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59.ウェスカー侯爵の失態


「ウェスカー侯爵、お前の馬鹿げた主張を通すには証人とやらが…ちと弱すぎではないか?まぁ王子達がアリーシアに想いを寄せているのは否定しないが、たぶらかしていると言うのは、アリーシアの名誉の為…私は否定をするぞ。お前の進言とやらはそれでしまいか?」


「陛下っ!そうではございません、この娘は悪意を持って…『何故だ?陛下には効いておらぬのか?…』おいっリリー!どうなっている?」


「どうしたウェスカー?その少女はお前の連れて来た証人であったな?何を証言させるのだ?」


「国王様、アリーシア様は私が子爵家というだけで目のかたきにして、ジュリアン様との仲を裂く為に嫌がらせを!公爵家の力を使って私をおとしいれ、更に子爵家を潰そうとしたのです!その上魔法が使える私に嫉妬をして…それまで私に優しかった人達を抱き込み、私を孤立させ…私、とても怖くて辛い思いをしたんですっ!」


あぁ…カーター様、許可なく発言してしまったわ、しかも陛下と侯爵様の話に割り込むなんて…本来許されませんのに…加えて直接陛下に伝えてしまってはごとも虚偽の罪になるというのに…


「ウェスカーよ…ジュリアンの耳に入っては、あやつが暴走する…その者を連れて下がれ。おって沙汰を出す」


「国王様!無視しないで下さい!アリーシア様は…この女は私の魔法を打ち消したのです!属性も持っていないくせに…とにかく…変な力を使っているのは間違いないんです!」


「陛下、このリリーの言ってる事は嘘ではありません!信じて下さい。しかも公爵家の娘は変な術を使い、魔物を操っているやもしれんのです!これは我々が独自に調べた事ですが…この娘は黒い魔物を手懐け、この国に災いをもたらそうとしておりますッ!魔物が押し寄せてからでは遅いのですぞ、今なら何かあってもヴァナルガンドとのパイプを持つ我が侯爵家が力になれるのです!その私をないがしろにするなど…せめてここに集まっている者達にも話を聞くべきであります!」


「なぁウェスカー…何故そこで隣国のヴァナルガンドが出てくるのだ?魔物が押し寄せるとはどういう事だ?

何やら私に取引を持ちかけている様に聞こえるのだが…それとも国王である私を脅しているのか?

公爵令嬢なるアリーシアを"この女"呼ばわりする常識も品もない少女の話を信じろと…ふむ…

他者の意見を聞くべきと申すのだな。よかろう、何か意見ある者はいるか?忌憚きたんない発言を許す」


数名の貴族が発言をしたが、ウェスカー侯爵を肯定するだけで核心には何もふれない意味のない発言内容であった。学生も何名かカーター様を擁護し、私と対立しているだとか、噂を誇張したものを発言したが…何一つ陛下を納得させる程の内容のものはなかった。


「何故っ?なんで国王様には効いてないのよっ!悪いのはその女、私は可哀そうな被害者なんだから…皆私達の味方になるべきなのよ?ウェスカー侯爵や私のいう事を信じなさいっ」


カーター様が叫ぶのと同時に、霧の様なものを感じた…

それは一瞬で消えてしまったので気付いている人は?と確認しようとしたその時、側に居たテディーがその場で跪いた。


「国王陛下!緊急故、発言をお許し下さい。たった今この女は魔法を使いました!どの様な効果かは分かりかねますので直ちに御身をお守りになり、ご確認を!」


「貴様っ何を言う!このっ平民風情が、立場もわきまえず直接陛下に話しかけるなど…衛兵っこいつを牢に入れるんだ!すぐに連れて行けっ」


テディーの発言により護衛達が陛下を囲み防御と反撃態勢をとっているが、衛兵は侯爵に従いテディーを連れて行こうとしている。


「その者から手を放しなさい!陛下、ご無事ですかっ?お身体に変化はございませんか?」


一番側にいる私が、あえて高圧的に衛兵を止め護衛で見えないが陛下の無事を確認した。


「あ…あぁ、アリーシア…大丈夫だ、…

一瞬眩暈めまいを感じたが…もう平気だ!

君達もありがとう、警戒は解かず側で待機を。

何があったか誰か説明を、その青年の拘束も解くのだ」


「陛下、その男はこの女の仲間です。決して耳を貸してはいけません!陛下に魔法を使ったなど、証拠のない戯言たわごとでございますぞ!」


「ウェスカー侯爵、確かにこちらのセオドアはわたくしの仲間であり、先程も申し上げました通り大切なお友達です。そして平民である事も間違いありません…

ですが礼儀をわきまえ、陛下の御身を心配する彼と…

礼儀も言葉も弁えず支離滅裂な発言を繰り返している、貴方様がお連れのカーター様では、この場に相応しくないのは…果たしてどちらなのでしょう?


魔物の件とヴァナルガンドとの関係性…そしてそちらの衛兵が、陛下の御前であるにも関わらず何故侯爵の命令に従ったのかも含め…やましい事が無いのであれば、冷静に応じるべきです。

それと先程よりカーター子爵令嬢の言動は無礼を通り越し、常軌を逸しております。これ以上は臣下として見過ごす事は出来ません。ですので、この場を穏便に済ませたいのであれば速やかに下がらせて下さい。」


「こ、小娘が!侯爵たる私に偉そうな口を利きおって」


「なんで私があんたに指図されなきゃいけないのよっ」


二人とも頭に血がのぼったのだろう、隣にいる私に侯爵の手ががるのと、カーター様の手に水の凶器が出現するのは同時であった。


王族側、家族、テディー達から怒号どごうや悲鳴が上がる


そんな刹那せつなの時だが、私には二人の動きがスローモーションに見えていた…




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