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8.学園生活スタート

毎日1〜2話投稿しています。




ーー ガタガタガタ   公爵家の馬車の中ーー


「アリー?大丈夫かい?緊張してるの?大丈夫だよ僕もアル兄さんもいるんだから! ねっ?」


「 えぇ、ジェイお兄様! だ 大丈夫です…」


アリーシアが学園へ入学したのだ。


兄二人と三人で馬車に揺られながら、アリーシアは期待と不安で内心ソワソワしながら窓の外の流れていく景色を見て気を紛らわせていた。


「ジェイソン、お前も今日から高等部だろう?緊張しているか?」


「やだなぁ兄さん僕が緊張するわけないでしょ?それよりアリーシアと一緒に学園に通えるのが楽しみなんだ」


「だろうな、しかしアリーと通えるのは私も嬉しいが…心配事も増えるのだぞ?」


「わかってるよ…アリーだもんね…でも僕達でなんとか出来ない時はすぐに父上が動いてくれるから大丈夫だよ気をつけるとしたら王家だろうね…」


『えっ!私そんなに心配されてるの?お父様にまで?

それに王家って何?………とにかく…優秀なお兄様達のご迷惑にならない様しっかりしなきゃ! そうよっ…魔法はからきしだけれど他の事は頑張ったのだもの…大丈夫!自信自信自信!自信を持つのよアリーシア!!!』


と、兄二人の会話を盛大に勘違いしているアリーシアは

鞄に着けられた小さな猫の人形を握りしめて決意新たに

兄達を見つめるのだった。


フワフワの銀髪のサイドを編み込んで、レースのリボンで飾っている。色も形もシンプルな制服に身を包んだ

アリーシアは両サイドを美形の兄に固められ学園の校舎までを歩いていた。

登校するにはまだ早い時間なので、スムーズに教室に着いたのだがもちろん兄達が一緒である。


「お二人ともわざわざ教室までごめんなさい…棟が違うから大変でしょう?明日からはわたくし一人で大丈夫ですから、心配しないでくださいね?」


「アリー、何を言っている、昨日の事を忘れたのか?

しばらくは私かジェイが送るから些細な事は気にするな」


「そうだよ、せっかく一緒の学園にいるのだからこれぐらいさせて?僕達の楽しみでもあるのだから、ね?

またお昼休みに来るから、僕か兄さんが来るまで待っているんだよ?」


そう言って二人は教室をあとにした。


『お兄様達はああ言ってくださったけれど…やっぱり大変よね…でも確かに昨日の様な事があったら私一人ではどうする事もできないわ…ね……慣れるまではお兄様達に甘えていいかしら…』


昨日の入学式アリーシアは初等科の代表で挨拶をしたのだが、その後の説明会の為の教室への移動が出来なかったのだ…アリーシアを見に来たり話しかけたり、律儀なアリーシアが相手をしていたらいつの間にか列が出来ていたり、移動時間に余裕はあったものの、人が多くて場所がわからなくなったりと…ジェイソンが高等部の説明会をかわして駆けつけてくれたので、なんとかアリーシアは教室までたどり着けたのだったが、ジェイソンの登場に女生徒も集まってしまったのだった…。


そんな感じで昨日はちょっとした騒ぎになったが、今日は時間も早い為、アリーシアは教科書を取り出し目を通していたら、ガヤガヤと少しずつ賑やかになってきた。


貴族の子供達が多いとはいえ、11歳、家から離れ親の目もない新しい環境なのだから、誰しもテンションがあがるのはしょうがない事であった。


それでいうとアリーシアも同じ歳の子達と同じなのだが

精神年齢が高い事と、緊張から、大人しく教科書を読んでいるふりしか出来なかった。



「アリーシア!!」



急に名前を呼ばれて顔を上げると、第三王子のジュリアンが教室の入り口で声をあげ、ズンズンとアリーシアの前までやって来た。


王子の登場に周囲も驚いていたが、アリーシアは立ち上がり挨拶をする。


「第三王子殿下、おはようございます。」


「アリーシア、ここは学園だ いつも通り名で呼んで構わない。それよりも、いつの間に教室へ来たのだ?いつまでも公爵家の馬車が来ないからおかしいと思って来てみれば…どういう事だ?」


朝一番に矢継ぎ早に問い詰められたアリーシアは紫の瞳をパチパチと瞬かせ一呼吸おいて、


「  サリヴァン様…その今日はお兄様達が…」


「ンンッ!ンンッ!」


ジュリアンがわざとらしく喉を鳴らしてさえぎる。


「   ジュリアン殿下……?  」


「フンッ!」


顔を逸らして腕まで組んでいる…不機嫌のポーズだ…


「もぅっ!ジュリアン様っ!いくら公式の場でなくとも

身内だけでの場でなく皆様いらっしゃいますのよ?」


自分の名とアリーシアの素を引き出したジュリアンは

口の端を僅かに引き上げてアリーシアに向き直った


「それで、朝から一人で教室に来ていた理由を聞こう」


あの初めてお茶会から手紙を交わしたり、たまにお茶会や王城へ行ったりと、少しずつ王子達と交流を深めていたのだが、ジュリアンにだけは何故か冷たくされる事が多かった為、アリーシアはしょうがないと思いつつジュリアンに今朝の事をはなした。


昨日の事もあり、兄達と早目に登校して教室まで送ってもらったので、決して一人ではなかったと…


「ジュリアン様と朝からお会いするお約束はなかったと思うのですが………?」


「 ッ! そ それはそうだがっ  …わかった、

では、昼に来る、今度は事前に伝えたからな!」


「あの…お昼もお兄様様が来てくださるそうなので、

わざわざお忙しいジュリアン様に来ていただかなくても大丈夫です。お気遣いいただきありがとうございます」


ペコリと頭を下げるアリーシアにジュリアンは何とも言えない顔をしてそのまま教室を出て行ってしまった…


教室の生徒達はそのやりとりで全てを悟ったのだが、返事ももらえなかったアリーシアは


『きちんと説明したのに、また何か怒らせてしまったみたい…』


と静かに席に着いた…。


友達作るの得意な人が羨ましいです。


多分そういう人は作るんじゃなくて、気付いたら友達だったーって感じでコミュ力が高いんだろうな……

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