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3.小さいけれど立派な淑女

アリーシアが褒められます。


読み進める楽しみを持っていただけたら嬉しいです。


あれほど賑やかだった庭園が静かになった。


例えではなく本当に一瞬音が消えたのだ、頭を下げたままのアリーシアは不安になったが王子の声が掛かるまで待った…そして頭の上から笑い声と第一王子からの声が掛かる。


「フハハハッ! アリーシア嬢とても丁寧な挨拶と謝罪の言葉をありがとう、心配しなくてもいいよ!さぁ楽にしてその可愛らしい顔をもう一度よく見せて?」


先程第一王子はアリーシアと親しみを込めて呼んだのだが今はアリーシア嬢と呼んだ、アリーシアは小さな自分が淑女として認められた様で、それがなんだか嬉しくて頬を染め、はにかむ様な笑顔で顔を上げた。


そう、その破壊力は凄まじかった……




謎に包まれた噂の公爵家の少女が公式の場で王子達と挨拶を交わす場面を、誰もが好奇心や色んな思惑を持ってその一部始終を見ていたのだ…


体が小さいとはいえ、美しいカーテシーから丁寧な言葉遣い、兄のリカバリー、緊張のきの字も感じさせない落ち着いた雰囲気……そして最後の子供らしさが滲み出た照れた様なはにかみ笑顔……


ある者は胸を押さえ、ある者は頬を染め放心し、またある者は唇を噛み悔しそうな表情を浮かべ…


大人達はその教育の行き届いた姿に感心し、


テーブルの近くに待機し、淑女を見慣れた使用人達でさえ驚きの表情になっていた。



もちろんアリーシアの兄二人も盛大に悶絶していた…


『『 アリーが立派に挨拶をぉ…私の(兄さんの)為に謝罪まで…その照れ笑いはフォーエバーーー!!!』』



「いや…参ったな…本当に可愛いね…アル達が必死に隠してたのがわかる様な気がするよ、お前もそう思うだろ?」


と、少し砕けた話し方になった第一王子は公爵家の男達を見て笑いながら第二王子に話を振った


「そうだね、アリーシア嬢は小さいけど立派な淑女だ!

挨拶も出来てアリーシア嬢も解禁になっただろうから

これからはこの二人と一緒に王城へ遊びに来るといいよ」


それを聞いたアリーシアの兄二人は"すんっ"と

それはそれは見事な"すんっ"の表情になり第二王子の誘いを拒否したのであった…


その時王子達の側に一人の男の子が近付いてきた


アリーシアの兄二人が頭を下げる、それを見てアリーシアも同じ様に頭を下げた。


第三王子が遅れてやって来たのである。


「やあ、ジュリアン遅かったね?何をしてたのかな?」


弟王子の遅刻を少し責める様な口調の第一王子


「ジュリアンはわざと遅れて目立ちたかったのか?」


優しく聞いてはいるがその内容が容赦ない第二王子


「!!兄上!!俺はわざと遅れた訳ではありませんっ

  遅れた事は……申し訳ございません……」


少し納得のいかない感じで不貞腐れた感情を隠しもせず小さな声で謝る第三王子


三人の王子達のやり取りを間近で見ていたアリーシアは

先程の笑顔から一転して顔を曇らせ俯いてしまっていた


それに気づいたアルフレッドとジェイソンは王子達の微妙な空気を1ミリも気にせず、アリーシアをこの場から遠ざける為に王子達に声を掛けた。


「それでは王子殿下方、私達はこれで失礼致します」


「おい、アル!どこへ行こうとしている、今日私達はジュリアンの……」


「なんだアデルバート、第一王子としてお前が頑張れ」


切れ味抜群にアルフレッドが第一王子の言葉を…それも途中でスパーンとぶった斬った。


「大丈夫だよアリー、兄さん達は普段いつもこんな感じだから二人のことは心配いらないよ!それよりも向こうで美味しいお菓子を食べようね。」


『えっ?お菓子?…まだ帰れないの…?…』ーシュンー


そうなのだアリーシアは王子達のやり取りで元気をなくした訳ではなく、この場から離れるタイミングを逃した事を嘆いていただけで王子達の不穏な空気はさほど気にしてはいなかった。


だが、少女がしょんぼりする姿を見て王家と公爵家の兄達は心を痛める


しかしそんな空気をまたしても切り裂く一言が乱暴に投げかけられる、今度のは兄のアルフレッドではない



「お前は誰だ?俺に挨拶もせず菓子を喰いに行くだと?不敬ではないか!」



"ピシィーーーッッ!!!"


空気が凍りつく音が確かに聞こえた…





やっと王子達が揃いましたが


末っ子王子のジュリアンが早速やらかしました…


妹バカの兄達を前にジュリアンの運命やいかに!

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