結果、アイツは現在、家/サッちゃん達の近くにいる……なんという不安要素。こんな状況になるってわかってたら、スマキにでもして確保しとくべきだったよ。

 そもそもボクの当初の計画案は『サッちゃんと姉さんを人気のない場所に閉じ込めて、ちょっと吊り橋効果出るような状況にしたい』ってものだった。そこに科学さんのアレンジが入ったら『二人を人気のない山中に捨てて、バケモノの群れに襲われせる』なんてエキセントリックなものになっていた…………命の危機が問題なんじゃない。そこはむしろ種族保存的な本能刺激してくれるだろうから望むところ! 姉さんの心配? 茜ちゃんに調教されたサッちゃんは自分のことより女の子の安全を優先するし、女の子を守ろうとするサッちゃんは正直理不尽なぐらいに強いから問題ない。問題はよりにもよって『斎藤家の裏山』なんて致命的な場所で計画実行してくれてるトコ。昼間にあんなバカやったあのおバカが、このシチュエーションで再度横槍入れないなんて楽観できるはずがない。むしろこの場所設定にはアイツの介入を望む作為を感じる。で、場所を含む演出は全部この本名がマッドサイエンティストな――


「――ところで、科学さんとボクって今日が初対面のハズなのに、なんでそんなに馴れ馴れしいの? お祖父さんの友達だからって、軽すぎじゃないかな? ちょっとキモいかも……」

「いやいや! そっちこそ、なんで初対面の相手にそんな遠慮のない態度で接することができるのじゃよ!? 老人にはもっと優しくしてプリーズ!」


 うーん……何故かと問われると困る。

 でも、敢えて言うならこの御老人は嘘臭い/胡散臭い――おバカな言動もわざとって気がする。信用出来ない。だから厳しくあたってしまうのだろう。なんとなくおバカに似てるから親しみを感じているなんて事実はない。たぶん、無い。と思う……たぶん……。



「――と、ここらで主なネタバレは終わったかのう?」

「悪事のネタバレは時代劇的な負けフラグだよね?」

「御代官様と越後屋が『お主も悪よのう』してるトコに正義のヒーロー登場なアレじゃね。むしろ望むところじゃ! この時代はヒーローを求めておるのじゃ!! さあ、ワシ等が望むヒーローの誕生を祈って、改めてイッツ・ショータイムじゃよん☆」


 机の上に乗ってどこぞのアイドル/もしくは美少女戦士風の決めポーズを取る御老人。

 ――あー。やっぱこの人を頼ったのは間違いだったかもしれないんだよ。

 上手いこと主導権を奪って、ボクがこの手でボクの望む未来へ導く事も考えておこう。


「……ボク達の望むヒーロー、ね」


 その時は、とりあえずサッちゃんをドン底まで追い込んでみようかな?

 ドン底まで追い込めば、後は這い上がるだけ――あの姉さんを落としたいなら背水の陣/守るものを捨てるトコから始めてもらおう。具体的には『ちゃんと妹離れしてもらわなきゃ女の子と付き合うどころじゃない』って思うんだよね。普通に考えて。

 と、自分でもちょっとアレな感じのする妄想をしながら画面を視てみれば――


 無数の空飛ぶ竜の群れに、真っ直ぐ立つ背中が映る。

 その背中に姉さんと、巫女服着たおバカを庇うように立つサッちゃんの姿が映っている。

 圧倒的な戦力差に怯むこと無く立てる――どこか壊れていること間違い無しな精神/ハッキリ言って異常――でも、女の子を守ってバケモノに立ち向かう姿には憧れる。ボクが女の子だったら惚れているだろう。ボクが女の子だったら!

 ――……うん。ぶっちゃけ、ちょっとやり過ぎ? っていうかどうしてこうなったんだよ!?

 ほんのチョット現実逃避/直視できずに目を逸らすと、画面の片隅に例のステータス表示。


『――姓名:不知火皐月 性別:男 年齢:十五歳 生年月日:平成五年五月五日

 キャラクター属性:エロゲ主人公 サブ属性:巫女の契約者

 ●精神強度:五三〇〇〇〇(+二一二〇〇〇〇) ●肉体強度:二三〇(+九二〇)

 アビリティ:【妹キラー・SSS】/【器用貧乏・A】)/【マジカルち○ぽ・?】/【女難・S】/【妖精眼・F】/【主人公補正・A】/☆new!【感覚共有・S】契約者・斎藤縁と肉体への刺激、痛みや快感を共有。双方向。死も共有/☆new!【精神接続・S】契約者・斎藤縁と情報処理能力を共有。双方向=念話可能。

 医療用ナノマシン付属アビリティ:【再生・S】/【雷神具・A】/☆new!【影繰り・S】視点を体外に設定し肉体を操る。視点は任意、もしくは自動で変更可能』


 ……なんか昼間には無かったサブ属性と、新しいアビリティが追加されてるんだよ!

 見ただけでおバカとなんかあったと推測できちゃうのが何個も、何個も……またしても、あのおバカがなんかやっちゃったのか。まったくヤレヤレだよ……。

 ……まあ、いいや。とりあえず、後は野となれ山となれの精神で見届けよー☆

 うーむ。やはり仕上げが甘い気がする。けど後が溜まってきたので投稿。

 裏でネタバレ、表は必死に対処中です。でも裏は裏で切実だったりしたり、しなかったり……。

 ちなみに次から二〇話まで皐月のターンです。

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