成田悠輔氏の「高齢者集団自決」発言と今後の年金制度について
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今日は〇と◇のメガネが特徴的なイェール大学助教授で経済学者・成田悠輔氏が「高齢者は集団自決しろ」という趣旨の発言から缶チューハイ「氷結無糖」のWEB広告から降板した話について、個人的な考えを述べようと思います。
質問者:
「集団自決」というワードがインパクトがありますけど、前後はどのような発言をされていたのでしょうか?
◇成田氏の発言は「高齢者の経済状況」を考慮していない
筆者:
成田氏は2021年12月、インターネット番組「ABEMA Prime」に出演した際、少子高齢化問題や高齢者の労働などをめぐり次のように発言したんですね。
「唯一の解決策ははっきりしていると思っていて、結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなことしかない。(私は)けっこう大真面目で、やっぱり人間って引き際が重要だと思う」
「別に物理的な切腹だけでなくてもよくて、社会的な切腹でもよくて、過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤー(階層)で多すぎるのがこの国の明らかな問題で、まったくろれつが回っていなかったり、まったく会話にならなかったりするような人たちが社会の重要なポジションをごくごく自然に占めていて」
「消えるべき人に消えてほしいと言い続けられるような状況をもっとつくらないといけないんじゃないか」
という発言をされているんですね。
「集団自決」というインパクトのあるワードの割には、周りの発言は比較的的を射ている意見のようにも思えます。
特に「居座り続ける(高齢者)」が「出世の蓋」となっているのは事実ですからね。
質問者:
しかし、これって21年12月の話ですよね?
キリンのCMにその直後も成田氏は出演していたという話ですが……。
筆者:
22年3月に「麒麟特製 レモンサワー」のWEB動画に出ていたようです。
その際には「集団自決」の直後だったにもかかわらず炎上しなかったので、
今回もOKだと思ったのでしょう。
しかし、その後に海外から批判が上がったり、イェール大学が「本大学の見解ではない」といった発言も出て徐々にこの発言への評価の風向きが変わってきたのです。
「デジタルタトゥー」は突如としてぶり返すという事を示しているように思えますね。特に有名人ともなればイメージキャラクターとして出演することもありますから、そういったリスクも考える必要があるでしょうね。
質問者:
「デジタルタトゥー」は怖いですね……。
かといって毒にも薬にもならない発言では出演も無くなってしまいますから塩梅が難しそうです……。
話は戻りますけど、確かにご高齢な方がいつまでも居座っているというのはあると思いますけど、
それぞれの能力差や健康能力の差ってありませんか?
体の悪い方は50代から怪しいですし、70代でも元気な方はいらっしゃいます。
筆者:
そうですね。年齢で区切るのは問題だと思うんですけど、
そもそもの話、高齢者は“簡単には引退できない”という実情もあるんです。
年金などが足りないことから70代ぐらいまでは働くように厚生労働省は推奨しています。
実際のところ、100万円未満の貯金額が6%、500万円未満までで20%ほどと60代も裕福ではないからです。
働いている70代の4割がお金のために働いていることも分かっています。
しかし一方で、再雇用などでポジションの降格給料の減額はあると思うのですが、
若い方として見たらやはり気を使いますし、やりにくさはあると思うんです。
ですから、「生産性が落ちるからさっさと退場しろ」という考えは一見理にかなっているように見えますが、
そもそも社会構造上、家計のやりくりもあって高齢者の方々もしがみついていくしかないのです。
成田氏はこの点の分析が抜けているように思えますね。
◇高齢者の生活保障で若い方の状況も好転する
質問者:
では、具体的にどうしたらいいんでしょうか……?
筆者:
やはり年金制度を改革することでしょう。
「老後の2000万円問題」という言葉があるようにどう見ても年金だけでは足りません。
年金額のみで生活するには1.5倍は無いとダメだと思います。
マクロ経済スライドによってどんどん目減りしていき今の若者はもっと必要な金額は増えていくことが予想されています。
こんな状況で子供を増やそうという発想に至るはずもありません。
まずは年金に不安が無くなるように、負担を減らす方向で現在の社会保障制度を抜本的に変えるしかありません。
徴収から賄う方法を諦める(国債を発行する)ことや、
医療を受ける回数に比例して社会保険料負担額を増やす。
積み立て方式にするなどの対策が必要だと思います。
将来の見通しが立たない状況が一番危険だと考えます。
今のままだと老後のためにいくら貯金していいのかもわかりませんからね。
増税ばかりで手取りは減りますから、貯金できるうちに貯金しておこうという発想にもなりますしね。
高齢者の方々には稼いだ額と年金額に満足して「自然に仕事を離れていただく」のがベストと言えるでしょう。
質問者:
ただ、現状「世代間格差」が広がっているのも事実ですよね?
