9.ジュリアン決意する
末っ子ジュリアンは、教育係泣かせでした。
アリーシアの教室から出たジュリアンは、不機嫌さを隠しもせず、自分の教室に入って自分の席に音を立てて座った。
『くそッ…絶対兄上達もグルだな…昼の時間までアルとジェイに先回りされてしまった…ようやくアリーシアが
学園に入学したというのに……
いや、しかし入学式のシンプルなドレスも良かったが、制服姿…可愛かった…な…』
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初めてアリーシアに会った時、俺はまだ幼くて我儘で
でもチヤホヤされるだけのお茶会に出るのに飽きていたから、あの時も顔だけ出すつもりだったんだ…
出席しているはずのない兄達に小言を言われ、そこに
たまたまいたアリーシアを怒鳴ってしまった…
一瞬驚いた顔をしたが、俺よりも更に幼い小さな女の子は…… とても美しかった…
凛としていて子供とは思えない口上を述べた……
その時いつも礼儀作法をしつこく言ってくる教師のいう事が頭に浮かんだ…そして初めて自分の事が恥ずかしくなった、焦って何を言ったか覚えてないが目の前女の子が、今度は恥ずかしそうに俺に言ったんだ…大好きだと………
それからは勉強もマナーも真面目に取り組み頑張った。
セイリオス兄弟が城に来るたびに俺にも会いに来て、勘違いだとしつこく言ってきたが、アリーシアを守る為に剣術も頑張った。お茶会などでたまに会える事を励みにこれまで努力してきた。アリーシアに会いたくて公爵家への訪問を何度も試みたが、何故かいつも邪魔が入ったり、王子の訪問が却下されたりで(解せぬ)会う事は少なかったが手紙のやり取りはあった。
やっと一緒にいれるんだ……毎日会える…
「…リアン様…ジュリアン様っ」
「?なんだ ラスカルか…俺は今機嫌が悪いんだ」
「えっ?ニヤニヤしてましたよ?どうせセイリオス公爵令嬢の事を考えていらしたんでしょう?ちゃんと教室までエスコートされたんですか?昨日は結構な騒ぎになったみたいですし、早い段階で牽制なさらないと…」
「してない…」
「はい?」
「アリーシアは兄達と早くに登校していたようだ」
「えっ?お手紙でお約束されてたのではなかったのですか?ご入学のお祝いと、生徒代表のご挨拶が素晴らしかったと話をするのだと、張り切られてましたよ…ね…?まさか…?」
「フンッ… 朝に会えると思ったのだ、それにこれからは毎日会えるんだ、」
「はぁ…会えるといいですね…」
『わかっている!俺はただでさえ忙しいし学年も違う、
その上棟が分かれていてもアリーシアにはあの兄弟が張り付いている…婚約さえ出来れば…アリーシアも学園に入学したのだから許しが出るかもしれない…父上と公爵に再度強く申し入れてみるか…』
俺はどうやったらアリーシアと過ごせるか考えていた
王家は、両陛下も息子達も共にアリーシアを狙ってます
公爵家は全てをはね退ける力があります(物理含む)
アリーシアが絡むと忠誠心が羽より軽くなるのです。