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壮絶 真田兄弟 そして…

更新かなり遅く成り、申し訳ございませんでした。


最初に一週間に一回の更新になりますと伝えましたが、その後急に忙しくなり更新が遅れました。


次は早く投稿したいと考えていますが、念のために、更新は基本は一週間ごとですが、忙しいときなどは一ヶ月に一回になるので宜しくお願いします。m(_ _)m

山県昌景討死ーーその知らせが戦場に伝わった時、武田軍は浮き足立ちかけた足並みを更に乱し、織田・徳川軍は喜びを顔に浮かべた。


勢い付いた徳川軍は柵からうち出てき、武田軍を押し返し始め、続く織田軍は今まで動かさなかった大軍を投入した。


武田は先程の爆音により戦意を無くし、追い打ちをかけるように織田の大軍が地響きを立てながら柵から出て来ると逃げ出す者が続出した。



最早武田軍は軍隊としての底を殆ど成して居なかった。


ある兵は逃げている時に後ろから頭を弓矢で貫かれた。ある者は田圃の泥の中に隠れている所を槍で突かれた。少しでも戦わんとした兵は織田軍の人海戦術により、たちまち囲まれ落命した。


戦場はまさに地獄とかしていた。



そんな中、未だに敵兵に囲まれながらも闘い続けてる者が居た。


真田信綱と真田昌輝である。



二人は先程の爆発で真田隊は多数が傷を負い壊滅し、自身も傷を負ったので助からぬと悟った。幸いにして末弟の昌幸は爆発の衝撃から信綱が身を挺して守ったので無傷だった。



ーー昌幸さえいれば真田は存続する。



その思いで昌幸を先に退却させた。断腸の思いだったーーしかし、真田が生き残るには此れしかない。頼むぞ、昌幸…



信綱はもう撤退したであろう弟の事を思い、刀を振るった。



既に二人の周囲には数多くの織田兵が折り重なるように倒れていた。信綱と昌輝、二人だけで数十人の織田兵を討ち取って居たのだ。


しかし、如何に敵兵を何十人と討ち取ろうとも、次々と湧き出てくる織田兵に徐々に身体に疲れがにじみ出て来ていた。


更に徐々にだが身体に負う傷も心なしか増えて来て体力をじわりじわりと奪ってくる。



ドシャアン!昌輝が力尽きたように倒れ、水が跳ねた。


「昌輝!?」


倒れた昌輝には背中に数本の矢が刺さっていた。


昌輝は背中に矢を受けたままここまで戦って来ていたのだ、驚嘆すべき精神力である。

だが、ついに限界が来て昌輝を死が包み込もうとしていた。


「昌輝!昌輝!しっかりしろ!」


「兄者…」


信綱の必死の呼びかけで微かだが、弱々しい返答が返って来た。


信綱は返答があった事に幾許か安心したが、まだ安心は出来ない状態だったので周りを警戒しながら声をかけた。


「昌輝、大丈夫か?」


向かってくる兵を切り倒しながら昌輝を背中に背負った。


「兄者…ここ迄で御座る。先に逝く愚弟を許してくだされ…」


「昌輝?」


信綱が振り向いたら昌輝は静かに目を閉じていた。其れを見て昌輝は死んだと悟った。


信綱自身も昌輝よりも遥かに多い刀傷を受けていたが、腹の底より湧き上がってくるものがあった。

怒りである。


我が大切な弟を殺した織田、徳川…貴様等は絶対に許さぬ。


怒りの雄叫びを上げて、敵兵を切り伏せた。忽ち積み上げられる屍の数に数で優っている筈の織田軍は大兵の利を活かせないで居た。


多数の織田兵の屍の上に立ち、尚も敵兵を切り続ける信綱、その姿は古の張翼徳が有様出あった。




やがて限界は訪れる



今また兵が一人打ちかかって来た。信綱はふらつきながらも此れを何とか切り伏せた。その時、ドシュン!「ぐっ!?」腹を見ると槍が数本突き出ていた。


二人の兵が背後から槍を突き出し、腹を貫いたのだ。


溢れ出る血により、意識が段々薄れて来た。


ー最早手も動かぬ…


此処で死ぬるか、其れも良きよ、冥土の土産に数人か道連れにしてやるわ。


首を取らんと近寄って来た数人の兵に突撃し、脇に抱えた。逃れようとジタバタもがいていたが意にも介さず一気に首を締めた。


ゴキ、と鈍い音が響き、もがいていた兵は動かなくなった。


満足感が湧き上がって来た。


戦には負け、今屍を晒さんとしているが、真田の武門の意地を示せた。勝頼様も今頃無事に退却されておるだろう、儂亡き後は昌幸が上手くやってくれよう。昌幸、任せたぞ。


信綱の魂は遂に天に昇った。


力を失った信綱の巨体がゆっくりと地に崩れ落ちた。


そのそばには弟、昌輝の遺体もあり、信綱は昌輝を庇う様に倒れ、兄弟揃って同じ場所で討ち死にを遂げた。


ー真田源太左衛門信綱、真田兵部尉昌輝討死




真田兄弟も倒れ、更に勢いを得た織田・徳川軍が武田軍を押しまくっていた。だが、ただ一つだけ武田菱が屹立している所があった。


其処では真逆の事が起こっていた。なんと武田軍が押し返していたのだ。


普通退却戦では追撃する側は逃げる兵に矢か槍を投げたりして数を減らすだけで良い。何故なら敗残兵の殆どは落ち武者狩りが討ち取ってくれる。勝者側は大将首、其れに準ずる者だけを討つだけで充分だ。