筆者:
平均寿命まで生きたと仮定して1940年生まれがプラス3200万円(払い得)、
それに対して1965年生まれがちょうどプラスマイナスゼロ、
1990年生まれはマイナス2000万円(社会保障費払い損)、
2010年生まれはマイナス2800万円(社会保障費の払い損)。
という試算があるようです。
質問者:
現状の保険制度ではとにかくダメそうですよね……。
よく高齢者負担を増やしてこの世代間格差を少なくしようという話があるのですがそれについてはどう思われますか?
筆者:
それは非常に危険な考え方ですね。
この問題に上がるたびにこのコメントをしますが、人は誰しも高齢者になります。
その中で高齢者の負担を許容するという事は「将来の自分への負担増の許容」ということになります。
僕はあらゆる負担増を許容してはいけないと思います。
国民がやるべきことは世代間対立ではなく、「財政破綻論」は存在せず、国へ国債を発行するように訴えることなのです。
狂ったシステムを作っている政府にヘイトを向けるべきでしょう。
唯一高齢者負担増を行うとするのなら上記にも書きましたが、医療回数に比例して社会保険負担額を増やす方法です。
無意味に医療機関にかかるという高齢者の数を減らすことは大事だと思います。
質問者:
医療機関の負担も多いですからね……。
年金額を増やすと逆にインフレになる心配ってないんですか?
筆者:
僕は無いと思っています。
ただ、特権階級は貯金がある上に年金額も高額となると極度の優遇とも取れるので、いっそのこと相続資産上位の相続税率を上げるのもいいかもしれません。
質問者:
相続税で格差を無くしていくという事ですか……。
筆者:
最後に、高齢者のみの働く場所を作ることだと思います。
シルバー人材センターはありますが、高齢者のみの職場というわけでは無いはずです。
若い方は正直言って高齢者と一緒の職場だと「やりにくさ」しかありませんからね。
高齢者の方も仕事をすることで“社会とのつながり・やりがいを感じたい”という方もいるでしょうから「自然退場」した後の仕事というのも大事だと思います。
◇お金のかからない暮らしを若い頃から模索するべき
質問者:
しかし現実問題まともな方向に改革していく感じはありませんよね?
私たちは老後に向けてどうしたらいいんでしょうか……。
筆者:
解決策は以前も提示しましたが、あまり出費をしなくても暮らせるようにすることが大事だと思います。
老後に必要な額が「2000万円」というのはあくまでも試算の一つであり、
必ずしもその金額必要というわけではありません。
月々の出費が少なく済めばその分必要額は減っていくのです。
特に医療費は高齢者負担は増えていく流れになるでしょうから若い頃から健康に気を付けた生活が大事ですね。
食生活、運動瞬間、睡眠の3要素が大事だと思います。
また、お金をあまりかけなくても満足するような趣味を持つことが大事だと思います。
質問者:
具体的にはどんな趣味があるんですか?
筆者:
若い方なら買い切り制のゲームでしょうね。
健康を兼ねて料理(自炊)をしたり、
知識を得るために図書館で読書をしたりすることもいいでしょう。
運動を兼ねて山での自然観察(写真や双眼鏡)などもいいですね。
お金をかけても一時的な満足でしかないので、
安く体験して思い出として取っておく。
そして写真もデータ化して確認して整理をして楽しむなどの方法が負担なくていいと思います。
こういった試行錯誤の段階はイザ高齢者になってからではやりにくいので若い頃から模索することが大事だと思います。
質問者:
確かに失敗したり合わなかったりしたとき体力があればいろいろ試せますけど、
お年寄りの方にはいろいろ試すのは難しそうですよね……。
筆者:
お金がかからない方法を色々と若いうちからトライして、
老後に向けて備えていければと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。