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30.悪女爆誕

一日に1〜2話投稿しています。


お立ち寄り頂きありがとうございます、

この作品はもう少し続きます、完結まで応援して頂ける様頑張ります。(今半分くらい…)


学園に着いた私はオリビア様達に無事ジェイお兄様に

相談できた事を報告して、出来れば今日のうちに

ジュリアン様にも報告するつもりだと伝えると安心してくれた様で、学園内だからと一人にならない様、

同行を申し出てくれた。しかし私といつまでも親しくしている所を見られたら…私が囮になろうとしてる事は、昨夜お兄様にしか話していないけれど…出来るだけ相手を逆撫でる事は控えた方がいいかもしれない。

そう思い、教室も近いし中庭での所用もあるからと、結果をきちんと話す旨を伝えて席についた。


お昼休みになりいつもはしないが、食堂の個室をサーブして秘密の話をした、お兄様の許可が出るかわからないが、出来るだけ自分を一人にしてくれと、そうすればミラも責められず、相手も溜飲が下がり…油断するのではないかと。答えは総反対だった…そうならない為に自分達は団結したのだと…確かにその通りなのだが…


「わたくし、皆様の優しさと思いに触れて…強く感じたのです、あぁ私は大丈夫なんだと…独りではないんだと、…勇気が出たのです。なので人目のつくところでは接触を控えて頂ければ、カーター様も皆様への警戒を緩めるのではないかと…そしてもう一つ、これはお兄様にも話してはいないのですが…皆様の私への態度で、皆様が変に言われない様…わたくし…悪女になろうと思うのです!それはもう、意地悪な悪女にっ!」


何がどうなってそうなったのだ……あぁ、アリーシアが意地悪だから周りが離れていくのだと?待て、相手の狙いはアリーシアが虐められて辛い思いの果て、孤立してしまう事を狙ってたのでは?普段大人しい少女が急なシフトチェンジ?何それ面白そうと瞬時に脳内で答えが出たラシュカールは発言した。


そう…この場に何故かラシュカールも混ざっていた。

食堂でジュリアンの分と注文して生徒会室に戻る予定だったのだが、何やら深刻そうな面持ちのアリーシア達が目に入ったので"一人の食事は寂しいですが、皆様のお邪魔は出来ませんね…"と同情を大人買いしてまんまと個室に入り込んだ、一方のアリーシア達はどのみちジュリアンにも話すのだからと、知恵が増える事に抵抗なく招き入れていた。

ラシュカールは、これまでの詳細を聞き、アリーシアの考えを聞いた上でそれもまた策の一つだが、お義兄様方がお許しになるかどうか…と思案した所で、アリーシアの"意地悪な悪女に、私はなるっ"発言だ…


アリーシアの言う"いい考え"と相手の思惑に若干のズレを感じるが…アリーシアの悪女が見たくなったラシュカールは、例えばどんな感じでしょうか?と言ってしまった…。三人の少女達も止めない…。


……わかりました、とおもむろに立ち上がり部屋の中を見回して本棚の前に行き、上の棚用の低いステップに乗って振り返った…。少し戸惑っている様だ、どうしたのだろうと声をかけてみる…アリーシア様?その様に離れて何を?と、するとアリーシアはテーブルに戻ってきて…グッと爪先立ちになり、胸を張り、顎をあげ、指を突きつけ…私達を一人ずつ見ながらこう言った。


「このわたくしを誰だと思って?あなた達は足元にも及ばなくてよ、わかったのなら二度と王子の周りをうろつくのはおやめなさいっ!」ビシィー、ドヤァァ


えっちよっ、待って王子って?それになぜ一旦向こうに行ってステップに乗ったの?いつも頭の回転が早いラシュカールでさえ頭が"?"になった時、オリビア達が口を開いた。


「アリーシア様、もしや『お願い 私の王子様』に出てくる小説の中の悪役令嬢でしょうかっ??」


「ああっ!あのシーンですね、爵位の低いヒロインに対して嫉妬のあまり思わず強く出てしまう所ですよね?」


「そうだわ、あの高い位置から見下みくだして高飛車に振る舞う所っ自らの感情を制御出来ない描写が秀逸でした!」


ピシャーーーンッ!ラシュカールの頭の中で繋がった。もしや…アリーシア様は高い位置から見下みくだすを物理的に、ステ位置ップに上り、見下みおろそうと?でも…思ったより場所が離れていた為今度は爪先立ちをしたと?……小説の悪役令嬢になりきって?それで悪女になれると?渾身のドヤ顔で?…いや、もう…無理……アリーシア様…尊い…


悶絶から力尽きてるラシュカールをよそに、四人の少女達は当初の目的を忘れ盛り上がっていた…深刻な話であったはずなのに…少女達のキャッキャッによって危機感が遠くに飛ばされているこの個室とは対照的に…その頃時を同じく…ジェイソンとエドワードは、その渦中のアリーシアの話を深刻に感動的に話をしていた…。


そしてもう一人…ラシュカールの帰りをお腹を空かせたジュリアンが生徒会室で待っていた、しかしラシュカールは…自分だけ食事をして、アリーシアを堪能していたのだった…。


一方その頃王城にて、アルフレッドがアリーシアの件を報告していた。アデルバートの手を煩わせる事は出来ないと遠慮して相談を躊躇ためらった旨も忘れず伝えた。…アリーシアの手作りクッキーを皿に出して、お茶を淹れ休憩を取るようだ。


「アリーが早起きして作ったらしい、朝から渡された。父上とお前も私も城での仕事が忙しいからと…気に掛けていた。なので心して食べる様に、あぁ俺のは特別に量が多い様だ、別々に渡され特別だと可愛く耳打ちされたよ…背伸びをしてコショコショと話すアリーの可愛さといったら…城に来るのをやめようかと思ったぞ」


「フーン、アル?それでマウント取ってるつもり?

君のクッキーと私のクッキー…、量が違う様だけどそれだけかな?よく見てごらんよ、コレ、私のにはハート型のクッキーが入ってるよ!アリーシアは可愛いね…

あっアル?ハート型あった?ないなら私のをあげようか?毒味は必要ないけどさ、なんてったってアリーシアのハートだもんねっ」ニィッコリ!


「さぁ、アルフレッド…そんな怖い顔してないで、可愛いアリーシアの想いに応えるべく昼からも頑張ろうっ!学園の事はエド達に任せて、私達は貴族派の動きを洗おうとするかっ!」


第一王子アデルバートがとてもいい笑顔でアルフレッドのマウントを見事に返り討ちにしている頃、

アリーシアの父親であるアドルフ セイリオス宰相の

執務室では…先程息子のアルフレッドからマウント付きで渡されたアリーシアのクッキーを袋から取り出し食べていた。やはり皿に移して食べようとしたその時、

中にもう一つ包みがあるのに気付き開いてみると…

〜お仕事無理し過ぎない様頑張って下さい〜アリーより

なんと手紙付きだった為、マウント息子が書類を取りに来る事を見越して、わざわざそのメッセージカードを

フレームに入れ机の上に、外側を向けて置いていた。


その日から…アルフレッドは無闇むやみ矢鱈やたらにマウントを取る事をやめたのだった…







もう一作品短編があるのですが、

お時間ある方はそちらにも是非お立ち寄り下さい。


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