32.アリーシアとお見舞い
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悪女になったアリーシアは一部の人間に求められたが、
ジェイソンによって却下された…。
ジェイソンも、アリーシアがまた変な方向に進んでは堪らないと、アリーシアの提案を半分は受け入れて、
"人目につくところではしょんぼり一人でいる作戦"を決行した。(もちろん周りに密かに人を配置して)
アリーシアは久し振りにお気に入りの花壇に来ていた。
ここには元々一人で来ていが、リリーに水魔法で脅されて以来…来ていなかった。
花壇の手入れをしてガゼボで刺繍の図案を考えていると、一人の男子生徒が声をかけてきた。
「セイリオス公爵令嬢様、急にお声をかけてしまい、申し訳ございません…私は同じクラスの…」
「セオドア様ですよね?どうぞわたくしの事はアリーシアとお呼び下さい、学園の同級生なんですもの…言葉も気にせず気楽に話して下さいませ。ね?それで何かご用がおありでしたか?」
「あ、 あの…こちらは…ア、アッアリーシアッ様の持ち物ではないでしょうか?以前この場所にあったのを拾って…名前がなかったので中を拝見したのです…。勝手に見てしまい、すみません。」
「まぁっ!これわたくしのスケッチブックですわ!失くした事に気付いた時は時間が経っていたので、諦めていたのです…良かった…。でも何故わたくしのだと?」
「アリーシア様の描かれる絵はとてもお上手でとても特徴的ですので…その…俺、いや私には、妹が二人いるんですが…アリーシア様のぬいぐるみのファンなんです…なので中の絵がぬいぐるみのデザインみたいだったし…アリーシア様が、たまにここへ来てたのは知ってたので…。もっと早くお返ししようと思ってたのですが、声をかける事が出来ず…ここだったら会えるかなと…」
「わぁ、そうだったのですね、ファンだなんて嬉しいですわ!どんな子が好きかしら?お二人ともお揃いのぬいぐるみをお持ちなのですか?」
「いや…うちは平民で貧乏で、俺が学園に入ったから…
二人で1つの猫のぬいぐるみを一緒に可愛がってて、
だけど…この一年…6歳の下の妹が病気で…いや、すみませんアリーシア様にこんな話。とにかく…それお返ししましたから。それでは…」
「あのっ!セオドア様…もしご迷惑でなければ妹さんの話を聞かせて頂けませんか?一年も病気で伏せっているだなんて…お辛いでしょう…お家の方ですとか、セオドア様が他人の介入をよしとされないなら…わたくし出しゃばる事は致しませんが、そうでなければ何かお力になれないかしら?」
「ありがとうございます、アリーシア様…家の事まで気を回してくれて…医者には診せたんです。でも…解らないって、薬も飲ませたんですが効かなくて。ただ目を覚ましてる時に、アリーシア様の…ぬいぐるみをとても喜んでくれたんです。自分にも妹が出来たって、可愛がって世話をして…でも最近辛そうにしてて、俺は…妹の病気がたとえ完治しなくても、少しでも良くなるんであれば、何にでも縋りたい…。アリーシア様…厚かましい願いだとわかってはいるのですが…アリーシア様のそのスケッチブックを貸して頂けませんか?家に持ち帰って妹に見せてあげたいんです。」
「勿論です!こんな物で良ければ…でも走り書きですのよ?あの…わたくしの方こそ厚かましいお願いになると思うのですが…セオドア様のご自宅にお邪魔させて頂けないでしょうか?出来れば早いうちに伺わせて頂きたいのですが…。」
積極的なアリーシアにセオドアは少し驚いたが、もしかしなくても、妹はアリーシアに会う事を喜ぶだろう…スケッチブックも借りれる事になったし、平民の俺の名前を知っていてくれて、こんな俺の話まで聞いてくれたんだと、アリーシアの訪問を快諾した。するとアリーシアは、訪問日を三日後の休日に、善は急げとばかりに取り決め、スケッチブックを渡してセオドアと別れた。
屋敷に帰ってきたアリーシアはエミリーや他のお針子さん達に、猫のぬいぐるみを2つと、着せ替え用の洋服、帽子やバッグなどの小物を数種類作ってもらう様に頼んだ。そして自分はウサギのパペットを作り、セオドアに聞いた二人の誕生石の色をしたガラスビーズでブレスレットも作った。
