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我ら科学部!

我ら科学部! リターンズ

作者: ミスター

谷津

「久しぶり過ぎる!」


「確かに!」


谷津

「そもそも新作が生まれること自体予想外だった!」


「確かに!」


谷津

「もう高校卒業しちゃったし…」


「確かに!」


谷津

「お前は久しぶりの登場で同じことしか言ってないがいいのか…?」


「確かに…。よくない」


谷津

「では!本編へ!」


「レッツゴー!」


谷津

「あ、今回お前出番かなり少ないよ」


「本編直前に嫌なことを…」

「今週の土日は片菜(へんな高校に集まるように!拒否は無い!」





木曜日、携帯がメールの着信を知らせたため見てみたら、なんとも懐かしい名前を表示していた。


「…仁?」


高校を卒業してからというもの、全くと言って良いほど連絡を取っていなかった野御丸仁(のおまるじんの名前を表示していた。


懐かしいと思いつつ不吉なものを感じる。


時は9月。


時期的には「アレ」がある…。


意味分からない緊張感の中、俺はメールを開いたのだった。


で、来たのがさっきのメールだった。



とりあえず片菜高校のホームページを開いてみた。


全面に「文化祭」の文字。


…全てを悟った。


返信だけはしておこう。


「日曜日に行く。……俺は何をすればいい?」


返信は直ぐに来た。


「谷津は遊ばせないぞ!」


谷津というのは俺のこと。


岡品谷津(おかしなやつ、今年大学1年生。


…高校を卒業して約半年。


4年目の文化祭に「出店側として」参加することになった。




そして迎えた日曜日。


何故だろう。


いつも決まって集合していた電車の後ろから数えて2両目。


今日も無意識にそこに行ってしまった。


そして当時のように椅子には座らず、また当時と同じように車椅子スペースにもたれかかる。


あの時は一人じゃなかった。


窓から見える景色が懐かしい。



電車はこれまた懐かしい駅に到着。


俺は歩いて学校まで向かった。


校門の前で交通整理してるのは…学年主任だったハゲか。


何となく、気付かれないように門を抜けた。


文化祭のお祭りムード一色の中、懐かしさからつい周りを見渡してしまう。


それでも、化学室の場所を忘れるわけもなく、足早に向かった。


去年と同じように扉が外されたそこは、何度も行ったあの部屋で。


文化祭ムード一色とはいえ懐かしさを覚える。


「うーっす!お久!」


これが俺の第一声。


「あー先輩!やっと来たんですか!」


後輩の嘉村達也(かむらたつやからそう言われた。


「まだ一般公開してから3分しか経ってねーっての」


「何で昨日来てくれなかったんですか!」


「地元で遊んでた(キリッ)」


そう答えた瞬間ガツン!と鈍い痛みが走った。


達也の持つうちわが頭に直撃したのだ。


それも面ではなくスラッシュするように振ったうちわが。


「なら手伝ってくれても良かったんじゃ?」


「大事な遊びだったんだよ!」


「なんすか?まさか…彼じ…」


「いや、来期のアニメについての討論会を」


ガツン!


はい。ふざけすぎました。


「そういや仁は?」


今になってから周りを見渡したが奴がいない。


「え?来るんですか?」


「来るんですよ」


そう言いながら、説明用のボードで仕切って一般には公開していない化学室の奥へと行った。


混んでないときに雑談したり、昼ご飯食べたりするための裏方である。


「先輩、当たり前に裏方に来ましたけど、仕事してもらいますからね」


「ほう。私に何をしろと?」


「はいどうぞ」


そう言って達也は大量のビラを渡してきた。


白黒印刷の、白衣を着た高校生らしき男がフラスコを持っている絵が描かれている。


化学室の場所と液体窒素実演の開催時間、展示内容も一緒に書かれていた。


展示内容、去年と一緒…。


こちらとしてはやりやすいのだが。


とは言え、説明できるほど内容を覚えてるわけもないのだけど。



ビラを持って俺は去年吹奏楽部と激戦を繰り広げた階段の前に立った。


因みに、今年は吹奏楽部が使っていた部屋は映画部が使用しているようだ。


自らで作った映画を放映しているらしい。


廊下への装飾が激しくないから今年は争わなくて済みそう。



「この廊下の一番奥が科学部です!カルメ焼きやダイラタンシーなどありますよー!」


これを大声で叫ぶ。


…おかしい。


俺は今私服。


高校では有り得ないジーパン着用。


入り口で借りたスリッパ装備。


普通にTシャツを着ている。


なのに…。


何故誰も違和感を持ってくれないんだ?


しまいには広報の人に写真を撮られる始末。


…俺、この学校の生徒でねーんですぜ…?


卒業してんだぜ…?


辛い事実を突きつけられた所で化学室へと帰還。



「相変わらず人集めはスゴいっすね!」


化学室に入るなり、達也に言われた。


「だろ?俺だからな!」


とりあえずそう返し、人生初の文化祭での学食へと向かった。




昼飯を食べ終えてから戻ると、1人増えていた。


「仁!やっときたか!」


野御丸仁が参上していた。


「おー、谷津!久しぶり!生きてたか!」


「ギリギリな!」


そして部活そっちのけで雑談をしていた。


「道が混んでてさ~」


「あ~、仁、免許取ったのか」


「おう!いいだろ!」


「俺、高校在学中に取ったわ」


「は?」


「いやだから在学中に」


ホントは校則違反だが卒業したら時効だろう。



そんな雑談をしてたら達也に呼ばれた。


「先輩!実験手伝ってくださいよ」


見ると、女子高生二人を相手している達也がいた。


「ん?達也の友達?」


親しげに話していたので聞いてみた。


「そうでーす!」


「はい」


「あ、この先輩に敬語使わなくていいよ」


「なぬ!?確かにさ、妹の友達に『弟君』とか聞かれたけどさ~…。てか友達なんだ。名前は?」


大学に入ってから明らかに女子と話すことに慣れてきている!


