表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最終決戦なのにレベル1で困ってます

作者:

我は魔王である。しかし、悩みが一つある。それはレベルが1であることだ。魔王がそんな弱いことがあるか!なんて突っ込みが飛んでくるかもしれないが考えてみてほしい。我は勇者が来るまで誰とも戦うことが無いんだぞ。ここまでたどり着くのはどうせ勇者だけだからな。戦闘未経験者だ。ただレベルが低くても一応それなりの技や魔法は使える。魔王だからな。しかし、戦闘での生かし方がわからない。部下に稽古をつけてもらえばいいと思うかもしれないが、そんなことはできるわけない。弱いことがばれてしまえば我に従う魔族は一人もいなくなってしまうからな。しかし、どうしたものかそろそろ勇者が来る。どのように対処しようか?戦闘はだめだ。負ける。死にたくない。


俺は勇者である。魔王との最終決戦を目前に控えている。しかし、悩みが一つある。それはレベルが1であることだ。魔王との決戦までたどり着いた勇者がレベル1なんておかしいだって?ああおかしいと俺も思う。しかし、俺は全ての戦闘で奇跡的に敵の自爆によって勝利してしまったために経験値を得られなかったんだ。さっきも魔王軍幹部が俺を殴ろうと助走をつけたはずみで躓いて頭を打ち死んでしまった。どうしよう、もう目の前には魔王の間につながる巨大な扉が控えている。でももう来てしまったもんは仕方がない。思い切り力を込め、扉を開く。レベル1には重すぎる扉だ。


目の前の扉がゆっくりと開く。遂に来たか勇者よ。はぁー帰ってくれないかなー。怖いよー。本当にどうしよう。

勇者は一歩ずつ慎重に踏みしめながらこちらへと歩を進めてきた。


ああ、扉が開き切っちゃったよ。もう入んないとだよなー。帰りたいよー。震える足に思い切り力を込めてゆっくりと歩く。少しでも時間稼ぎをしないと。


勇者が歩みを止めた。何か言わなければ。


「勇者よよくぞここまで来た。貴様のここまでの快進撃、褒めてつかわそう。しかしそれもここまで。貴様はここで我に討ち取られる運命なのだ」

これで怯えて帰ってくれないかな?


えー、魔王めっちゃ怖。もう帰りたいよ。でも勇者だし何とか言い返さないと。

「ふざけたことを言うな魔王め、ここに来たからには必ずお前を討ち取って見せる!」

やべーミスったもうこれ攻撃しなきゃじゃん。


は?勇者やる気満々じゃん。でもここで引いたら魔王としての威厳が。

「ならばうけてたとう。さあ、来い勇者よ」

あー言っちゃった。もう我死んだ。


魔王超怖いよーでももう行くしかない!

俺は剣を振りかぶり助走をつけ魔王の元へと向かっていく。ああ、俺死んだな。

「死ねー魔王ー」


やべー勇者こっち来るどうしよ。

でもあれ?

勇者走るのめっちゃ遅くね?剣の持ち方もなんかぎこちないように見える。

でもやっぱ怖い。


堂々と待ち構える魔王に振りかぶった剣を振り下ろそうとする。

すると魔王は目を閉じ、掌をこちらに向けてきた。やばいなんか出すのか?死ぬ。

そう思うと振り下ろそうとする腕が止まってしまった。


やばい、剣が当たる。必死に防御姿勢を取る。

しかし何故だろうか剣は当たらなかった。

恐る恐る目を開けると振り下ろす途中で目を閉じ固まったままの勇者の姿があった。


「おい、攻撃するんじゃないのか?」

我は声が震えぬように気を付けながら問いかける。

すると勇者はゆっくりと目を開いた。


「え?お前こそ攻撃するんじゃないのか?」

俺は怯えていることを悟られないように問い返した。


「き、貴様が攻撃しようとしてきたから防御の姿勢を取ったまでだ」


ん?なんか魔王の声震えてなかったか?俺を怖がってるのか?

「そ、そうかそれならその構えにも納得だ」


あれ?勇者の声震えてたぞ。もしかして我を怖がってる?


「おい(なあ)、貴様(お前)我(俺)の事怖がってる?」

二人の声がきれいに重なった。


二人は互いに見つめあい数分間の時間が経過した。

先に勇者が口を開いた。

「そうだ。怖いよ」


マジで?これ戦闘しない方向に持っていけるんじゃないか?

「そうか、我もだ。勇者よ貴様は何故我を怖れる?」


「一言で言うと俺はレベル1なんだ」


えっ勇者も!?

「勇者よ言いづらいのだが我もレベル1なのだ」


二人は言葉を発せずとも互いに互いの意図を感じ取った。


「勇者よこれからどうする?」


「おこがましい申し出かもしれないが俺が魔王を倒したってことにしてくれないか?」


願ってもない申し出だ。

「よいだろう。だがどうする?魔王がいなくなったとなればこの城に来ようとする人間がいるかもしれん。しかしそれは互いに困るだろうどうする?」


「それはーこの城には魔王を倒した後、魔王の体から発せられた猛毒が充満しているから行かないようにと人々に俺が呼びかける。そうすればお前はここに残れるし俺も魔王を討伐していない事実も知られることはない。だが、世界中にいる魔族だけはどうにかしてくれ」


「名案だ。それに乗っからしてもらおう。魔族の件は任せてくれ。ではそれでいこう。」


「これは俺達だけの秘密だからな」

そう言うと勇者はこちらに手を差し伸べてきた。

我もそれに応じ握手を交わした。


「じゃあ俺は早速魔王を討伐したってことにしてくるから。魔族はそっちに任せるぞ」

そう言うと勇者は魔王の間を後にした。


我も魔族を魔界へと帰らせなければな。


ーーーーーー

それからというものこの世界では魔族と人間は決して交わることはなかった。

人間、魔族共に平和を謳歌していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