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45.アリーシアの失態


私はは夢の中でシリウスに会い、沢山の事を聞いた。

夢の中だと私の消耗が少ないらしい…何を消耗するんだろう?とか…夢から覚めた時忘れたら嫌だなぁ…とぼんやり考えながらシリウスの話を聞いた。


シリウスが聖なる力を宿す聖獣である事、私とは契約し一心同体となり繋がりを持った事、その為私はシリウスの加護を持っているらしい。

シリウスは本当は聖地と呼ばれる場所で聖力を身体に溜めて大きくなるらしいが、小さい時に毛色の違いからその他を追い出されてしまい…聖地以外で聖力を蓄える事は難しく年々弱まっていたらしい。どのくらいその状態でいたのか聞いて涙が出た、忘れるほど何百年もその状態であったと言うのだ…。

私は私と同じくらい大きくなっているシリウスに飛び付いて、好きなだけ…なんでも我儘を言ってね!と、これからは私があなたの側にいるからと…思いが伝わる様に、力一杯ぎゅうぎゅう抱きしめると、シリウスは嬉しそうに笑っていた。


…それから魔物除けの草の事も話してくれた、特定の場所に生えるのではなく、成長条件が特殊なのだと…。その草はなんでもよくて、聖力を僅かでも吸い上げる事でその効力が出るらしい。

元は聖地に生えている聖樹が、悪を寄せ付けない力を宿しており、その周りに生える草達も根からその力を吸い上げ聖樹程ではないが、悪を退け…癒しの効果を含む草になるらしい。本来聖地にしか生えない聖樹だが、鳥や動物、風に運ばれ…根付くはずの無い条件下でたまたま根付き、成長する…。その可能性は限りなくゼロに近いのだ、しかし永久に近い時の中では…その僅かな条件を満たす場所もあったのであろう。例え効力が薄まろうと、確率を考えるとそれは間違いなく奇跡の植物なのだと、シリウスはそれを頼りに…長い時間彷徨っていたらしい。とても微かな聖力を嗅ぎ分けて…この地に辿り着き、力尽きる寸前のところを私が見つけたのだ…。

危なかった…私よくやった!と思っていたら、シリウスがとんでも無い事を言い出した。アリーシアはその植物を作れるんだよ!と。私が"?"となっていると…

そろそろ時間だからとシリウスが言い出した。急に不安になり離れまいとまた抱きついた。シリウスは笑いながら…"大丈夫、側にいるよ"と言ってくれたが、私は絶対に離さなかった…腕も足も絡めてしがみついた。

"シリウス"と何度も名前を呼び…



目が覚めて翌日になっていた事を知った。昨日森へ行ってシリウスを連れ帰った事、夢の中で聞いた事を思い出す。…大丈夫、覚えてる。忘れていない…自分に言い聞かせ、恐る恐る上掛けをめくると…そこに小さなシリウスがいた!私は嬉しくて寝ているシリウスを力一杯抱きしめた!すると腕の中から〈おはようアリーシア〉とシリウスが話しかけてきた!一気に覚醒した私はシリウスを抱き上げ、お父様とお母様の了承を得る為部屋を飛び出した。途中すれ違ったメイドに二人が食堂にいる事を聞き、何か叫んでいたが…足を止める事なくそのまま食堂に飛び込んだ!


「お父様!お母様!"夢だけど、夢じゃなかったの"」


私の言葉が、有名なセリフに似ていたからではなく…

私の出立ちと勢いに驚いた人達・・は皆例外なく驚いていた…。それもそうであろう…ネグリジェ姿に櫛も入れていないホワホワの頭…その上裸足のままの完璧なる寝起き姿だ。腕の中のシリウスが"やっちゃったね"なんて言って笑っている…。

部屋の中には……何故??

王子様達三人が揃っていらっしゃる?あら、昨日のメンバーもそのまま…皆さんいらっしゃるわ…あぁ、お兄様達も……ふむ…私のエミリーはどこかしら?…きっと部屋にいるわね、探しに戻りましょう…。これは…きっとあれね?まだ夢の中なのだわ…大丈夫よ、もう一度ベッドに入れば……


「おはよう(ございます)アリー(シア)(様)!」


きびすを返そうとすると部屋の中の全員に挨拶された…


私は振り返り…シリウスを足下に下ろし、髪を撫で付け、ネグリジェの前と裾を払ってカーテシーで返した。


「おはようございます。皆様、爽やかな朝でございますね。引き換え…わたくしがこの様な姿で誠に申し訳ございません。急ぎ支度して参ります、改めてご挨拶と謝罪致したく、それまでご歓談頂きます様……」


「フフ…アリーシア、今更よ!フッ…気にしなくていいから…支度をフフッ支度をしてきなさい。元気そうで何よりだわ…フハッ」


母親に促され…メイドに用意されたスリッパとガウンを羽織りいつの間にか横にいたエミリーに注意と慰めを受けながら部屋までの長い道のりを歩いた…。


その頃食堂の中では…父と兄達は頭を抱え、母は腹を抱えて笑っていた。私を止め(られ)なかったエミリーに褒美か罰かの多数決を取っていたりと…王子達が同席していた為、朝から物々しい雰囲気の食堂が一転…和やかな空気に包まれたらしい…私の大・大・大失態でも何かの役に立ったのならば良しとしようと、無理やり思い込む事で少しでも薄めたかった…。皆の記憶を消したかった……部屋にこもりたかったが、エミリーに強制連行され食堂に舞い戻った。私のエミリーは仕事が出来過ぎて困る…支度をあっという間に終わらせたのだ…私の心情としては何も整っていないのに…シリウスが夢の中と同じ様に"大丈夫だよ"と言ってくれる。あぁ心の友とはこういう事なのね、と感動していると"これから今のよりもっと驚く事があるから、さっきのアリーシアの失態はきっと薄まるよ"とさらっと爆弾発言を容赦なく落としてくる。…友よ?どういう事だい?とシリウスに聞こうにも…無情に扉が開いたのであった……








エミリーは最初勿論止めようとしたし、止めれたと思うのですが…食堂の雰囲気が重いしぶつけちゃうのもアリかな?なんてわざと止めなかったんだと思います。

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