自分でも分かる!


「佐藤りんです」


背の小さい子がりん。


「石田明美です!」


背の高い方が明美。


おっ!りん…?


「リンちゃんなう!」


ガツン!


達也がうちわで攻撃してきた。

それが頭に直撃。


こやつのうちわ何かスゲー痛い…。


確かに発言は反省するけどさ。


というか、さっきから気になっていることがある。


二人が着ている制服…。


「あのさ、もしかして隣の高校?」


「えっ?何でわかるの!?」


明美が驚く。


やはり当たりか。


「だって、制服が…。岡品真理って知らない?」


真理は俺の妹の名前。


「知ってる!うちの高校だと有名人!」


「あ~、なんかコスプレとかしてるもんね」


明美にりんも同意。


…なにをやらかしたんだあやつは?コスプレ…?


「あ~、知ってるんだ。俺あいつの兄」


「「えーっ!?」」


2人とも驚きの声をあげる。


何?意外か…?


「ガチ兄!?」


明美に聞かれた。


「うん。ガチ兄」


「すごーい!一緒に写真撮ってくださいぃ!」


何だろうね。

妹って凄い有名人なんだね。


「え?まぁいいけど…?」


「やったー!」


こうして明美と謎のツーショット写真を撮らされた。


後に聞いた話。

明美は彼氏がいるらしい。


あのさ、その彼氏さんに写真見つかったらどうすんの…?

まぁ、乗る気でない表情をした俺が写ってるだけだから大丈夫か。


「で、何の実験やんの?」


俺が聞いた。


「カルメ焼き!」


「あ、私もそれ」


明美の意見にりんも同意。


「分かった。じゃあ先輩用意してください」


達也が指示してきた。


なぜ俺…?


まぁいい。


やったるわ。


「ほい!お玉と卵白と砂糖と重曹!砂糖溶かして重曹と卵白をインするのじゃー!」


カルメ焼きの作り方、以上!


「達也、この先輩テンション高いねー!」


りんが言った。


「この人のテンションがまんま部活のテンションだから。昨日とかこの人来なかったからもうテンション低くて…」


俺はテンションの塊か。


まぁいいけどね。



お玉に入れた砂糖が溶けた頃…。


「よし!卵白と重曹をレッツマゼマゼ!混ぜるって英語で何?」


「先輩、ミックスくらい知っててください…」


達也に呆れられた。



その後はりんと明美に引っ張り回され、他のクラスの出し物を見た。


「うちのクラス射的っすよ!」


達也がそう言うので、みんなで行ってみた。


そもそも俺まで付いて来させられてる時点で何かおかしいのだが。


割り箸鉄砲で的を狙うタイプの射的。


持ち弾は5発。


的は10点・20点・50点・200点・-10点が用意されていた。


まずはりん。


結果は50点。


平均並みらしい。


次の明美は30点。


苦手なのか?


そして俺!


「この手の物は一番デカい的…つまり10点狙いが安定なんだよ!ほりゃ!」


放つが外した。


有り得ない!偶然だ!


2発目も外した。


3発目もハズレ。


4発目。見事射抜いた!


-10点を…。


5発目。ハズレ。


計-10点。


「あははは!初めてマイナス出ましたよ!下手すぎです!」


達也が大笑いしている。


「うるさい!ちとミスったんだよ!」


「でもマイナスは…」


「ねぇ~、有り得ないよね」


りんと明美にトドメを刺された。


化学室に戻ると、丁度一般公開終了の時刻。


一般客は追い出される。


「んじゃ、また来年!お元気で!ごきげんよう!」


そう言って、仁と一緒に片菜高校を後にした。


「楽しかったなー。なぁ?」


俺が仁に聞いた。


「お前はいいよな。女子高生とイチャイチャしてたもんな」


仁は何か盛大な勘違いをしている模様。


「俺結婚したいんだよ!相手が誰とかそうじゃなくて!純粋に早く結婚したい!」


何か言ってるよこいつ…。


大学で何があったんだよ…。


「そうか。あ、お前車なら駅まで乗せてけ」


こうして仁の車の助手席に座った。


途中自転車引きそうになったり信号無視しそうになりながらも無事に到着。


「んじゃ、暇な時遊ぼうぜ!」


「おう!じゃあな!」


そう言って別れた。




後日。


達也にメールした。


『うちの妹、リンちゃんなうは名前だけ知ってるけど明美は知らないって』


返事はすぐに来た。


『あ~。俺、リンちゃん気になってるんですよね。結構可愛い…』


『へ~。まぁいいんじゃない?』


『無関係かよ…』



来年の文化祭も、またみんな集まるかな?


そんな期待を抱きつつ心待ちにしている俺だった。

前代未聞の卒業生が文化祭を手伝ったお話でした。


なんだろね?


今頃私が呼び込みやってる写真が広報に載ってんのかな?


笑えるね。



さて、約1年ですか?ぶりくらいに書きました。


恐らく来年は仲がいい後輩いないから行ってもね…。


いや、多分行くけど。


まぁ、お楽しみにってことで!


とりあえずさようなら!


我ら科学部!最新作でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 相変わらずですね、キミの扱い。 [一言] フリーター=ニートなんですよね、社会的には。 日の本1周年記念にグダグダな川中島の戦いを現在執筆中。 もう少し待って!
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