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帰還、そして…


更新が遅くなりました事、お詫び致します。


また、此れからは1〜2日に一回のペースで更新致しますのでよろしくお願い致します。m(_ _)m

僕こと上杉景勝は武田との同盟を成功させて越後に帰還した。


越後に帰った僕を待っていたのは休息では無く、戦仕度であった。


もう一度言おう、僕は今戦仕度をしている。


理由は、帰還して同盟成功の報せを伝えると謙信が「ならば、直ぐに喜平次に兵3千を直属として預ける故、武田が戦に何時でも加勢出来るように兵を鍛えよ。」と、有難く無い言葉を頂いた。しかも、謙信は「この同盟は表向きは結んで無い事になる非公式の同盟になるので、大っぴらに武田を援助する訳にはゆかぬ。よって、援軍の将は喜平次一人とする。しかし、一人だけではやって行けない事もあろう。なので、補佐に弥太郎を付ける。しっかり励め。」と、追い打ちを掛けられてしまった…


ああ…長篠の戦いまでまだ後4ヶ月あるけど、不安になって来た…確かに小島貞興と言う歴戦の侍大将が補佐をしてくれるのは有難いが…武田の強兵達が無惨に打ち負けた織田の鉄砲隊に勝てんのかな…


えーい!ウジウジ悩んでも仕方が無い!とにかくやったるぜ!





僕直属の3000の兵を鍛える為に、気合を入れ直して闘志を滾らせて練兵場に向かった。






今日から私は不識庵謙信様の養子である喜平次景勝と言う人のもとで侍大将をする事になった。


喜平次殿か…評定の場で幾度か見た事があるが、とても威厳溢れる姿であった。不識庵様も喜平次殿の事を、「寡黙だが、黙っているだけで他を威圧し、人を従わせる素質がある。喜平次こそ上杉の全てを任せる才を有しておる。」と激賞しておられた。


つい先日も評定で、上杉は武田と同盟を組むべきだと言い、本当に武田の領国にただ一人で行ったのには驚いた。その上、同盟を成功されたと聞いた時は目から鱗が出る思いだったわ…


今日は、喜平次殿が初めて兵の指揮をすると言う事だが、まずはお手並み拝見と行かせて頂くか。




「弥太郎殿、私の補佐をして頂ける事、誠に感謝致します。」


礼儀作法もしっかりしておられるな、其れに初めての兵を指揮すると言うのに全く緊張感が見えぬが、これは大物なのか…其れとも唯の馬鹿か…どっちであろうか。


喜平次殿が兵達の正面に立ったが何をするつもりであろうか?演説か?確かに兵の鍛錬はまずは心を掴む事に始まるからな。


最近の奴は直ぐに『鍛錬始め!』といきなり訓練を始める常識がない奴が多い。嘆かわしい事だ、いきなり鍛錬と言っても何をすればいいのか兵達は分からんのだ!それを分からずにいきなり命令する奴の気が知れぬわ…




視線を戻すと、喜平次殿は、一分か二分の間、黙っていた。




始めの内は、兵達も集中しておらず、私語をしたり、騒いだりしている者がおったが、喜平次殿が黙ったままで目を閉じて居るのを見ると、何と、荒くれ者の集まりで上には中々従わない癖のある者達が全て静かになって喜平次殿を見つめ始めたわ!


これは驚いた、どうやって兵達を注目させるのかと思っていたが、まさか黙っているだけで兵達を黙らせるとは…


不識庵様の言われた事は本当かも知れないぞ…


さぁ、喜平次殿!次は何を見せてくださるのか?



やがて、喜平次殿は目を開けると、静かに兵達を見回した。ただ、見回しただけだ。しかし、私には分かるぞ、喜平次殿は見回す事で兵達の心を引き締めておるのだとな。


それ見ろ、荒くれ者が喜平次殿の眼光に当てられて完全に畏縮しておるわ。



「皆の者、私が上杉景勝である。」


短い言葉だ、しかし、この人には其れがとても似合っておる。


「近く、武田と同盟国として織田と戦う。」


ざわざわざわざわ……


今言ったのを聞いたか?、織田と戦うぅ!?、マジかよ?、織田って同盟結んでなかったか!?


「皆の者。」


喜平次殿が声を発すると、あれ程ざわめきあっていた兵達は皆、口を閉じて、話し声一つない静寂が降りた。


「その戦に我ら、上杉勢3000は従軍し、武田と共に闘う。」


「上杉の強兵達よ!戦果を上げろとは言わぬ、勝てとも言わぬ。唯、上杉の武威を天下に示せ!」


兵達は暫く沈黙していたが、やがてポツリポツリとだが、掛け声がで始めると他の兵達も其れに同調して、それは調和して、魂を震わせる雄叫びとなって練兵場に響き渡った。





………!!上杉喜平次景勝!このお人こそ私の武を捧げるに足る人だ!見事な兵の心を掴む、気質、その武威たるや、見事なり!



此れからは主君として、景勝様と呼ばせて貰いますぞ。








なんか、普通にやったるぞ!って兵に言っただけなのに兵がメチャクチャやる気出して雄叫び出してるんだけど!?



いゃあ!流石上杉は凄いなあ…兵まで強いんだもん…



まあ、この調子なら長篠も行けそうだな!



そうして、見事に小島貞興と3000の兵を掌握する事に成功した僕は4ヶ月間、兵と共に鍛錬をして、5月になり、夏が近づく季節の時、遂に長篠の地に向かった。








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