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72.眠り姫


シリウスの"聖樹"と"黄金の実"という言葉に国王が反応し、それを尋ねようとした時…


《《国王よ、我の声が聞こえるか?我は今其方にだけ話しておる、よいか?よく聞け…その事は今この場で口にしてはならぬ、聞かれると…ちと面倒なのがおるからな…それとアリーシアの"願い"をいくつか聞いてやって欲しいのだが、頼めるか?》》


シリウスが、若干慌てる様に国王の頭に直接声を届け…チラリとジェイソンを見やった。状況を即座に把握した国王は頷き、そしてアリーシアに再び問いかけた。


「聖女様…私は、私自身としても、この国の国王としても貴女様のお考えを尊重致します。それは勿論聖女様としてのお言葉だからという事もございますが…それ以上に、私が知る貴女様であれば、人としての道理に外れる事も、その強大なお力に溺れる事も、決してないと…私も含めこの場にいる全員が知っております。ですので、私に出来る事があればなんでも仰って下さい。」


国王の言葉に、アリーシアは…少し躊躇ためらいつつ答えた。


「それでは陛下…大変恐縮ではございますが、発言させていただきます。

まず最初に…わたくしの事を高く評価してくださりありがとうございます。皆様の信頼と、いただいた評価に値すべき人間で在る様…日々精進致します。

しかしわたくしは…成人も迎えておらぬ若輩者でございます。そして国王様、並びに王妃様の忠実なる臣下でありますので、その様に接していただきたく平にお願い申し上げます。わたくしは…これからも、賢人であられる両陛下の教えをたまわりとうございます。


終わりに、この度の件ですが…仮にわたくしの力で、あの方達の悪意がなくなっていたとしても…行ってきた悪事はなくなりません。あの方達は…あまりにも罪を重ね過ぎました。ヘレンを助ける際、わたくしは彼女の過去を視てきたのですが…同時に彼女の感情が流れ込み、そのあまりもな凄惨せいさんさに言葉を失ったほどです。個人に肩入れするのは良くない事ではありますが…わたくしは彼女に助けると約束をして彼女の命を背負いました。ですので…陛下方の御前に毒を持ち込み、あまつさえ自死を図った事は免れぬ罪ではございますが…彼女のあの時の状況を加味しご判断いただきたく、お願い申し上げます。」


「聖女様……承知致しました。聖女様の御心のままに。


ンンッ、それでは!従来、毒物の携帯や持ち込みは処罰の対象ではあるが…その者の状況と精神的状況を考慮し、不問に付すとしよう。なにより…その者と約束を交わした聖女様を嘘吐きとする訳にはいかんからな!

アリーシアよ、これでよいかな? 

なに、これから毒物の解明やら、また侯爵家が扱っていた薬物の検証もせねばならんからな、その者が自らの罪にさいなまれる事なき様、贖罪しょくざいの機会を与え…しっかりと働いてもらうから君は心配しなくても大丈夫だ。


それよりもアリーシア…他人の悲しみや辛さを共有するなど、君は大丈夫なのか?

確かに君が与えられた力は尊く、強大ではあるが、先程君が自ら言っていた様に…君はまだ若い。万能なる力を待っているからと言っても、君自身が万能という訳ではないのだから、君が一人で全てを背負う必要などはどこにもないんだ…気負い過ぎず、遠慮なく王家を…いや、大人を頼りなさい。よいな?」


アリーシアは国王の言葉に感動をし…シリウスもまた、アリーシアの精神こころも守ろうとしている国王に安心と信頼を寄せた。

今後はヘレンの回復を待ち、危険薬物や、魔物寄せのアイテムなどについての解明を行うとともに、関係者の洗い出しから…動機などを更に細かく追及される事となり、アリーシアも"これで本当に一安心か…"と緊張を解いた瞬間気を失う様に眠りについた。

"あまり動かさず身体を休ませた方がいい"というシリウスの助言により、そのまま王城で療養する事になった。しかしアリーシアは…これより深い眠りについたのであった…


アリーシアが眠りにつくのと入れ替わるかの様に、王城の別室で目を覚ましたヘレンは、己の身に何が起こったのか理解が追いつかず戸惑っていた。

『私……生…きてる?…どうして…これは…夢?』

確かに死ぬ為に、死ねる為の毒を飲んだ。覚悟の上で…焼ける様な喉の痛みも身体中の痛みも覚えてる…走馬灯の様に走り去る自分の悲惨な過去をみて諦めがついた筈だった…。…お嬢様…?…

そうだ、お嬢様が…何故かお嬢様がいらっしゃって…涙を流されてて…死んではダメだと、こんな私を引き止めてくださったんだわ…それから確か光が…とても温かい…まるで母に抱き締められていた時の様な温かい光で…痛みが…痣がっ消えてる!?……。お嬢様が助けて下さったんだわ……。


少しずつ思い出したヘレンはその後自分に起きていた事を聞かされ、アリーシアに深い感謝をすると共に…自分のせいでアリーシアが目を覚さないのではと、自分を責めたが…公爵家の人間も誰もヘレンを責める事はなかった。

ヘレンは贖罪しょくざいの念と、恩を返すべく…調査や研究に率先して関わり、その身を捧げるほどに働いた。


アリーシアが眠りについている間、周囲の人間は…アリーシアが未だ目覚めぬ不安を誤魔化すかの如く、自分のやるべき事に力を注いだ。


国王は隣国ヴァナルガンドとの和平条約の見直し、国内の貴族派に対する弾圧など…第一王子アデルバートも先頭に立ち奔走ほんそうした。


エドワードとジュリアンは事件の後始末や、侯爵家の残党、魔物や薬物の実験に関連する事など幅広く調査を行った。…アリーシアの兄達の協力もあり、様々な証拠や情報が新たに集まった。


アリーシアの関係者達の忙しさと心労は変わらなかったが、学園や貴族間の問題も落ち着き、通常を取り戻しつつある中…依然アリーシアの時だけが止まっていた。





バックアップミスなのか…何度もデータが飛んでしまい…投稿する間隔が空いてしまいました。すみません!

書いては消え、書いては消え…いざ投稿してもエラーが出てしまい…こころが折れそうでした…。


毎日様々な魅力的作品が投稿され続けてるので、

このお話を読んでくださっている方達の、

興味が薄れてしまってはいないかと…ビクビクしてます


更に以前からも活動報告ができる時と出来ない時があり…こちらでさせていただく時があったのですが、今回も報告出来なかったので…こちらで説明と言うか弱音を出してしまいました。すみません…。

こんなポンコツ作者ですが…今後も…お立ち寄りいただけると幸いです(´・ω・`)ノ    雪原の白猫

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