だが、此処では真逆の事が起こった。逃げるかと思った武田軍が逆に柵に向かって来たのだ。想定してなかった攻撃により敷いてあった五段構の柵をあっという間に三段も突破された。


そこを守っていた将は羽柴秀吉と丹羽長秀の二人で5000の兵が居たが武田軍の突然の攻撃により混乱に陥った。






「一体何じゃあ!武田は退却するんじゃなかったんじゃが!?」


「常識では測れぬ事も戦場ではよくある。」


二人の部将が話しながら武田軍を防いでいた。この二人は羽柴秀吉と丹羽長秀、織田重臣である。


顔をくしゃくしゃに歪め、秀吉が話し始めた。

「何でしゃがね?既に負け戦じゃがあに、何故あの隊は向かってくるのじゃあ!」


長秀は淡々とした声で

「恐らく味方を逃がすために捨て身の特攻をして時間を稼ぐのだろう。」


「したが、此の儘では儂等は戦功を挙げられにゃーがな…」


長秀は フフンと笑った。

「分かっておるわ、今使番を出して佐々成政と滝川一益に側面から武田隊を突かせる。」


「おお!流石は長秀殿!あやつ等もここまででしゃろう!一万を数える兵に攻められては敵わんじゃがーよ!!」


哄笑する秀吉を冷静な目で見つめる長秀は味方が敗走しても尚向かってくる武田兵に危惧を抱いていた。


ーあの武田隊…よく目を凝らして見ると全員が死兵とかしておる。数はざっと見た所、二千から三千と言う所か…農民兵では無くあの隊の将直属の兵か。だが多すぎる…普通は二百〜八百くらいだ、二千はどう見ても異常だ。


長秀はもう一度攻めてくる兵をよく見ると、ある事に気が付いた。


兵達の甲冑が統一されておらぬ!ちらほらとだが赤色の甲冑武者もいる。この部隊、混合部隊だったか!!


織田軍を押し返していた部隊は先に戦死した山県昌景、真田兄弟らの敗残兵からまだ戦意のある兵を掻き集めて作った即興の部隊であった。


普通なら即興で作った部隊は中々思ったように動かなく、崩壊し易いのだが、不思議な事にすべての兵が結束していて織田軍を押し返している。


負け戦にありてこの戦意は一体…?


長秀は部隊の異様な戦意の高さに怪訝な気持を抱いた。


おかしい、何か妙な感じがする…



ううむ…


「長秀殿!滝川、佐々が来ましたぞ!我等も一気に押し出して包囲殲滅しましょうぞ!」


長秀は秀吉の言葉に視界を戦場に傾ける。


謎の戦意の高さ…気にはなるがここまで兵力差があるなら大丈夫だろう。


「丹羽隊、羽柴隊と共に押し出すぞ!かかれーー!!」



今迄押し返していた武田隊も側面より佐々成政、滝川一益らが攻めかかり、更に前方からは羽柴秀吉、丹羽長秀が攻めを始めた事により、形勢不利に成り、今や円陣を組む事で何とか防いでいた。


丹羽長秀は兵に指示を出しながらさっきの事を考えた。


ううむ、特に何かをして来る様子も無し…儂の思い違いであったかのう。



周りを見ると包囲するために集まった織田兵で溢れかえっていた。うむ、我等の軍は上手く逃げられないように包み込んでおる。


…ん?包み込む?


長秀は何かに気が付いたのか攻め込む織田軍を見る。


織田軍は皆武田隊に密着している…逃がさないために固まっている…


!!?


いかん!


まさか武田は…



ハッとした長秀が隣にいる羽柴に声をかけた。


「秀吉!直ぐに密集している兵を引かせろ!」


「へっ?長秀殿、突然何を言われるので?」


長秀は鬼気迫る表情で

「いいから早くしろ!此れは罠だ!」


「罠…?」


「ああ、だから直ぐに引かせろ!」


秀吉は突然引かせろと言い出す長秀を訝しく思ったがとりあえず引くように使番を呼ぼうとした。




その時、羽柴、丹羽隊の背後で次々と歓声が上がり、地面が揺れた。


「…な!?この揺れ、何事だ!」


驚愕した長秀と秀吉が慌てて後ろを振り向くと、毘の旗をあげた軍団が弓を放ち、足軽兵が槍衾を作りながら怒涛の勢いで迫って来ていた。


「な…な…毘の旗…上杉だと!!」


「長秀殿…どうすればええんじゃ!!?」


二人は激しく狼狽して思考がぐるぐると混乱していた。


上手く回らない頭で必死に防戦せよと叫んだが、如何せん、古来より背後を突かれたら崩れるのが兵法の定法であるのでどうする事も出来なかった。



長秀は馬を連れて来ると直ぐに撤退の準備をし、秀吉も其れに続こうとした。


だが、二人に迫る武者が居た。


武者は遠目でも分かる程の巨体を誇り、群がる兵を薙ぎ倒していた。


二人は其れを見て本陣も崩れたと悟り、一刻も早く逃げなければと思い、馬に鞭打ち、逃げたが、あっという間に追いつかれた。


武者は二人を捉えると髭で覆われた毛深い顔を笑みに変えた。


「我は小島貞興、上杉の鬼小島とは俺の事よ。覚悟せよ!!」


貞興が振り上げた槍が頭に向かってくるのを最後に二人の意識は暗転した。





遂に上杉登場!と言っても触りだけですが…今後も拙作を読んで小説を読もうに戦国小説が増える事を祈念させていただきます。



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