そして当日、エミリーとセオドアの家に着き部屋へと招かれた。小さい部屋の小さなベッドで眠っている小さな女の子…その子に寄り添う様にベッド横の椅子に座る女の子。セオドアが声を掛けると、姉の方だろう椅子から立ち上がり嬉しそうに挨拶をしてくれた。妹を起こさない様にアリーシアが人差し指を口に当て"シー"とやると、姉は首を振り妹を起こそうと声をかけている。
「アリーシア様が来てくれたら、絶対に起こしてって言われてたの、だから大丈夫なの。ルーナ?ルーナ起きて、アリーシア様とお兄ちゃん来てくれたよ!」
するとベッドにいる小さな女の子が目を開けて、一緒に寝ていた猫のぬいぐるみを出してアリーシアに見せてきた。弱々しくも嬉しそうに、ミーちゃんていうの、自分の妹なんだと紹介してくれた。
「こんにちは、アリーシアです、二人とも今日は会ってくれてありがとう。ルーナちゃん、身体はきつくない?そっか、良かった…お兄さんとは同級生でとっても仲良しだから、私とも仲良くしてくれる?フフ嬉しいっ…今日はね、二人にお土産を持ってきたの…ミーちゃんのお友達にしてくれるかな? ジャーーンッ」
「キャーッ可愛いっ!ルーナ見てお洋服もあるよ!沢山あるっすごいっ!アリーシア様この子達貰ってもいいの?私とルーナ一つずつ?本当に私もいいの?」
「もちろんよステラちゃん、あなたとルーナちゃんそれぞれ可愛がってあげて。ミーちゃんのお友達になれるかしら?それと様なんてつけなくていいわ、家族からはアリーって呼ばれてるの、二人も呼びやすいように呼んでね!ルーナちゃんも、この子達とも仲良くしてくれる?」
そうアリーシアが問いかけて、妹のルーナの顔を覗き込むと、ポロポロとルーナが泣き出した…。
「アリーお姉ちゃん…ありがとう。とっても可愛い…私、病気になって…ステラお姉ちゃんもミーちゃん欲しいのに、いつもいいよって私の妹にしてくれてたの…」
アリーシアはパペットを両手に被せ、二人に話しかける
『こんにちは!わたしウサギのラビーっていうの、よろしくね!こっちは妹のミミよ、私ね妹のミミが大好きなの。だからミミが喜ぶ事はなんでもやってあげたいの!我慢なんてしてないわ、ミミが笑顔だと私も嬉しいから!』
「ですって、ミミちゃん良かったわねお姉ちゃんあなたの事が大好きだから、あなたからありがとうって言われるのが凄く嬉しいんだって!ミミちゃんもお姉ちゃんの事好きでしょう?」
『うん、ミミもお姉ちゃんが大好き!ラビーお姉ちゃんいつもありがとう』
「ね?この子達はとっても仲良しなの、ステラちゃんもルーナちゃんも同じでしょう?これから何か言いにくい事があったらこうしてお話しするといいわ。ラビーちゃんとミミちゃんが代わりにお話しするの、お互い思ってる事は相手にちゃんと伝えましょうね?
ステラちゃんもルーナちゃんにミーちゃん譲ってあげて偉かったね、ルーナちゃんも病気で辛いのにお姉ちゃんを思いやれて偉いわ!二人ともお利口さんだから私からもう一つプレゼントがあるの、私の手作りなんだけど…これも受け取ってくれる?」
「わぁ……綺麗…アリーお姉ちゃん、これなぁに?」
「フフフ、綺麗でしょう?これはね宝石ではないけどガラスで作ってあるのよ、割れにくいガラスだから普通のガラスより丈夫なの、あなた達の誕生石と同じ色よ。腕につけてもいいし、願い事をして大事にしまっていてもいいわ、二人のだから好きに使って。」
「すごく綺麗…私腕につけてみたい…あの…私もアリーお姉ちゃんって呼んでもいーい?」
「ステラちゃんにもお姉ちゃんって呼んでもらえるなんて嬉しいっどんどん呼んでね、私がつけてあげる。」
「ルーナちゃんもつける?寝る時に邪魔にならない?
フフ…そうね折角だからお揃いでつけましょうね、ルーナちゃんの病気が早く治ります様にって、一緒にお祈りをしてからつけましょうね。
さぁ出来たわ二人とも似合ってる!気に入ってくれて良かった…って、きゃっ!」
アリーシアが二人にブレスレット遠つけてあげると、二人がアリーシアに抱きついた。ありがとう、とても嬉しいと…姉のステラは泣きながらずっと妹が羨ましかったけど言えなかった事、妹のルーナは姉に我慢をさせてると…素直にありがとうが言えなかった事を、泣きながら話してくれた…アリーシアは二人を抱きしめていい子ね…と、頭を撫でてあげた。
自分に無いものを欲しがるより
自分に有るものを感謝しなさい。
それが有り、難い、という事なんだよ。
と、言われて育ったおばあちゃん子です。




