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87.妖精達の怒り


エミリーと寮の自室に戻ったアリーシアは、楽な服装に着替えてソファーに座り、妖精達に声を掛ける…

いつもならアリーシアが呼ぶ前に騒ぎ出すのだが、今日はやけに静かなので嫌な予感がしたのだ…


「お嬢様っ!どうされたのです!」


エミリーが紅茶と目を冷やす用の冷たいタオルを準備して部屋に戻ると、アリーシアが部屋の中で叫んでいる。


「エミリー!あぁエミリーどうしたら…スピネル達がいないの!名前を呼んでも返事がなくて……まさかっ!あ…あの子達まであんな目に…」


「お嬢様っ!落ち着いて下さい!シリウス様にっシリウス様にお声を届けてお聞きになってみましょう!」


二人が部屋の中で慌てていると、アリーシアの妖精達が戻って来た!


《アリーシア!元気になったんだね! アリーシア黙って離れてごめんね! アリーシア、すっごい嫌な奴見つけたんだよ! アリーシア!やっつけに行こうっ!》


「ああっ!みんなっ!良かった…無事だったのね!」


話を聞くと、アリーシアが感じたのと同じ様に聖女と呼ばれる女生徒にとても嫌な気配を感じたとの事で、身辺を探るべくついて行っていたらしい…。

黙って側を離れた事を妖精達が謝ると


「あなた達が無事ならそれでいいの…もちろん心配はしたけれど…戻って来てくれて…本当によかった……」


安心からか、脱力してしまった為エミリーに支えられたアリーシアを見て、普段は反省などしない妖精達もさすがに反省すると同時にアリーシアに問いかけた…


《ねぇ…アリーシア、そんなに心配だったって事は…もしかして何か視えたの?》


「ええ…あなた達とは別の子達が…捕えられて、とても苦しそうにしているのを続けて夢で見たの…それがとてもリアルで…花壇で消えてしまった子の事もあったし…とても心配で…不安になってしまって…」


《アリーシア…視えたんだね…。 アリーシア、落ち着いて聞いてね! あのね、この国の数少ない妖精達は悪い奴に捕まってると思うんだ! そして無理矢理妖精の力や粉を奪われて…弱くなってしまっている…》


「なっなぜ?あなた達それをどこかで見て来たの?」


《ううん、見てないよ。 でもね、あの偽物が妖精の粉を使ってたんだ! でもね!でもね!その粉は悪い時の粉だったの!》


妖精達の話を詳しく聞き、状況を整理すると…

アリーシア達に話しかけてきた女生徒に妖精の気配を、それも負の気配を感じ取った妖精達は独断で彼女達を見張っていると、聖女と呼ばれていた彼女が怪我をした男子生徒に治癒の魔法をかけたらしい…しかしその時の魔法は治癒の魔法に非ず…妖精の粉によるものだったそうで、さらに妖精達にはその時に使用された妖精の粉は…自分達が振りまいている様な歓びの感情からではなく…苦しみに満ちたものだったというのだ…


「あなた達が話していたフェアリーダストね?でも苦しみに満ちたものだなんて……」


《僕達はね嬉しい時、魔法を使う時、そして祝福の時もその粉が出るんだ、アリーシアの聖力や魔力みたいなものなんだけど…それとは別に、身を守る時や消滅しそうな時もその粉が出るはずなんだ…けど…

僕達もあまり経験がないからわかんないんだけど…あの時…花壇で消えちゃった子は、ただ消えたんだ…だからおかしいなぁって思ってたんだ…。

今日会ったあの汚い偽聖女に妖精達が協力なんてするはずないから、きっと悪い事をして手に入れてるんだと思うっ! 僕もそう思うよ!ねぇアリーシア、一緒にとっちめようよ!》


「ダメッ!!   あっ…大きな声でごめんなさいっ…でも…あなた達が話してくれた事と、私が見た夢がもし本当に起こっているとして妖精達が捕まって苦しめられているのだとしたら…私も早く助けたいわ…でも用心深い妖精達が捕まるぐらいですもの、下手に動いてあなた達まで捕まってしまったらと思うと…怖いの…


仲間が辛い思いをしてるのだもの…早く何とかしたいのはよくわかるし、私も一刻も早く手を打たなければいけないと思うわ、でもまずは情報と証拠を集めましょう。あなた達からしたら人間のやり方はまどろっこしいでしょうけど…相手の事を知らないまま飛び込むのはあまりにも危険だわ…だからみんな…お願い…」


《アリーシア………》


「皆様、アリーシアお嬢様の仰る通りです。

皆様方に何かあればそれこそお嬢様は悲しまれますよ、もどかしいでしょうが、まずは私達にお任せ下さい。」


エミリーにもそう説得され妖精達は納得した。

エミリーはシリウスの加護がある事と、アリーシアに近い事から、アリーシアと一緒にいる4人の妖精達の姿と言葉がわかるようにしてもらっていた。その為しっかりとした信頼関係も築けていたのだ。


《アリーシアを悲しませたくない…。 僕も…。 そんなのみんな同じ気持ちだよっ!。 それにエミリーにだったら任せても大丈夫だろうからね。》


妖精達がそれぞれにそう言うと、エミリーはホッとした様に"お任せ下さい"頷いた。


「という訳で、お嬢様…私はお側を離れますが、お嬢様には護衛と影をつけておりますので安心して下さいね。


よろしいですか?私に何かあっても、伝言でお嬢様を呼び出したりする事は決して致しませんので、騙されてはなりませんよ?」


「っ!!!なっ何かあったらって!エミリー!ダメよっあなた何をするつもりなのっ!?」


「ふふ…お嬢様、私は大丈夫です。ただの言葉のあやですよ、危ない事も致しませんから。しかし伝言はたとえ近しい人間からのものであっても容易に信用してはなりませんよ?冷静に判断なさって下さいね。」


そうエミリーに念を押され、アリーシアはエミリーを心配しつつも頷き送り出した。

オリビア達との約束の時間まで妖精達の話を詳しく聞きどうすべきかを考え、また血の気の多い妖精達の気を鎮めながらオリビア達を待つアリーシアであった…。








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